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矢口の小さな物語置き場【なろう版】  作者: 矢口愛留
隣の国から山をぶち抜いて現れた少女に気に入られて迷宮探索をすることになりました〜魔物よりその子の方が怖いのでとりあえずついていきます〜【にじそらスピンオフ】
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3 まるで青天の霹靂のごとく



「あの、アリサ、そろそろ戻らないと……迷宮ダンジョン内ではぐれてしまったオリヴァー様たちも心配ですし」


 ソフィアがおずおずと申し出ると、アリサはあっと小さく声を上げた。


「そうだった! ごめんね、お兄さんたち。私たち、もう行くね!」


「え? お、おい! ちょっと待て、俺をこのままにして行くつもりか!?」


 トマスがわめいている。確かに、この深い落とし穴から脱出させるのは、僕一人ではちょっと辛い。

 ソフィアは頭を下げ、申し訳なさそうに謝罪の言葉を口にした。


「あ、あの、ごめんなさい、実は――」


「!? ソフィアさん危ない! 後ろ!」


「へ?」


 その時、ソフィアの後ろから、興奮した鹿――いや、鹿の姿をした《《何か》》が、猛スピードで突進してきたのだった。

 だが、ソフィアの反応はあまりに遅い。

 間に合わない――そう思った刹那。


雷精(トール)!」


 バチィッ! バリバリバリッ!


 アリサが鋭く一言発すると、その手から雷がほとばしり、鹿へと命中する。

 魔物に成り果てた鹿は、一瞬ぶるりと震えたかと思うと、そのまま動かなくなった。


「……あ、アリサ、助かりましたぁ。ありがとう」


「ふぅ、間に合って良かったー。あたしの反射神経も大したもんね」


「あ、ああああの!?」


「なんですか、お兄さん」


「な、ななななんだったの!? 今の、なんだったの!?」


「んー、鹿が魔物化しちゃったみたい。こりゃ、早く迷宮ダンジョン閉じないとだなぁ」


「そ、そうじゃなくて、いや、それもびっくりなんだけど、バチって! バリバリって!?」


「あぁ、そっち? さっきのがあたしの魔法。あたしは雷の精霊トールに加護をもらってるの」


「ほえぇ……」


 この子には逆らわないでおこう。僕は心底そう思った。


 ちらりとトマスの方を見ると、トマスの位置からはちょうど見えなかったようで、ちょこちょこと背伸びをしていた。

 だが、結局どう足掻いても見えなくて、諦めたようだ。

 イケおじが台無しである。


「ちなみにソフィアはもっと色んな種類の魔法を使えるんだよ。その代わり発動が遅いのと、一度使うとしばらくチャージタイムが必要になるのよね」


「じゃ、じゃあトマスの埋まってる落とし穴、もしかして……?」


「はい、先程は地の精霊に力を借りました。だから、その……しばらく地の精霊の力は借りられないので、私の魔法では出してあげられないんです……」


「……はぁぁ!? 何だとぉぉぉお!?」


 トマスの絶叫が、青空に響き渡ったのだった。



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