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何だかんだで辿り着いた透の見解




ちょこっと説明+現在→ちょい過去→現在って感じの流れです。









あたしこと神宮透じんぐうとおるには、あきらちゃんという双子の妹がいる。

双子と言っても二卵性双生児なので外見はまったくと言っていいほど似ていない。

そのため明ちゃんは大手の芸能事務所『GLORIOUS』でモデル兼女優として活躍し、そこで一番の稼ぎ頭と言われるほどの美貌と魅力を持っているにも関わらず、あたしは何処にでもいるような平々凡々な23歳の社会人。

あ、ちなみにお仕事は明ちゃんのマネージャーをしております。






二卵性とは言え、双子なのにこうも妹との格差があると周りの人にはよく比較されたりもしてきた。

でも、あたしは特に気にしたことがない。

だって、明ちゃんがすごいことも、そのすごさを鼻にかけず一生懸命努力していることも、ずっと傍で育ってきたあたしが一番よく知っている。

それに明ちゃんはあたしにとっても優しい。

美人で性格も良い妹を可愛がりこそすれ僻むなんてことはあたしにはできない。

てゆーか、美形好きのあたしにとっては明ちゃんはもう極上の妹なのですよ!!

目に入れても痛くないくらい明ちゃん大好きなあたしは、立派なシスコンだと胸を張って言える。






「透ちゃん、鼻血出てるよ。拭いてあげる」






そう言ってハンカチであたしの鼻を拭ってくれる明ちゃんはほんといい子だ。

同じ洗剤で洗濯しているはずなのに、このハンカチからは洗剤とは違ったどこか甘い良い匂いがする。

これぞまさに美形マジック。

どうしたらこんな良い匂いが香るようになるんだろう?






――――絶対に明ちゃんのストーカーだと思ったんだけどな……






あまりの驚きの連発で混乱しちょっとぼんやりとしている頭で思い出す。

そもそもこのストーカー騒動の発端は、一週間ほど前の明ちゃんの一言から始まったのだと――――











* * * * * * * * * * * * * 











「ねえ、透ちゃん。私ね、最近誰かにずっと見られてるような感じがするの。変だよね~」






仕事が終わり二人で住んでいるマンションに帰ってきて、遅めの夕飯を食べている時。

「今日はいい天気だね~」くらいの何でもない調子で明ちゃんは爆弾発言を投下してくれた。

それも超一級の危険レベルのものを。






「えっ!?えっ!?」


「それにね、外にいる時にね、時々気配がするから後ろを見たりすると全身黒ずくめの大きな人がいたりするの。でもね、私と目線が合うとサッって隠れちゃうの。あ、目線が合うって言ってもそのひとサングラスかけてるから本当に目線が合ってるのかは分らないけどね~」






オイオイオイ!!

そんなニコニコとしながら話す内容じゃないよコレ!!

だって、それってどう考えたって―――――






「明ちゃんっ!それはストーカーってやつだよ絶対に!!!」


「ほえ?そうなの?」






「ほえ?」って首を傾げながら言うなんて反則なくらい可愛すぎるでしょ明ちゃん!!もうお姉ちゃんの心臓はあなたの可愛さに撃ち抜かれてきゅんきゅんですよきゅんきゅん!!あー苦しい!!明ちゃんの可愛さにジャックされたあたしの心臓は呼吸がままならず苦しいであります!!こんな可愛い子があたしの妹だなんて神様本当にありがとう!!美形万歳!!明ちゃん万歳!!






「おーい、透ちゃん?大丈夫?」


「ばんざーい!!――――って、ハッ!?あ、ご、ごめん明ちゃん!!」


「明ちゃんて時々意識がどっかに飛んでっちゃうよね~」






クスクスと笑う明ちゃんも可愛いですッ!!――――――――――――っていかんいかん!!こんなことしてたら話が先に進まない!!

明ちゃんが可愛いのはもう「地球は青い」レベルに明白なことであるからひとまず置いておくとして、問題はそう、明ちゃんがストーカー被害にあってるかもしれないってことだよ!!






「明ちゃん!笑ってる場合じゃないよ!ストーカーなら撃退しなくちゃっ!」






実は明ちゃんがストーカー被害にあうのは初めてじゃない。

そりゃそうだ、こんなに可愛いんだもん!

まあ、その度にあたしがこっそり撃退してきたから問題ないんだけどね!!(←誇らしげ)






「でも、本当にストーカーなら危ないよ。透ちゃんにそんなことさせられないよ」






うるうると潤んだ大きな瞳で心配そうにあたしを見つめる明ちゃんは超・絶・KA・WA・I・I!!!

何度も言うけど、ほんとあたしの妹に生まれてきてくれてありがとうー!!

ああ、ヤバい鼻血出ちゃうかも…






「大丈夫!大丈夫!いままでだっで、あだじが撃退しできだんだがらッ!!」


「透ちゃん、何で急に鼻押えてるの?」


「ごれはちょっどじだ諸事情と言いまずが何で言うが………気にじないで」






とにかく、明ちゃんは今までの会話からも分かるように、ちょっとぬけてるというか天然さんなところがあるから、姉であるあたしがしっかりと守ってあげないと!!

幸い、あたしたちが住んでいるこのマンションは明ちゃんの事務所である『GLORIOUS』が用意してくれた『GLORIOUS』に所属する芸能人専用のマンションだから、セキュリティは万全だ。

オートロックだし、監視カメラ完備だし、正面口・裏口・非常出口にいたるすべての出入り口に選りすぐりのガードマンが常時駐在しているという徹底ぶりだ。

基本的に住んでいる人と事務所から立ち入りを許された人しか入れない。

こんな高級なマンション、明ちゃんが芸能人じゃなかったらあたしなんかには一生縁がない代物だ。






――――そうなるとマンションの中は安心だから、気をつけるのは外ね。特に気が緩みがちなマンション周辺は気をつけないと!






グッと拳を握りしめ、決意を固くしたあたしがそのストーカーと出会ったのが本日。

仕事から帰宅する際に乗ったタクシーから降りた時、あたしは見てしまった。

電柱の陰に隠れて(デカいせいで隠れきれてなかったけど)こっちを見ている黒ずくめの人物を。






「ああー!!ストーカーッ!!」






思わず大声でそう叫ぶと、脱兎のごとく黒ずくめの人物は走り去ってしまった。

しかし、ここで諦めるあたしではない!!

可愛い可愛い妹の危険分子となるかもしれない存在をみすみす逃してたまるかっ!!






「待ちなさーいっ!!」


「透ちゃん!?」






可愛い妹が呼んでいる声がするが、今は戻るわけにはいかない!!

ごめんね、明ちゃん!

これはあなたのためでもあるのよッ!!






「待ちなさいったらコノヤローッ!!」






デカい図体のわりにひょいひょいと身軽に逃げていく黒い後ろ姿を追いかけること数十分、ついにあたしはその大きな背中を捕まえた。

持久力と足の速さには少しばかり自信があるものでね!

そんじょそこらのストーカーには負けないぜ!






「さーあ、捕まえたわよーっ!可愛い可愛い明ちゃんにひっつく害虫めっ!!その顔を見せなさいッ!!」






そう言いながらストーカーの顔を隠していたサングラスとマスクを引っぺがすと――――――











そこには汗を滴らせ荒い息をしているという、妙にエロい雰囲気をもった美青年が現れました☆











* * * * * * * * * * * * * *











そんなこんなでぼうっと回想をしていたあたしが、ハッっと我に返るといつの間にか明ちゃんとストーカーな美青年―――えっと、聖くん、だっけ?―――はあたしから少し離れた場所で二人で何やら話し込んでいて邪魔できる雰囲気ではなかった。

何となく手持無沙汰になって、何気なく鼻を触ってみると、鼻血が止まっていることに気付く。

おぼろげな意識の片隅に明ちゃんが拭き取ってくれたような記憶がある。

ああ、後でお礼言わないと…!






――――てか、美青年の前で鼻血ブーしちゃったよ…!終った…あたしの女としての何かが終わった…!






今まで色んな事がありすぎて混乱してた頭が徐々に落ち着いてきたことで、色々と思い出し落ち込む。

そう言えば、顔が分らなかったとは言え、あんな美青年に向かって「害虫」とか言っちゃったよ…!

あ、でもストーカーなんて行為してるんだからそれくらい言われても仕方ないよね…?

……ああー、でもでも!

美形に「害虫」とか言うのは美形好きのあたしの心が許さないって言うか、何だか居た堪れない気持ちになってくるぅー!






しばらくそうして悶々としていたけど、視界の端に再び二人の姿が見えた時ハッと気付く。

聖くんが明ちゃんに向ける目が笑顔が。

とてもとても優しくて温かくて。

そう、そうれはまるで愛しい人に向けるようなものだったことに。






――――やっぱり、聖くんは明ちゃんのことが好き…?






もしかして、聖くんは明ちゃんが好きで好きで思わずストーカーしちゃって、でもあたしに見つかって捕まえられたからとっさに私のストーカーだって言っちゃった、のかな?

誰だってストーカーされるのは良い気分になるもんじゃない。

だから本当は明ちゃんのことストーカーしてたんだけど、それを本人(好きな人)にバレるのは最も避けたいことのはずだ。

けどストーカーしてたことはバレてしまったから、せめて違う人のストーカーだったということにしとけばちょっとはダメージが和らぐって考えたのかな?

苦しすぎる言い訳だけど………追いつめられたあの状況だったら有り得なくもない話なのかもしれない。

そう考えれば、聖くんの明ちゃんに向ける目や笑顔のことも納得できる!






――――そっかそっか~。見たところまだ十代っぽいし、若気の至りってヤツかね?






ストーカーという行為をしてしまったことはダメだと思うけど。

その根底にある好きって気持ちは否定したくはない。

だって、ストーカーって行為にまで走ってしまうほどその好きって気持ちはきっと深いものだったんでしょう?






――――だったら見極めてやろうじゃない!聖くんの気持ちが本物なのか!明ちゃんに釣り合う相手なのかどうか!






さっきの様子からして、聖くんもストーカー行為をしてしまったことは本当に反省してるみたいだった。

二人で話している様子からしても、明ちゃんも聖くんのことを怒ったり嫌ったりはしていないようだ。

ということは、聖くんの恋がまっとうに実る可能性もあるというわけで。






最終的に決めるのは明ちゃん自身だけど。

その前に姉であるあたしが見極めてやろうじゃない!

あのストーカー美青年が改心して明ちゃんに相応しい相手になるかどうか!






――――よーし、厳しく見定めるから覚悟しなさいよ、ストーカー美青年!!






熱く決意した眼差しで見つめた先の美青年は、あたしの視線に気がつくとまたあの極上な微笑みを浮かべた。











………いづになっだらあだじはごの顔を見で鼻血を出ざなぐなるのでじょう?














遅くなって申し訳ありません(-_-;)




何だか無理やりな話の展開ですかね;

大目に見てもらえると嬉しいです……




次回は透が一人で意識を飛ばしていた時の、明と聖の話を書きたいと思います。

そこで二人の本性が分かる…かも?




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