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人外転生  作者: 雪鼠
9/21

9・神 ×2サマッ!

『ではまず、感知系統からだな。肉体を乗り換えれば五感はどうにかなるが……しかし一応、感知系スキルは一通り揃えておくか。『光波感知』『音波感知』『臭気感知』『熱感知』『魔力感知』『万能鑑定』……すべて含めたスキルでも作るか。名前は、そうだな、『万能感知』とでもしよう。……情報量が膨大になるな。ふむ、加えて『高速演算処理』『超記憶』、それと『思考超加速』なんかも入れるか』


 お、おお!

 なんかすごいことになってる!


『移動は人間の手足があれば……否、どうせならば『歩行』『走行』『縮地』『空間機動』も……となると速度に耐える頑強さが必要だな。『鋼鉄体』『鉄壁』『岩龍の加護』……攻撃面も充実させておくか?……『剛腕』『攻撃強化』『剣術』『槍術』『弓術』『格闘術』………種族も『神人』にして……』


 よ、よく分からんがすげえ!

 ありがとう神サマ!

 こんなに頑張ってくれるとは思わなかったよ!

 悪いね!


『いや何。気にするな』


 ……え、あ、うん。

 そう……。


 なんか、すごく急に乗り気になってない?

 さっきまで文句垂れてたのに。

 どうしたの?


『気が変わったのだ。言ったろう、私は新生の神に良い感情を持っていない』


 うん、それは聞いた。


『貴様が世界を危機にでも陥れれば、多少は彼奴等に意趣返しができると思ってな。世界が危機なら庇護するべき人間たちが危うい、しかし大きな干渉はできない。ククク、頭を抱える彼奴等の姿が目に浮かぶわ……』


 うわお。

 思ったより危ないこと考えてた。

 いや、あんたも一応神なんでしょう?

 人間滅ぼそうとすんなよ。


『人間なぞ滅んでも良かろう。また繁栄し直せば問題ない』


 神らしからぬ発言で草。


『草?』


 あ、知らないんだ。

 なんでも無いっす。


 でも確かに、強さってのはいくら持ってても良いもんだよな。

 俺としても、この不便な状態から一刻も早く抜け出したいのは確かだし。

 お願いしますよ、神様!


『うむ!どんと任せよ!』




   ■ ■ ■




 てな感じで。

 俺と神様は、俺の強化計画について楽しく話していた。

 神様が俺の新しい肉体を作り、今にもそれは完成しようとしていた。

 のだが。


『あ、ようやく見つけた!お父さん!』


 突然、誰かの声が聞こえた。

 顔は見えないが、声は美人だ。

 ってか、「お父さん」?

 てことはさっき言ってた……「常識人」の「娘」さん?


『ああ、こんにちは。私、この人の娘の、ヘラよ。……で、お父さん!こんなところでコソコソと、一体何をやってるの!?』


『ヘ、ヘラ、その、これは……』


『全く本当に、お父さんったら!あんなに軽々しく祈祷に応じて……それに、勇者召喚まで……どれだけ道草を食ってるの!はやく会議に戻ってちょうだい!お父さんのために開かれたのよ?』


『う、うむむ……』


 うわあ。

 自分の娘に叱られてる。

 かっこ悪い大人(?)だなあ。


 てか、勇者召喚?ってダメなことだったの?

 さっき、例外的にOKとか言ってたけど……。


『それは……本当に、『例外的に』です。あの程度の規模の祈祷では、神どころか、中位の精霊ですら応じるかどうか……お父さん、決まりはしっかり守ってちょうだい!他の方々に顔向けできませんよ!』


『そ、その決まりは、お前たちの世代が勝手に決めたものであろう!我々に従う義務はない!』


『いいえ!あの会議には、お父さんたちも参加していました!大規模に施行される、重要なものだからと多くの神々が招集されて……決を採って採用された決まりなのよ?しかも!お父さんも賛成票を入れていました!』


『そ、そんな覚えは……』


『どうせ話も聞かず、よく考えなかったんでしょ!そういう適当なところがあるから世界のバランスがすぐ崩れて…………』


 うわー。

 かっこわる。

 すごく、すごーくかっこ悪い。

 勇者召喚も、仕事だから仕方なく、って口調だったのに、やる必要はなかったのか……。

 自分がやりたかったのかな?


 あんなに頼もしかったのが嘘のようだ。


『年甲斐もなくおもちゃ(肉体)なんか作っちゃって……捨てておしまい!』




 ……えっ?




『う、うむ。分かった……よし、消滅させたぞ。これで良かろう』




 ………………へっ?




『すぐ帰るわよ。お父さんのせいで、緊急の会議が開かれたんだからね。全く、なんと言えば良いのか……』




 ………………………………えっちょ、まっ……




 待て待て待てまて!!


 俺は!

 俺はどうなるんだ!!

 流石にこのまま放置は無いよね!?

 ねえ!

 ヘラさん!?




『ほら、何をグズグズしてるの。早くして、お父さん』




 完全無視かよ!!!

 なんかデジャブ!!!


『のう、ヘラよ。流石に、こいつをこの状態で放置するのはあんまりだと思うのだが……目も見えんし、ろくに移動もできんのじゃぞ』


 そうだクロノス様!

 言ってくれ!




『顔を見せただけで十分だわ。そんなことより、ゼウス様がご立腹よ』




 こっちの神も大概だった!!


 顔見せだけじゃなんも変わんねーよチクショー!!!



『うむむ……ではせめて、ユニークスキルの再付与だけでも……』


『はあ……本当にそれだけよ。早くしてね』



 おっおお、クロノス様!

 どうにか……どうにかヘラ様を説得して……。

 せめて五感を……。


『すまんがそれは無理だ……見ての通り、娘には頭が上がらんでのう』


 情けねーオヤジさんだな!!

 そんなんで恥ずかしくないのかよ!?


『…………返す言葉もない……しかし、言った通りにユニークスキルの再付与をしてやろう。ユニークスキルは総じて強力なものが多く、文字通り世に2つとない希少なものだ。転移者にユニークスキルを付与する慣例は古くからあり……』


『お父さん?』


『わ、分かっておる!疾く済ませる!さあ、付与するぞ』




 クロノスがそう言った直後。


 俺は、何かを感じた。


 視覚でも、聴覚でもない。


 触覚ですらなかった。


 しかし俺は確実に、なにかを感じた。



 俺のなにかが、確実に変わった。




『貴様に授けた権能は…………『契約』、だ』


 おお!


 ……ん、え?


 えーーっと、契約?って言った?

 ちなみにそれはどういった事ができる……?




『簡単だ。契約ができる』




 ……………は?



『だから、契約ができる』



 いや言葉の意味がわからないんじゃなくて……。


 契約ができる、だけ?



『そうだ』



 ………………………………は??


 ……………………………………………………え???


 それで……………それで、生き残れ、と?





『終わった?なら、行くわよ』


『まあ、なんだ……生き残れるよう、奮闘するが良い』




 そう言い残して、2人の神は去っていった。


 呆然とした、俺を残して。

 草っていうのは………面白いねって意味だよ。


『何故草なのだ』


 さあ……

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