■94 協力要請
それから数日間は野球部やサッカー部と同じように九条さん達と一緒に様々な部活のお手伝いを行い、校内に広まっている噂話の汚名返上とPTA会長の悪事を広めていった。
野球部やサッカー部以上のヤバい部活は殆どなく、大抵の部活はスムーズに話を聞いてくれた。
「クジ運悪かったんだなぁ……」
俺は神楽耶に起こして貰った後、布団に座りここ一週間の活動を振り返る。
『でも、その活動も終わりなんですよね!』
『……だな。今日PTAの臨時集会があるあら、その場でいろいろ決着がつくんだろう』
神楽耶とのやり取りを終えた俺はベットから立ち上がり、思いっきり背伸びをする。
「ん~~! ……よしっ! 着替えるか」
学生服に着替えた俺は、1階に降りてリビングに向かう。
「おはよー愛花」
「あ、おはようございます兄さん! ご飯の用意できているので、ちょっとまってくださいね」
「おぅ」
俺は朝食を済ませた後、学校の準備を済ませて愛花と一緒に学校へ向かう。
梓ちゃん達と合流を済ませて校門に近づいていく。
「……それにしても、殆ど視線を感じなくなったもんだよな」
「ふふ、兄さんの頑張りの結果ですよ!」
「……誤解が解けて何よりです!」
「本当だよね!」
「皆も大変だったのに付き合ってくれてありがとうね」
俺は皆にお礼を伝えた後、昇降口で1年生組と別れて自分の教室へと向かう。
教室に入り、自分の席に移動する。
「和樹おはよう!」
「おはよう樹」
「いよいよ今日が決着の日だな!」
「だな。いろいろ手伝って貰ってありがとうな」
「何、問題ないさ。これで思う存分部活が楽しめるというものだ!」
「そっか……それもそうだな」
ここ最近、放課後は他の部活に顔を出していたので、自分たちの部活動を出来るのは久しぶりな気がする。
すると、恵達も俺の席に近づいてくる。
「おはよう和樹君。いよいよ今日ね」
「……おはようございます山守君」
「……おはよー山守」
「おはよー。……すっかり見慣れた3人になったもんだよね」
「まぁね」
「……園田さん、いろいろ協力してくれてありがとうね」
俺は園田さんに改めてお礼を伝える。
「……いえいえ! こうやって恵ちゃん達と一緒にいれるようになったのも山守さんのお陰ですから、これぐらい平気です!」
すると、園田さんは精一杯の謙遜をする
「それに、近藤さんも協力してくれてありがとう!」
「……いいよ。私がしたいからしただけだし」
近藤さんはまだ素っ気ないが少しは打ち解けているようだ。
程なくして、高橋先生が教室に入ってきてHRが始まった。
お昼休み、部室でご飯を食べ終わった俺達は九条さんから話を聞いていた。
「――それでは今から、放課後にある臨時集会の最終確認をしたいと思います」
九条さんは俺達の顔を見回しながら話す。
俺達は頷くと、九条さんは話を続ける。
「まず初めに高橋先生が今回の臨時集会を開催した理由を説明を行って頂きます」
「えぇ、任せて頂戴」
「そして、次に現PTA会長の武島さんに弁明の機会を与えます。ここで今回行った事を全て話して頂きます」
「……九条さん、そこで相手が嘘の供述をしてきた場合は、どうするんですか?」
俺は不安要素を九条さんに問いかける。
「問題ありません。芳樹さんも待機しておりますので、すぐに異議申し立てができるようにしてあります」
「そうなんですね。……あ、続けてください」
俺は九条さんに話の続きを促す。
「はい。……そして、武島さんが真実を話した後、芳樹さんによるPTA会長の立候補を行って頂きます」
「……なるほど」
「そこで、様々な部活動の皆さんに協力を要請しているので体育館に登場して頂き、今まで和樹さんに行ってきた行いに対して……武島さんから謝罪を要求する、という流れとなります」
俺は恐る恐る手をあげる。
「はい。和樹さん」
「あの、全体の流れは分かりましたが、臨時集会時の俺達はどこにいればいいんでしょうか?」
「放課後は体育館に保護者の方が集まるので、私たちは体育館の隅で待機しておく予定です。私が合図をするので、その時は一斉に私についてきてくださいね」
「……分かりました!」
「……他に、質問はありますか?」
九条さんは周りを見回す。
「……ないようですね。それでは、放課後は体育館で集合です。皆さん、よろしくお願い致します」
俺も含めて全員が頷く。
話が終わった俺達は解散に自分の教室へと戻る。
放課後になり、俺達は樹達と体育館へと向かった。
体育館には1年生組も既に待機しており、俺達は合流する。
「愛花、お待たせ。結構な人数だな」
「そうですよね……」
体育館にはパイプ椅子が大量に設置されており、親御さんの方達が座っていた。
その中に芳樹おじさんの姿を見つける。
「あ、芳樹おじさんも来てる!」
「本当ですか?」
愛花が反応し、すぐに見つける。
「ちょっと、顔出してくるよ」
「了解した! いってくると良い!」
「行ってらっしゃい、和樹君」
俺は樹達に断って、芳樹おじさんの方へと走った。
「……芳樹おじさん!」
俺達に気付いて芳樹おじさんは、パイプ椅子から立ち上がる。
「これはこれは、和樹君に愛花ちゃんじゃないか。もう授業は終わったのかな?」
「はい! これから、臨時集会を体育館の隅で見学させて頂きます! 今日は頑張ってくださいね!」
「私も見学です。芳樹おじさん、今日は頑張ってください!」
「ありがとう2人とも、おじさん頑張るから見守っててね」
「「はい!」」
俺達は芳樹おじさんと軽く挨拶を交わすと、樹達のいる場所へと戻る。
「お待たせ」
「お帰り和樹!」
「おかえり和樹君」
すると、九条さんも体育館に顔を出す。
「九条さん、さ、座ってください!」
俺は開いているパイプ椅子に手を添える。
「ありがとうございます、和樹さん」
俺達も体育館の隅でパイプ椅子に座って待機していると、親御さんたちが全員到着したようだ。
体育館の舞台に視線を向けると、演台とマイクが設置され高橋先生がその場に立っていた。
「えー……本日はお集まり頂き、誠にありがとうございます。PTA総会の司会進行を務めさせて頂く高橋香苗と申します。本日はどうぞ、よろしくお願い致します」
高橋先生の挨拶と共にPTAの臨時集会が始まった。
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