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■84 副会長

俺達が考え付かなかったアイデアをポンポン出してくる会長に圧倒されつつも、俺は素朴(そぼく)な疑問を問いかける。


「でも、部活動のお手伝いって言っても、急に行ってさせてくれるものでしょうか?」

「安心してください。私も同行して事情をご説明した上で、お手伝いをできないか相談させて頂きます」


俺は会長の回答に少し驚く。


「え、会長も一緒に回ってくれるんですか!?」

「……? えぇ、そのつもりですが……何か問題でも?」

「あ、いえ。同行してくれるのは嬉しいんですが……生徒会とか忙しいんじゃないんですか?」

「……それならお昼休みに予め国枝さんに伝えているので安心してください」


するとその時、部室の入り口に見慣れない男性と国枝さんが現れた。


「――山守和樹、というものはいるか!」

「……わわっ! 黒金(くろがね)さん、待ってくださいよぉ!」


黒金と呼ばれる男性は俺の名前をご指名しながら部室に声を響かせる。


「……あの、俺の事ですが……何か?」


俺は恐る恐る手をあげて返答を返す。


「お前か! 会長を(たぶら)かした不届(ふとど)き者は!!」

「……はぇっ!?」


全く黒金と呼ばれた男性の言っている意味が理解できずに、()頓狂(とんきょう)な反応をしてしまう。


「いやいや! 俺は何も……」

「言い訳をするつもりか! そっちがその気なら――」


俺はすぐさま否定をしようと話しかけるが、黒金さんは聞く耳を持たずに俺達へと歩みを進めてくる。

すると会長はそんな黒金さんに視線を向ける。


「――黒金さん」

「……はっ! ……何でしょう会長」


会長が黒金さんに問いかけると、すぐに黒金さんは止まり会長の方を向いて気を付けのポーズをとる。

どうやら黒金という男性は、会長の言葉ならスッと耳に入るようだ。


「……国枝さんからどうお話を伺っているか存じませんが、私は自分の意志でここにいるのですよ?」

「……ほ、本当ですか会長!? ……私は今噂になっている山守和樹に無理やり連行されたとばかり……」

「だから、違うっていったじゃないですかぁ!」


国枝さんは慌てながら黒金さんに問いかける。


「うむ……すまない国枝君。私の勘違いだったようだ……」

「……皆さん、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。この方は生徒会の副会長を務めている黒金翼さんです」


すると、会長は改めて黒金さんの事を俺達に紹介をする。


「ご紹介に預かった黒金翼と申します。生徒会執行部の副会長を務めております。……今回は会長がお世話になっております」


黒金翼という男性はインテリメガネを付けて黒髪ショートのツリ目をした見た目で、優等生オーラが出まくっている人だった。

黒金さんは俺の方に視線を向けてくる。


「……すまなかったな、山守君」

「いえ、俺は別に気にしてませんよ」

「丁度良かったです。……黒金さん、今後の予定も決まりましたので黒金さんにも共有しておきたいと思います」

「今後の予定、ですか?」


それから会長は、先ほど決まった今後の予定と今起きている状況を副会長に共有していく。


「――それで、しばらく放課後は山守さんと付き添い、部活動を回っていこうと思っています。その間、生徒会のお仕事は黒金さんにお任せしたいと思っていますが、よろしいでしょうか?」

「……そういう事情でしたか、了解しました会長! ……すまなかったな山守君。私も噂に(まど)わされた1人になっていたようだ」


副会長は俺の事情を理解してくれたようで、申し訳ない表情をしながら俺に再度謝罪をしてくる。


「いえ、とんでもないです! むしろ、会長が手助けしてくれてとても心強いです!」

「……それで、お話を元に戻しますが、部活動と言っても数多く存在しております。ある程度は絞り込んで効果の高い部活動のお手伝いを行っていった方が効果的です」


それから会長はA4用紙の空いた空白部分に人数の多い部活をリストアップしていく。


「そう考えると、おのずと人数の多い運動部を主に回っていくのが得策となります」

「運動部……ですか?」

「はい。野球、サッカー、テニス、バレー辺りは部員数も多いのでねらい目になるでしょう。ちなみに山守さん、今まで運動部のご経験はあるのでしょうか?」

「……いえ、ないですね」

左様(さよう)ですか。……運動部の方たちはとても血気盛(けっきさか)んな方ばかりなので、時には無理難題も吹っ掛けてくる人もいるでしょう。……それでも、山守さんはそれを受ける覚悟はございますか?」


会長は俺の顔を見据(みす)えて質問をしてくる。


「はい! 俺なら大丈夫です。何を言われようと乗り切ってみせます!」

「わかりました。それなら今から早速、運動部にお邪魔させて貰いに行きましょうか」

「了解です!」


俺は返答をすると、他の部員に視線を送る。


「……という事だから、後は俺と会長で運動部に回っていくから、皆は先に解散していてくれるか?」

「ふふ、何を言っている和樹。私たちも同行するに決まってるじゃないか!」


樹はニカっと笑みを浮かべ、恵も同調してくる。


「そうよ。ここで帰るなんてできないわ。私も付き合うわよ和樹君!」

「2人とも……」

「兄さん、私たちも手伝います!」


すると、愛花に続いて他の1年生組も次々と協力してくれる旨を表明してくる。


「……私も、和樹さんのお力になりたいです!」

「私も! 運動部のお手伝いする!」

「私も協力させて頂きます師匠!」

「……みんな」


芳樹おじさんはそんな俺達を仏のような笑顔で見守っていた。


「……という訳で、黒金さん。私のいない間、生徒会をお願いしますね」

「わかりました会長。会長が戻ってくるまでの間、生徒会は私にお任せください。……山守君、会長を頼みます」

「黒金さん……了解しました!」

「それでは邪魔したな、私たちは生徒会室へ戻るとするよ」

「皆さん、お邪魔しましたぁ!」


話は決まり、黒金さんと国枝さんは部室を後にした。

2人を見送った後、俺はふと思った提案を皆に問いかける。


「……そうだみんな。明日からはこの部室でお昼ご飯を食べるってのはどうだろう?」


すると、恵がすぐに賛成してくる。


「良いわね、私は賛成よ。その方が邪魔されずに安心してお昼ご飯を食べられると思うし」

「私も異論はないな。むしろ、今回の件が解決するまでは校内を歩き回らない方がいいだろう」

「私も賛成です兄さん!」


他の1年生組も異論はないようで、明日以降は部室でお昼を食べる事に決まった。

俺は芳樹おじさんに視線を向ける。


「芳樹おじさん、これから運動部に向かうんですが、時間の方は大丈夫ですか?」

「あぁ、問題ないよ。それに、今日はもう仕事は入れてないから安心してくれ」

「そうだったんですね! わかりました!」


俺は視線を会長に戻す。


「それでは会長、行きましょうか」

「えぇ、まずは野球部から攻めてみましょう」


皆は頷き、ソファーから立ち上がった。

「面白かった!  続きが見たい!」

と思っていただけましたら小説投稿のモチベーションになりますので、

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