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■79 会長の提案

会長の声で学食内は一気に静まり返る。

すると、会長はゆっくりと俺達に近づいて来る。


「これは何の騒ぎですか?」

「会長じゃねぇか。……聞いてくれよ。そいつから一方的に殴りかかってきたんだよ!」

「……なっ!」


近くにいた3年男子はいとも簡単に嘘を会長に伝えていた。


「……ちょっと、嘘言わないでよ!!! あなた達が先に仕掛(しか)けてきたんじゃない!!」


俺が否定しようとする前に、恵は怒りを込めて言い放つ。

すると、周りの観衆(かんしゅう)からも声が上がり始める。


「そうだ! 先に手を出してきたのは3年の方だ!」

「えぇ、私も見たわ!」


観衆(かんしゅう)の声を聞いた会長は、改めて3年男子に視線を向ける。


「……と、皆さんはおっしゃっていますが?」

「……くそっ! ……おい、逃げるぞ!」


会長の質問に対して3年男子はそう呟くと、寝ている3年男子2人を抱えて逃げるように学食を後にした。

会長は黙って去っていく3年男子を横目に見送った後、視線を俺に向ける。


「……それで山守さん、何があったんですか?」

「会長……それが――」


俺は会長にいままで学食で起きた一部始終を伝えながら、地面に落ちた弁当の残骸を片付ける。


「……なるほど、状況は理解しました」


――パンパンッ!

すると、会長は手を叩き学食内に音が響き渡る。


「……後は私たちに任せて、皆さんはそれぞれのお昼に戻ってください」


会長の掛け声と共に集まっていた観衆(かんしゅう)は解散し、それぞれの行動に戻っていった。

すぐさま会長は俺に視線を戻す。


「……山守さん、場所も場所ですし、今回の件も含めてご飯を一緒に食べながら話しませんか? 国枝さんもいいですよね?」


会長は(ひか)えていた国枝さんに確認を取る。


「全然問題ないですよぉ! よろしくねぇ、山守さん」

「わ、わかりました」


俺が会長達に返答をしていると、恵の声が響き渡る。


「斎藤君!」

「……うぅ……私は、いったい」


どうやら樹が目を覚ましたようで、すぐに俺も駆け付ける。


「……樹! 大丈夫か?」

「和樹か……うぅ、ちょっと頭が痛むが……問題ない」


樹はそう言いながら体を起こす。


「……ごめんな樹、巻き込んでしまって……それに眼鏡も割れてしまったし」

「はは! 私が勝手にした事だから和樹が気にする事じゃないさ。それに眼鏡の予備はいつも持ち合わせているから安心すると良い!」


樹はいつも通り軽快に笑いながら答えてくると、愛花達も俺達に近づいてくる。


「兄さん、すごかったです!!」

「……和樹さん、カッコよかったです!!」

「うんうん! スカッとしちゃったよ!」

「師匠! どこまでも付いていきます!」

「わわっ! ちょっと皆っ!」


愛花達が一斉に俺の活躍を賞賛(しょうさん)してきて、俺は軽く驚いてしまう。


「あと兄さん、怪我とかない……ですよね?」


更に愛花は俺の体を気にかけてくれる。

俺は笑みを浮かべ、愛花を撫でながら答える。


「……また、心配させちゃったな。あぁ、俺なら大丈夫だから安心してくれ」


振り返ってみると、相手から一撃も食らっていない事に俺は気付く。


『……改めてありがとうな、神楽耶』

『ふふん! どういたしまして和樹君!』


ドヤる神楽耶を横目に安心しきった愛花を撫でていると、愛花は樹に視線を向ける。


「……でも斎藤先輩は保健室に向かった方がいいんじゃ……」

「私は大丈夫さ愛花ちゃん! それに今の私は非常に空腹状態だ。今から保健室に行っていてはお昼ご飯を食べる時間が無くなってしまう」


樹はそう言いながら、スッと立ち上がる。


「あはは、お腹が減っているなら安心ですね。……あ、そうだ! 兄さん、預かってたお弁当です!」

「お、サンキュー」


俺はお弁当を愛花から受け取ると、改めて樹にお礼を伝える。


「……弁当が半分残ったのも樹のお陰だな」

「ふふ、愛花ちゃんの美味い弁当を地面に食べさせるのは非常にもったいないからな! ……少しでも残っていてよかったよ」


樹も中庭で愛花の弁当を非常に好んで食べていた事を思い出す。


「……そっか、ありがとうな」


俺は樹の復活を確認したので、会長の方へ視線を戻した。


「……すみません会長。お待たせしました」

「いえ。……それでは席を探しましょうか」


それから俺達は広めのテーブルを見つけて移動を始めた。




テーブルに着いた俺達はテーブルに弁当を置く。


「……それでは私たちは買ってきますね」

「はい!」


俺は会長に返答した後、弁当(ぜい)以外はお昼ご飯を買いに向かう。

買いに行く皆を横目に俺は半分残っている弁当を開ける。


「……う~ん」


弁当を眺めながら俺はこの量で足りるのか真剣に考え込む。


「……兄さん、私の少し分けましょうか?」

「……私のでもよかったら少し分けるわよ?」

「え!? いいのか2人とも! 頼む!」


俺は愛花と恵に笑顔で返答すると、2人から少しずつおかずを分けて貰った。


「ふふふ……」


分けて貰った具材で埋まった弁当を眺めていると、お昼ご飯を買いに行った皆が戻ってくる。

皆が席に座った後、俺達は頂きますをしてから食べ始めた。




「ふぅ……やっぱり、愛花の弁当は美味いな。……それに恵のも美味かったよ。ありがとう!」

「いえいえ!」

「いいのよ」


皆もある程度は食べ終わっていたので、会長に今回の件について尋ねる事にした。


「……それで会長、今回の件なんですが……よくわからない噂話が出回っている事が原因なんです」

「存じていますよ。私も朝から耳にしていましたからね。……ですが、私は()に受けてはいませんでした。実際に山守さんとお会いしてそんな事をする人じゃないと分かっていましたからね」

「……会長っ! ……でも、実際に3年と喧嘩した事は事実なんです」


会長の気持ちは有難かったが、俺は昨日起きたことを会長に包み隠さずに伝える。


「……そうでしたか。でも、やはり聞いていた話とは真逆ですね。噂ではまるで山守さんが一方的に犯行を行ったように伺っていましたので」

「……そのせいで朝から校内を歩くだけでも全生徒から視線を感じて大変なんですよね……」

「そうでしょうね。……先ほどみたいに一部の人は自分の意志ではなく、周りに便乗したり無意識に合わせようとする人が大半で、自分の頭で考える事を放棄しているのでしょう」

「……どうすればこの状態を脱することができるんでしょうか?」

「それは簡単ですよ。実際に山守さんが正当性のある人であることを証明すればいいんです。先ほども学食にいた観衆(かんしゅう)の人たちも実際に自分の目で見た事を証言してくれたように、自分の目でみた事は噂話より信じるものです」


会長が言う通り、学食にいた生徒は嘘をついていた3年に異議を申し立てていた。


「確かに。でも、会長……この噂を流している相手は俺が昨日怪我をさせた人の親御さんで、運の悪い事にその人がPTAの会長みたいなんです」

「……なるほど、確かにあの方なら見えない手口で障害(しょうがい)排除(はいじょ)してくるでしょうね」

「そんなヤバい人なんですか!? ……えっと、それでその関係者が噂を流しているようで、いまいち噂の出所がよくわからないんです」

「……わかりました。あの方は前々から素行に疑問を持っていたところです。今回の件については私も協力致しましょう」

「え……いいんですか!!」


俺は会長の意外な提案に心底驚く。


「えぇ。放課後に私も調べた情報を共有させて頂きますので部室にお邪魔させて頂きます。……問題ないでしょうか?」

「それはもう、全然!」

「わかりました。……それでは国枝さん、私がいない間は生徒会を任せましたよ」

「……そ、そんなぁ会長!」


国枝さんは困った顔をしながら返答する。


「ふふ、何かあれば副会長に委任しておきますのでよろしくお願い致しますね」


会長は悪戯っ子のような笑顔を浮かべて国枝さんに伝える。

俺はそんなあどけない会長を見ながら、力を貸してくれる心強さに心が震えるのだった。

「面白かった!  続きが見たい!」

と思っていただけましたら小説投稿のモチベーションになりますので、

★評価とブックマーク登録をよろしくお願い致します。

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