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■67 旅館の朝

朝、窓から差し込む光で目が覚める。

体を起こすと樹が既に起きていて携帯ゲームで遊んでいた。


「……おはよー」

「お、おはよう和樹、昨日はグッスリだったな」

「ふぁ……あぁ、恵との卓球で消耗しすぎたみたいだ」


実は、風呂場から脱出するあたりから猛烈に眠気が襲っていた。

風呂場で寝る前に脱出できて本当によかった。


「なるほどな、確かに豊崎と激戦を繰り広げていたからな、仕方ないだろう」

「……それはそうと、樹はちゃんと寝たのか?」

「当たり前ではないか! しっかり3時間寝てるぞ!」

「……いつも思うが、樹ってそんな睡眠時間でよく元気だよな」

「ふふ、私はショートスリーパーなのだ、短い時間でも問題ない」

「……羨ましい体質だな」


それから樹と雑談をしていると部屋に愛花が顔を覗かせてくる。


「兄さんに斎藤先輩! おはようございます」

「やぁ、おはよう愛花ちゃん」

「おはよう愛花、どうかしたか?」

「はい、朝ご飯の用意が出来ているようなので大広間に集まってほしいようです」

「りょーかい、俺達もすぐに向かうよ。教えてくれてありがとう愛花」

「いえいえ、それでは兄さん、また後で」

「おぅ」


愛花が部屋から出て行った後、俺達は荷物を軽く整理をして大広間へと向かった。




大広間には既に女性陣が座っていた。


「お待たせしました。おはようございます」


俺は早苗さんに挨拶をする。


「おはようございます、和樹さん。昨日は大変だったみたいですね」

「え! ……えぇ、まぁ……あはは」


俺は核心には触れずに笑ってごまかしておく。

朝食の前に座って俺達は頂きますをして食べ始める。


「――それで、和樹さん。ご飯を食べ終わった後、帰る予定ですが……それで問題ないかしら?」


ご飯を食べている中、早苗さんは質問をしてきた。


「えぇ、この2日間、本当にお世話になりました。ありがとうございます!」

「いいのよ。私も久しぶりにアリサちゃんのお友達と遊べて楽しかったわ。また、機会があったら和樹さんも家にいらっしゃい。料理でもご馳走するわ」

「え、良いんですか! ありがとうございます! 是非、その時はよろしくお願いしますね」


俺は早苗さんとやり取りを終えた後、恵に視線を向ける。


「恵、俺達はこの後、車でそれぞれの家に皆を送り届けて解散する感じになるけど、それで問題ないよな?」

「えぇそうね。……でも、念のため帰った後も私は瞳ちゃんの家で夜まで一緒にいようかなって思ってるの。……いいかな、瞳ちゃん?」

「……えぇ! むしろ大歓迎です!」

「決まりね!」


恵と園田さんはお互いに笑い合う。


「……でも、それだと恵も夜遅くに家に帰るって事だよな?」

「え? ……そうなるわね」

「夜遅くに女子1人で帰るのは危ないだろ。それなら……俺も付き添うよ。園田さん、問題ないかな?」


俺は恵の事が心配だったので園田さんに提案をする。


「……はい。夜道を恵ちゃんだけで帰るのは危険ですもんね」

「そこまで考えてなかったわ。……ありがとう和樹君」

「よし。……それじゃ、愛花も付き添いお願いできるかな?」

「……私も、ですか?」

「あぁ、女子の家に俺だけ行くのも問題だろ、愛花が俺を見張っててくれ」

「わかりました! それなら私も園田先輩の家にお邪魔させてもらいますね」

「……えぇ! 愛花ちゃんとまた料理したいなって思ってたところだったので是非来てください!」


その後、俺と愛花と恵と園田さん以外は解散してもらう事に決まる。

程なくして朝食を食べ終えた俺達は、それぞれの部屋で荷物を整理をする。




荷物を持って旅館の出口に集合した俺達は女将さんたちとお別れをすまして、早苗さんのワゴン車へと乗り込んだ。


「それじゃ出発しますねー」


早苗さんの掛け声と共に、ワゴン車は走り出す。

梓ちゃんや神崎さん、樹などを次々と家に送り届ける。


「すみません早苗さん。俺の家に一度寄って貰えますか? 荷物だけでも家に置いておきたいので……」

「わかったわ」


その後、家に到着した俺と愛花は荷物を玄関先に置いた状態にしてワゴン車へ戻る。


「お待たせしました!」


俺と愛花は再度車に乗り込み、ワゴン車は園田さんの家へと向かった。

園田さんの家に到着すると、俺達は荷物を持って車から降りる。


「早苗さん、ありがとうございました!」

「いえいえ、それじゃみんなまたね」

「愛花にお兄さん達もまた明日ね~」


俺達は助手席から手を振ってくるアリサちゃんが見えなくなるまで手を振り続けた。


「……それじゃ、入りましょうか」


俺達は頷き、園田さんは家の鍵を開けて家へと入っていく。

園田さんに続いて俺達も中へと入る。


「お邪魔しま~す」


俺は樹以外の家にあまり行った事がないので、少し緊張していた。


「私の部屋は2階にあるから、付いてきてくださいね」

「親御さんは?」

「今日は夕方まで外出しているはずですよ」


そうなると、今家には俺達しかいないって事か。

俺達は園田さんについていき、部屋へと通された。


「座っていてください。何かお飲み物持って来ますね」


そう園田さんは言うと、部屋から出て行った。


「……なんか、ドキドキするな」

「和樹君って女子の家に来るのって初めて?」

「あぁ、そうなるな」

「へぇ……愛花ちゃん、和樹君の見張り、しっかりお願いね」

「まかせてください、豊崎先輩!」


これから夜まで最後の護衛作戦が始まるのだった。

「面白かった!  続きが見たい!」

と思っていただけましたら小説投稿のモチベーションになりますので、

★評価とブックマーク登録をよろしくお願い致します。

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