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■62 遊園地①

遊園地に到着すると、早苗さんが俺達のいる後部座席を向いて話始める。


「到着したけど、みんな鞄とかは車の中に置いておけばいいから必要最低限のものだけ持ってね」

「わかりましたー」


俺は返答して車から降りる。


「ん~~……よし!」


降りた後、俺は思いっきり背伸びをして凝り固まった体をほぐした。

すると、続々とワゴン車からみんなが降りてくる。


「兄さん、やっぱり週末だけあって人が多いですね」

「だな、それだけ人気があるってことだろ」

「私もこういうところって初めてだけど、ちょっとワクワクするわね」


恵も人込みを見ながらそわそわしていた。


「実は俺と愛花もこういった場所に来るのは初めてで、新鮮なんだよな」

「確かタイムリミットは夕方までだったよな?」


樹も遊園地を見据えてニヤニヤしながら話出す。


「そうだが、あくまで園田さんの護衛って事を忘れるなよ?」

「あぁ、もちろんだ! 任務を全うしながら全力で堪能しよう!」

「それは俺も同感だ!」


俺は1年生組に視線を向けると、テンションの高いアリサちゃんが梓ちゃん達と楽しそうに話している。

みんなに聞こえる声で俺は話始める。


「それじゃこれから入場券を買って中に入るけど、見ての通り結構人が多い。だから入った後は逸れた時の為に合流場所を決めようと思う」


皆が頷くのを確認すると、俺達は遊園地の入り口まで移動することにした。

入場を済ませた後、俺たちは逸れた時の集合場所を園内マップを見て決める。


「――それじゃ、逸れた時はこの中央にある噴水の場所に集まるって事でいいかな?」

「そうだな、その場所の方が目立つし集まりやすいだろう」


樹は頷きながら同意してくる。


「そうね、私もいいと思うわ」

「いいと思います兄さん!」


他の部員達も異論はないようで、逸れた時の集合場所も難なく決まった。


「それじゃ、夕方まで園田さんを護衛しながら思う存分遊ぼう! 園田さん、まず行きたい場所ってあるかな?」

「……はい! それなら――」


それから俺達は園田さんの指示の元、様々なアトラクションを回っていった。




初めは皆でアトラクションを回っていたが、基本的には園田さんと恵の2人で過ごして貰いたい事もあり、次第に俺達は2人を見失わない程度の距離を開けて一緒に行動するようになっていた。

すると、恵と園田さんが3人組の男性から声をかけられていた。


「兄さん、豊崎先輩達……誰かと話しているようですが?」

「……あぁ、ちょっと行ってくる。いくぞ、樹」

「了解した!」


俺と樹は恵達に近づくと、言い寄ってきた3人組の1人が恵に手を伸ばそうとしていた。

伸ばされた手を俺は掴み、睨みつけながら質問する。


「……すみません、俺のツレに何か用ですか?」

「あ……和樹君」


男は俺の手を振り払う。


「……なんだよ、男連れかよ。邪魔したな」


そう言うと、男3人組は俺達から急いで離れていった。

見えなくなったところで恵達に視線を戻す。


「……すまん、大丈夫だったか?」

「え、えぇ。和樹君のお陰で特に問題はないわ」

「……ありがとうございます。山守君」


2人の無事を確認した後、少し考えながら話始める。


「……やっぱり、女子2人で行動するとさっきみたいに言い寄られる事もあるだろうし、俺達も一緒に行動するよ。……いいよな樹?」

「そのほうが良いだろうな」


樹は腕を組みながら頷く。


「……その方がいいわよね。お願いね、和樹君」

「……よろしくお願いします」

「任せて!」


それからは俺と樹、恵と園田さんの4人で一緒に行動し、少し距離を開けて愛花達がついて来る形で遊園地を回る事になった。




とある人気アトラクションに並び、乗り込もうとした時。


「それではここまでの人はお乗り込みください!」


どうやら乗り込める人数に制限があり、丁度乗れる定員が俺達4人までとなり、愛花達を残して乗り物が動き出してしまった。


「……あ、愛花」

「しょうがないわよ。それに終わった後に待っておけばいいと思うわ」

「……それもそうか」


俺達は乗り終えた後、出口付近で愛花達を待ったが出口付近には人が非常に多く、とても人を待てる状態ではなかった。

俺は少し離れた場所からアトラクションの出口付近を見回したが、愛花達の姿は見当たらなかった。


「……見事に逸れてしまったな」


スマホを確認するも、非常に電波が悪く連絡があるかどうかも分からない状態だった。


「……和樹君、どうする?」

「スマホが使えないのは想定外だったよ……」


時刻を確認すると、丁度お昼時の時間を回っていた。


「……もうこんな時間か。一先ず、ご飯を食べてながら考えようか」

「そうね、私も丁度お腹が減ってきたところだし、瞳ちゃんもいいわよね?」

「……はい!」

「丁度私もお腹が減っていたところだ」


話は決まったので、俺達はお昼ご飯が食べられる場所を探し始める。

人も空いている喫茶店のような店があったので、俺達は中へと入った。


「へぇ~お洒落な店ね」

「だな、園内にあるだけに、内装もいい感じだな」


俺達は4人が座れるテーブルへ移動して席に着く。

メニューから思い思いの品を注文し終え、俺達は品物が出てくるのを待っていた。


「……ふぅ、一先ず落ち着くな」

「そうね……午前中はずっと歩きっぱなしだったからね」

「……ふふ、そうでしたね。でもあっという間でした」

「確かに……さすが有名な場所だけはあるな」


樹は何度も頷きながら話していた。

俺は再びスマホを取り出すも、未だに電波が悪く連絡が取れそうになかった。


「……それにしても、スマホが使えないって予想以上に不便なんだな」

「そうね~。便利なものに慣れちゃうと、こういう時って困るのよね」


恵達もスマホを取り出すが、俺と同様に電波が悪いようだ。

俺は気分を切り替える為に園田さんに質問をする。


「それはそうと、園田さん、今日は楽しめてる?」

「……はい! ずっと来たかった場所ですし、まさか恵ちゃんと回れるなんて思いもしなかったです!」


園田さんは興奮気味に答える。


「そっか。楽しんで貰えて何よりだよ。俺も結構楽しんでるし、たまにはこういう場所に来るのもいいもんだな」

「私もこういった場所に来たの初めてで少し緊張してたけど……いいものね。あっという間にお昼になっちゃったもの」


恵も思いのほか、楽しんでいる様子で安心する。


「私もゲームばかりしているが、こうやった実際に自分の足で歩いて楽しむのは新鮮で面白いぞ」

「いい刺激になっただろう? これで少しはゲームを控えて外で遊べよ」

「ふ、それとこれとは話が別だがな!」


どうやらゲームを控える気はないらしい。


「みんなとは逸れちゃいましたが、お昼以降も周りたい場所がありまして――」


それから園田さんは小さいパンフレットにある園内マップをテーブルに広げ、お昼以降に回りたい場所をピックアップしていく。


「こう考えると、全然回れてないんだな。どんだけ広いんだよ……この遊園地は」

「……だからこそ、何度も来て楽しむんでしょうね」

「なるほどな……」


今日は園田さんが行きたい場所を優先して回る事にして、それ以外は次の機会に回すことにしよう。

程なくして、注文した品が出そろったので話を中断して食べ始めることにした。




食べ終えた後、会計を済ませて店から出るとスマホの電波が回復している事に気付く。


「おぉ!! 電波が回復してぞ!」

「え、本当?」


恵達もスマホを取り出して確認し、俺も愛花からの連絡が複数届いていた事に気付く。

俺は愛花に電波が悪かった事を伝えた後、噴水場所で合流しようという話になった。


「よし! まずは愛花達達と合流だ。最初に決めた噴水場所まで移動しよう!」

「えぇ!」


恵達が頷き、俺達は噴水場所まで足を進めた。

「面白かった!  続きが見たい!」

と思っていただけましたら小説投稿のモチベーションになりますので、

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