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■61 別荘での朝

翌朝、目が覚めるとすっかり外は明るくなっており、1階に降りてリビングに向かうと愛花と梓ちゃんが朝食の用意をしていた。


「おはよう2人とも」

「あ、おはようございます兄さん」

「……おはようございます、和樹さん」

「2人とも早いんだね」

「兄さん、もう少しで朝食の用意が終わるので皆さんを起こしてきてもらってもいいですか?」

「……なんだ、皆いないと思ったらまだ部屋で寝てるんだな」


俺は皆より早く起きた事に少しだけ優越感(ゆうえつかん)(いだ)く。


「わかった。それじゃ皆起こしてくるよ」


俺は愛花に言われるがまま、2階へと向かった。

2階に到着すると、誰がどの部屋で寝ているか全くわからない事に気付く。


「手当たり次第って事だな」


俺は一番手前の部屋から確認することにした。


――コンコン

まずはノックをして反応を伺うが……無反応のようだ。

俺は、恐る恐る扉を開ける。


「……アリサちゃん、寝相悪っ」


すると、室内にはアリサちゃんがベットに寝転がっており、蹴飛ばされた布団が地面に落ちていた。

ベットに近づくとパジャマの上着は(めく)れあがっており、アリサちゃんの可愛らしいおへそが丸見えの状態だった。


「……無防備すぎるな」


確か、俺の家に泊まってた時もアリサちゃんが俺にしがみ付いてきていた事を思い出す。

俺はそっとむき出しになったおへそをパジャマで隠し、アリサちゃんの体を揺らす。


「アリサちゃ~ん、朝だよ~! 起きて~朝ごはんだよ~!」

「……う~ん、むにゃ?」


すると、アリサちゃんはかすかに目を開く。


「もう朝飯出来るってさ、早く起きて降りてきてって愛花が言ってたぞ?」

「……あ、愛花のお兄さん……。ふあぁ~い。着替えたらすぐ降りるね~」


アリサちゃんはベットから体を起こし、目を擦りながら返答する


「よし、起きたね。それじゃまたあとで」

「は~い」


俺はアリサちゃんが起きたことを確認すると部屋から出る。

次の部屋の前に移動してノックをする。


「は~い」


すると、中から早苗さんの声が聞こえてきた。


「あ、おはようございます和樹です。そろそろ朝食が出来るみたいなので降りてきてほしいようです」

「わかったわ。わざわざありがとうね」

「いえ、それじゃまた後で」

「えぇ」


さすがにアリサちゃんのお母さんは起きていたようだ。

少し寝ている姿も見たい欲望に駆られたが、顔を左右に振って雑念を振り払う。


「次は……っと」


次の部屋の前に到着してノックをしてみる。

無反応だったので、俺は恐る恐る扉を開ける。


「……樹か」


室内を見ると樹がぐっすりと寝ているのが確認できた。

俺は近づき、布団を取り上げる。


「おい、もう朝だぞ。起きろ!」

「うぅ……ん、何だ……もう朝か?」

「あぁ、愛花達からの伝言でもう少しで朝食が出来るから降りてこいってさ」

「なに! 愛花ちゃんの料理が出来るのか? ならすぐに降りなくてはな!」

「いきなり元気だなお前。……樹って愛花の料理、大好きだよな」

「そりゃ美味しいからな。さて、早く着替えて降りるとしよう」


愛花の事を褒められると自分の事のように嬉しくなる。


「それじゃ俺は他の人を起こしにいくよ。それじゃまた後で」

「わかった」


俺は部屋から出た後、別の部屋へと移動しノックをする。


「はーい?」


すると、中から神崎さんの声が聞こえてきた。


「あ、神崎さん? 和樹だけど、愛花がもう朝食出来るから降りてこいってさ」

「わ、わかりました師匠! すぐに用意しておりますね」

「お願いね~!」


俺は扉の前で要件を伝えた後、別の部屋へと移動してノックをする。

無反応だったので、恐る恐る部屋の中に入ると(すで)に起きていた園田さんが読書をしていた。


「園田さ~ん……?」

「……え、あ! や、山守君? な、何か用ですか?」


やっと俺に気付いたのか、予想以上に驚いている。


「読書中にごめんね。愛花が朝食出来るから降りて来いってさ」

「……わ、わかりました。わざわざありがとうございます」

「うん、それじゃまた後でね」

「はい、また後で」


俺は開いた扉をそのまま閉めて次の部屋へと向かった。


「これで最後かな?」


――コンコン

俺は扉をノックするも無反応だったので、恐る恐る扉を開ける。

室内では恵がベットでまだ寝ている様子だった。


「さすがにアリサちゃんみたいな寝相ではない……か」


俺は部屋に入り、恵を近くへ移動する。

すると、天使のような寝顔をしている恵が視界に入る。


「気持ちよさそうに寝ちゃって……」


俺は恵の顔にかかっているモミアゲを手で払いのける。

すると、恵は微かに目を開けて俺と視線が合う。


「……よ、おはよう」


俺が挨拶をすると、急激に頬を赤らめる。


「な……な、なんで和樹君が私の部屋にいるの?」


恵は布団を抱きしめながら俺へ問いかける。


「あ、いや……起こしに来たんだよ、愛花が朝食が出来たから降りてこいってさ」

「え……もうそんな時間?」


恵は時計に目を向けると、少し冷静になる。

すると、(うつむ)きながら俺を上目遣(うわめづか)いで見てくる。


「……和樹君。昨日……の事だけど。……忘れて、気の迷いだったのよ」


おそらくバルコニーでの事を恵は言っているのだろう。


「……だな。恵がそういうなら忘れるよ」

「……うん」


俺は気まずい雰囲気(ふんいき)払拭(ふっしょく)するように声をあげる。


「よし! 愛花からの伝言だけど、朝食が出来ているから降りてこいってさ。恵も元気だしていこう!」

「え、えぇ!」


恵は俺と同様に元気よく返事を返してくる。


「それじゃまた後でな」

「また後でね」


俺は部屋から出た後、1階のリビングへと戻る。

そこには俺が起こしてきた人達が(すで)に待機しており、俺達を待っている様子だった。


「おまたせ、恵もすぐに降りてくるってさ」


俺が言い終わる頃、恵もリビングへと降りてくる。

俺達も席に座り、頂きますをして愛花達が作ってくれた朝食を食べ始める。




一通り朝食を食べ終えた後、俺は皆に向けて今日の予定を確認する。


「――それで、今日の予定だけど、まず夕方まで遊園地で遊んだ後、温泉に向かう予定だ。……早苗さん、場所ってアリサちゃんから聞いてますか?」

「えぇ、聞いてるわ。なんだか楽しそうな1日になりそうね! 私も引率(いんそつ)として和樹さん達をサポートしていくからよろしくね」

「ありがとうございます。それでまず遊園地なんだけど、結構な大所帯(おおじょたい)だから高確率で(はぐ)れる可能性があると思うんだ。だから、到着したらまず(はぐ)れた時の合流場所を決めておこうと思う。園田さん、今日向かう遊園地ってまだ行った事ないんだっけ?」

「……はい、今回が初めてです。でもネットでいろいろ下調べはしているので任せてください!」


園田さんは頼もしそうに笑顔を浮かべる。


「お、いいね! それじゃ今日の指揮(しき)は園田さんのまかせようかな」

「……はい!」

「皆で遊園地! 今からワクワクしてきちゃうな!」


アリサちゃんは笑顔を浮かべ、両手を胸元で握りしめながら話す。


「だね! 今日の俺達は護衛だけど、さすがに遊園地までリサ達も付いてこないだろうから、基本的に園田さん達と楽しく遊ぶ感じで問題ないと思う」

「……和樹君、それ……何か悪いフラグが立ちそうだからあまり言わない方がいいんじゃないかしら」


恵は不安そうな顔をしながら俺に忠告(ちゅうこく)してくる。

俺も一度リサ達に捕まった事を思い出して、考えを改める。


「……だな。細心(さいしん)の注意は払って遊ぶようにするよ」

「えぇ、そうしましょう」


話は決まった後、昨日できなかった食事の片付けを早苗さんから勝ち取る事に成功する。


「……そんな、気を使わなくてもいいのよ?」

「いえ、家ではいつもしている事なので、もう慣れちゃってますから問題ないです!」

「はい! 私も手伝いますので大丈夫です」


どうやら愛花も手伝ってくれるようだ。


「ふふ、2人ともありがとうね」

「それじゃ俺達が片付けしている間に出かける準備をお願いね」


それぞれが返答を返してくるのを確認すると、俺と愛花は急いで朝食の片付けを始める。


「そういえば兄さん、昨日豊崎先輩とバルコニーで何話していたんですか?」


片づけをしている間、愛花から質問が飛んできた。


「……あ~、あれだ。バルコニーからの景色がすごく良いね。って話してたぞ?」

「……本当ですか? まぁでも、本当に景色はよかったですよね。私もあの後、豊崎先輩と眺めていましたから」

「そうだったんだな」

「はい。でも豊崎先輩、いつもと何か雰囲気が違うというか……心ここにあらずって感じで放心状態だったんですよね……」

「あはは……景色に心奪われちゃったんだろう」

「言われてみれば……そうなんでしょうか……」


なんとか愛花を誤魔化すことが出来てホッと胸を撫でおろす。




程なくして、朝食の片付けも終わり俺と愛花も出かける準備をし終わる。


「早苗さん、今回はこの家を貸して頂きありがとうございます」


俺は家から出る前に早苗さんに再度お礼を伝える。


「いいのよ、私も楽しかったわ。また車での移動になるから車内でゆっくりしていなさいね」

「はい!」


家から出た後、俺達は早苗さんのワゴン車に乗り込む。


「おぉ……寝ていたから分からなかったが、結構パンパンだったんだな」


アリサちゃんが助手席に座っても後部座席には俺も含めて6名が座る事になる。

すると、運転席の早苗さんが後部座席にいる俺達の方へ顔を向ける。


「それじゃ出発しますね~」

「お願いしますー!」


俺が返答すると、車はいよいよ遊園地へと出発していった。

「面白かった!  続きが見たい!」

と思っていただけましたら小説投稿のモチベーションになりますので、

★評価とブックマーク登録をよろしくお願い致します。

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