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■49 新しい依頼

生徒会室から出た後、皆を見回してから話始める。


「よし、次の活動について話したい事があるから皆は先に部室に向かっておいてよ。俺は鍵を取ってくるから」


それぞれの返答を確認した後、俺は職員室へと急いだ。

職員室に到着すると失礼しますと言って中に入り、俺は高橋先生の姿を探した。


「あ、高橋先生!」


奥の方から歩いてきた高橋先生が見えたので名前を呼びながら近づく。


「山守じゃない、これから部活?」

「はい。そうなんですが、先ほど生徒会室で会長に活動実績を証言して正式な部活として承認を貰いました!」

「え! もう貰っちゃったの? 確か、前に部室にいた……神崎さんだったわよね。……もうお悩みを解決しちゃうなんて、さすが山守ね」

「いえ、部員の皆が頑張ってくれたおかげですよ! それで今から部室で次の活動について話し合う予定なんですが、高橋先生も同席(どうせき)して貰えますか?」

「……そうね。わかったわ。私も一緒にいきましょう」

「ありがとうございます」


話終えた俺は、部室の鍵を借りて高橋先生と一緒に部室へと向かう。

部室に到着すると、部員が扉の前で神崎さんをメインに雑談をして待っていた。


「おまたせ、鍵持ってきたよ!」


皆にそう伝えると、俺はすぐさま扉の鍵を開ける。


「さ、中に入ろう」


ぞくぞくと部員が中に入っていき、高橋先生と俺も部室の中へと足を踏み入れた。


「皆、ソファーに座ってくれ」


俺以外の部員がソファーに座るのを確認すると俺は話始める。


「まず、()れて正式にこの学園生活奉仕部が認められたことを皆で喜ぼう! ありがとう皆、ここまでこれたのも皆のおかけだよ!」

「ふ、私は実況中継して宿題していただけだったけどな! 次の依頼はもっと活躍しようじゃないか!」


樹はメガネをクイっとしながら次の活動への闘志を燃やしていた。


「でも、トントン拍子で進んでちょっと怖いぐらいね」

「おめでとうございます兄さん! それに梓ちゃん達も」

「……おめでとうございます! 和樹さんが考えた部活が認められて、私も嬉しいです!」

「おめでとう~! これで自由に活動できる部室を手に入れたって事だよね!」

「そうだな、もうこの部室は5月以降も俺たちが自由に部活で使っていい事になったはずだ。……そうですよね高橋先生?」

「そのはずよ。正式に生徒会から認められたのなら、5月以降もこの部室は自由に使っていいでしょうね」

「ですよね!」


俺は朝のHRに配っていた募集プリントについて確認してみる。


「あと、高橋先生。今日の朝のHRで部活の募集プリントを配っていましたが、あれって全クラスで行ってくれているんですか?」

「そのはずよ。なんならもう、お悩みが届いているんじゃないかしら」

「なるほど。……でも、次の依頼はもう決まっているんです」

「あら、そうなの?」


部員と高橋先生の視線が俺に集まる。

俺は皆を見渡しながら話始める。


「次の依頼というのは、恵の相談事だ」

「……あら、部員の悩みなのね」

「えぇ、俺達が自分の悩みを解決できていない状態で、他人の問題を解決していくのも良くないと思いまして」

「……そういう事ね。分かったわ」

「はい。だからこそ、皆も悩み事があれば今後も俺達に相談してくれ! 俺達は全力で悩み事を解決する為に協力するからな!」


皆の返答を確認した後、俺は恵に視線を戻す。


「それじゃ……恵、あの話を皆にして良いよな?」

「……減るものじゃないし、いいわよ」

「わかった」


俺は部員と高橋先生に恵の悩み事を共有した。


「――つまり、恵が親密になった女子生徒が不良グループに標的にされてしまうのを根本的に解決したいってのが、この相談の主な課題となる」


俺が話終えると、部室はシンっと静まり返る。


「……確かに豊崎とクラスの不良グループは前からいろいろ因縁はあるのは知っていたが、そんな事になっていたとはな……」


樹が沈黙を破り、話始める。


「あぁ、俺もこの前知ったばかりの事実だ。この問題は根本的に解決しないと恵の今後の学校生活に支障は出てくるだろうし、今のうちに解決しないといけない問題だと俺は思っている」

「……ごめんね。私の問題に皆を巻き込む感じになっちゃって」

「いえ! 豊崎先輩、学生のお悩みを解決するのが私たちの部活です。気に病むことなんてありませんよ!」


愛花は恵に元気よく話しかける。


「はい! 私も微力ながら協力させてください!」


神崎さんも愛花に同調していく。

他の部員も同意見のようだった。


「……ありがとう、皆」


高橋先生は(うつむ)きながら神妙な顔をして話始める。


「……あの問題児達が豊崎にそんな事をしていたなんて……気づけなかった私が恥ずかしいわ」

「俺も(そば)にいて気づけなかった事ですから、先生も気を落とさないでください」


皆を見回して俺は話を続けた。


「ここまで恵への嫌がらせが長引いている原因は、決定的な証拠不足によるものだ。だからこそ、俺達で決定的な証拠を見つける為の具体的な作戦を話し合いたいと思う。……恵、クラスで一番仲の良かった女子生徒って誰だ?」

「えっと、……園田(そのだ)さんかな、1年の時に不良グループと衝突(しょうとつ)した後によく話す様になった子よ。……でもその後、私から離れちゃったけどね」

「園田さんって確か、気弱そうな子だったよね。よし、恵。明日から園田さんと積極的に絡んでいってくれ」

「……え? それじゃまた園田さんが標的にされちゃうじゃない」

「……それが狙いだ」


俺は棚のある方へ移動し、一番下に仕舞ってある将棋部が残していったハンディカムのビデオカメラを取り出してみんなの前に突き出す。


「これで決定的なシーンを映像として残すんだ!」

「……つまり、その映像を証拠として相手に提示するって事?」

「あぁ、証拠さえ用意すれば相手も黙っちゃいないだろう。先生、こういうのって映像で証拠を用意すれば、生徒に直接指導って行えるものなんですか?」

「えぇ、映像といった物的証拠があれば、私の方から学校側に問題提起(ていき)することが出来るわ」

「ですよね! ……よし、そうと決まったら証拠を映像として撮影する為にも、恵には動いてもらう必要があるんだ。恵、お願いできるかな?」

「わかった。それで……問題の証拠映像は誰が撮影するのよ」

「そうだな……樹、お願い出来るか?」

「お、私がその大役を受け持っていいのか?」

「あぁ、園田さんを尾行するにも体力が必要だ。樹にしか頼めないだろう」


俺はビデオカメラを樹に手渡した。


「ちょっと待って! ……え、園田さんを斎藤君がビデオカメラを持って尾行するの?」

「……そうだが? 何か問題があるのか?」

「いや……それって完全にストーカーじゃない?」


一瞬、部室の時間が停止したような感覚になる。


「いやいやいや! これはれっきとした部活動だから、(だん)じてストーカーじゃないから!」

「……そうだとしても、はたから見たら相当変な感じになるわよ?」

「確かに……恵の言い分も一理あるな……。わかった、俺も一緒に尾行しよう。これでいいだろ恵!」


俺は恵の方を自信満々で見る。


「……いや、男子が1人から2人になっただけじゃない」

「2人組のストーカーなんていないだろ!」

「……そもそも男子2人が1人の女子を尾行するってのが危ない図式にしか見えないんだけど」

「うぅむ……。それじゃ……愛花、すまんが付き合ってくれるか?」

「あはは……わかりました。私もご一緒しますね」

「これで問題ないだろう恵!」

「まぁ……そうね。いいんじゃない」


やっとの事で話が決まり、俺は梓ちゃん達の方を向く。


「それで、梓ちゃん達にもお願いしたいことがあるんだ」

「……はい! 何でしょうか?」

「何でもまかせて!」

「はい和樹さん! 何でしょうか?」


元気よく返事を返す梓ちゃん達に俺は話始める。


「うん。不良グループは学校内でも園田さんに接触するかもしれない。だからこそ、梓ちゃん達にも学校内での物的証拠シーンを見かけたらスマホを使って写真でも映像でもいいから物的証拠を残してほしいんだ。お願いできるかな?」

「……はい! わかりました!」

「りょーかい!」

「わかりました和樹さん!」

「ありがとう、3人とも頼りにしているよ!」


元気よく了承してくれる梓ちゃん達に笑顔でお礼を言うと、俺は恵に視線を向ける。


「恵、話は決まった! あとは、俺達が全力で恵の問題を解決するから任せておけよ!」

「……あ、ありがとう和樹君。……何だか照れくさいわね」

「はは、その為の部活だからな。恵にはまず園田さんと積極的に絡んでいってほしい。そしたら相手も何かしらのアクションをしてくるだろう。それを俺達が証拠として押さえる。だから、恵は何も気にしないで楽しく学校生活をしばらく過ごしていってほしい」

「えぇ、わかったわ。証拠を作れるように私もいろいろ動いてみようと思う」


恵は笑顔で返答を返し、俺は部員たちを見回して宣言する。


「よし、今この段階から作戦開始だ! 皆、なんとしてでも物的証拠を見つけ出すぞ!」


俺は部室に響き渡る声で皆に言い放ち、皆の掛け声も部室内に響き渡った。

「面白かった!  続きが見たい!」

と思っていただけましたら小説投稿のモチベーションになりますので、

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