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45/97

■45 負担

愛花が下りてくる前に神楽耶から労いの言葉を貰う。


『和樹君、今日はお疲れさまでした!』

『……あぁ疲れた。いい感じに疲労感が溜まっているな』

『あはは……多分それ、私が憑依したことも少し原因かもしれないですね』


神楽耶は頬を指でかきながら苦笑していた。


『……そうなのか?』

『はい』

『……確かウサギと戯れた時にやったやつだよな」

『ですです! 今回はあまり憑依して動かなかったので少ない消耗で済んだと思います』

『確かにウサギと遊んだ後からちょっと疲労感は感じていたけど……』

『ですよね? でも、もっと活発に動くと和樹君の負担が大きくなるので今後は気を付けないといけませんね』

『まぁ、そんなに憑依する機会がある訳でもないし、もしする機会があっても程ほどにしておいてくれよ』

『わかりました!』


俺と神楽耶が思念でやり取りをしていると、階段から愛花が下りてくる音が聞こえてきた。


「じゃーん! 兄さん、お待たせしました!」


すると、愛花は先ほど買ったメイド服を着てリビングに入ってきた。

俺は体を起こして愛花の可愛いメイド服姿を目に焼き付ける。


「おぉ……! やっぱりめちゃくちゃ似合ってるな!」


いつも見慣れない愛花の服装に不覚にもドキドキしてしまう。


「ありがとうございます! それじゃすぐにご飯の準備を済ませてしまいましょう!」

「りょうかい! ……それじゃ俺も、手伝おうかな」

「あ、兄さんは今日はいろいろお疲れでしょうから、私にまかせてください」

「……え、そんな気を使わなくいいのに」


正直なところ、疲労感がある今の俺にとって非常にありがたい申し出だった。


「いいですから、ご飯が出来るまでゆっくり休んでいてくださいね」

「……すまん、ありがとう」


愛花も俺の疲労感を肌で感じていたんだろう。

俺の事を見ていてくれている、という事が分かって少し嬉しくなる。


「それじゃ、少し休憩させてもらうよ」

「はい!」


俺は愛花にそう伝えると、体を机に()()して愛花が見えるように待機する。


「それじゃ、今日は簡単なものになりますが、早く作れるものにしますね!」

「まかせた~」


俺は机に突っ伏しながら気の抜けた声を愛花に返答する。

それから愛花はメイド服でテキパキと動き、俺は晩御飯を作り続ける愛花を観察する。

……だが、次第に眠気が襲ってきて俺は瞼を閉じてしまった。


……

………


「……さん……いさん……兄さ~ん、ご飯ができましたよ~」


俺は愛花の声で自分が寝ていた事に気が付く。


「……寝てたのか、すまん」

「いえいえ、兄さんの寝顔が見れてよかったですよ?」

「はは、そんな良いものじゃないだろう」

「いえ、兄さんが幸せそうに寝ていると私も嬉しくなってくるんです!」

「そ、そうなんだな」


力説する愛花に少し圧倒されてしまった。


「さ、晩御飯の準備が出来ているので食器の用意をするのを手伝ってくれますか?」

「わかった」


それから食器をテーブルに置き、愛花が作ってくれた晩御飯を愛花と一緒に食べ始める。


「その服で料理作るの大変じゃなかったか?」

「全然そんなことないです! むしろ、動きやすくてよかったですよ?」


メイド服というだけあって、動きやすいんだろう。


「へぇ、意外だな。それなら、また今日みたいにその服でご飯を作ってくれると嬉しいな」

「そんなことでしたらお安い御用です!」


俺達はそんなやり取りをしながら愛花の作った美味しい晩御飯を食べていく。


「「ご馳走様でした」」


お互いにご馳走様と言った後、席から立ち上がる。


「それじゃ、片づけしてくるよ」

「あ、それなら私が」

「いいよ。さすがに全部愛花に任せる訳にはいかないし、片付けだけは俺にさせてくれ」

「……わかりました。ありがとうございます兄さん」


愛花はメイド服のままニコっと微笑みを向ける。

……やっぱりメイド服っていいな。


「さてっと……」


テーブルから食器を台所へ移動した俺は急いで片付けを進めていく。


「愛花ー、今のうちにお風呂の用意でもしておいてくれ」

「わかりましたー!」


愛花はそう言うと、リビングを出ていった。


『……大丈夫ですか? 和樹君』

『あぁ、少し寝たら回復した。そういえば、俺が寝ている時って神楽耶って何してるの?』

『ふふん! 当然和樹君のお(そば)にいます!』

『……退屈じゃないのか?』


俺は手を止めて神楽耶に呟く。


『いえいえ! 和樹君の可愛い寝顔が見れますから全然退屈じゃないですよ?』

『……愛花もそんな事言っていたな。そんなに良いものじゃないだろうに』

『ふふ、和樹君は周りからどれだけ自分が大切にされているが気付いた方がいいですね』

『……そう言われてもな。気づきようがない』

『和樹君だって、愛花ちゃんが(そば)で幸せそうに寝ていたら見ていたくなりますよね?』

『そりゃもちろん!!』

『ほら、それと同じ感覚ですよ』

『……あ、なるほど』


神楽耶と思念でやり取りをしているとリビングに愛花が戻ってくる。


「兄さん? お風呂の準備が済んだので先に入ってきてください」

「あぁ、片付けが済んだら先に頂くとするよ」


それから俺は晩御飯の片づけを済ませ、先にお風呂に頂くことにした。




脱衣所でサクッと服を脱ぎ、神楽耶を残してお風呂場に入る。


「……ふぅ。極楽……極楽」


今日は部活メンバーの意外な一面を見れて楽しかったな。

俺は一日を振り返りながら風呂を入り終えるとリビングに戻る。


「愛花ー、上がったぞー」


すると、テーブルには俺が先ほど突っ伏していた場所に愛花も突っ伏して目を瞑っていた。


「……う……ん」


静かに寝息を立てている。そういえば愛花は元々夜に弱いんだった。

このまま寝させるのも風邪をひくだろうし、起こすのも気が引ける。

俺は考えた結果、寝顔を見て楽しむ事にした。




愛花にブランケットを(かぶ)せて寒くない様にした後、テレビを付けながら愛花の寝顔を横目にしばらく過ごす。


「……うぅ……ん? ……あれ」


すると愛花は微かに目を開く。


「お目覚めか」

「……私、寝ていたんですね」

「あぁ、お風呂あがったから愛花も入ってくるといい」

「すいません兄さん。……起こしてくれてもよかったのに」

「いや、愛花の寝顔が見れてよかったぞ?」

「……あはは、なんだかさっきと立場が逆ですね」

「あ、確かに」


俺は先ほどの愛花と同じ事を言っているのに気が付き、少し頬が緩む。


「はは、それじゃ俺はもう寝るから愛花も風呂に入った後は温かくして寝ろよ?」

「はい。それじゃ行ってきますね」


愛花はそう言うと、脱衣所の方へと向かう。

俺はテレビとリビングの明かりを消すと、階段を上がり自室へと向かう。


「……今日は疲れたからもう寝るよ。お休み神楽耶」

「はい! おやすみなさいです和樹君」


俺は神楽耶とそう伝えるとベットにダイブし、そのまま眠りの世界へと旅立った。

「面白かった!  続きが見たい!」

「今後どうなるの!?」


と思っていただけましたら

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