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■34 お泊り会

梓ちゃんは思い出したかのように言うと豊崎も続けて話す。


「そうねぇ……。どっちにしても、この満腹状態で動くのは無理だからしばらく休憩させてもらうわ。……山守君、ちなみに私たちってどこで寝ればいいの?」

「寝る場所か。……そうだな。愛花の部屋で寝るって言っても5人で寝るには少し狭い気もするし……」


俺はテレビの前にあるソファーや机に視線を移す。


「……このソファーとか机をリビングの(すみ)に移動させて、空いたスペースに布団を敷くってのはどうだろう?」

「どうって言われても。……私は寒くなかったら何でもいいわ」

「おっけ、確認してくる」


俺は席から立ち上がり、愛花のいる台所へと向かう。


「愛花、片づけ手伝うよ」

「あ、ありがとうございます!」


愛花はニコっと笑顔を返してくる。

俺は片付けを手伝うついでに今夜の寝る場所ついて相談することにした。


「今日の夜なんだけど、リビングに布団を敷いてみんな寝てもらうって感じでいいよな?」

「そうですねー……。私の部屋でも良いとは思いますが、少し狭い気もしますし」

「だよな。……ってかそもそも、布団足りるのか?」

「多分大丈夫だと思います。お客さん用の布団は用意されていたと思うので」

「それならいいけど。それじゃ片付けが済んだ後でリビングに布団を敷くとしますか」

「そうしましょう兄さん!」

「あぁ、そうと決まれば早く片付けるか」

「はい!」


話は決まったので俺たちは晩御飯の片付けを進める。

しばらく片付けを進めていると愛花がリビングの方を見てふと呟く。


「……なんか不思議な感覚ですね。家にこんな人がいるなんて」


愛花は感慨深い面持ちで話す。


「……本当だな。愛花が良ければまたこうやって家に呼んでお泊り会が出来るといいかもな」

「そうですね……また機会があればしたいです!」

「それに、部活でも今後は合宿とかいろいろ楽しい事は増えていくと思うし、楽しみにしておくといいよ」

「はい! 高校に入学してまだ間もないですが、兄さんのおかげでいろいろ楽しい事が続いて嬉しいです!」

「ふふっ、楽しんでもらえて何よりだ」


俺たちは笑い合うと晩御飯の片付けを進めた。




程なくして片付けが一通り終わる。

リビングに戻った俺たちはテーブルの周りで(くつろ)いでいる女性陣に声をかける。


「お(くつろ)ぎ中申し訳ないが、今からこのリビングを寝室に変える準備をするから少し手伝ってくれるか?」

「さっき言ってたやつね。……それで何をすればいいの?」

「……私たちも手伝います和樹さん!」

「それじゃ私も手伝う!」

「私も手伝います!」


豊崎や梓ちゃん達は席から立ち上がる。


「ありがとう。それじゃまず、そこにあるソファーとか机とか中央にあるものを部屋の(すみ)に移動させていこうと思う」


俺はソファーに近づきながら説明を行い、ソファーの片方の底に手を添える。


「豊崎、片方持ってもらえるか?」

「……りょーかい。2人で移動できるかしら」

「わからんが一回やってみよう」


豊崎と一緒にソファーを持ち上げると、問題なく移動できる程度の重さであった。


「いけそうだな。……えと、こっちに移動させて……っと」


俺と豊崎は、中央に置かれていたソファーをリビングの(すみ)に移動させる。

俺たちの動きを見ていたのか、愛花や梓ちゃん達も机など小物系を同様にリビングの(すみ)に移動させていた。

すると、リビングの中央に広い空間が出来上がる。


「おし、それじゃ次は布団だな。愛花、布団のある場所って俺覚えてないんだけど、案内お願いできるか?」

「わかりました! それでは付いてきてくださいね」


愛花はそう言うとリビングから出ていくので俺たちも愛花についていく。

2階に到着すると、物置になっている部屋へ案内される。

部屋に入ると布団一式が結構保管されていた。


「今日は愛花もリビングで寝るって事でいいか?」

「そうですね……。その方が楽しそうですし、そうしましょう!」

「おけ、それじゃ5人分を持って降りるか」


すると、同行していた神崎さんが話かけてくる。


「あの、和樹さんはリビングで寝ないんですか?」

「……いや、俺も一緒に寝るのはいろいろ問題だろ?」


俺は梓ちゃん達の方を向いて確認をする。


「……私は別に気にしないです!」

「私も!」


梓ちゃんとアリサちゃんは問題ないようだ。なんて無防備な子達なんだろう。ちょっと心配になる。

そしてみんなの視線が豊崎に集中する。


「……なんかこのシチュエーション前にもあったわね。えと……別にみんなで寝る訳だし、問題ないんじゃない?」


問題ないのかよ!

反論が来ると思っていたのだが、想定外だ。


「……こういう事なら、俺の布団も持っていくか」


神崎さんや愛花は既に賛成のようで特に何も言ってこなかった。

俺は複雑な気持ちを抱えながら自分の布団一式をリビングへと持って降りる。

他の皆も自分の布団を持ってリビングへと向かった




「……こんなもんかな」


リビングに到着した後、俺たちは持ってきた布団をリビングの広い空間に敷いていく。

先ほどまでソファーがあった空間が布団で敷き詰められた空間へと変わる。

よく修学旅行である旅館の寝る部屋みたいな感じに近い。


「さてっと、一先ずは寝る準備はこれでいいだろう」

「……では、私はお風呂の用意をしてきますね!」

「おぅ。よろしく頼む」


俺は軽く返事を返すと愛花はお風呂場の方へと向かう。

梓ちゃん達は敷いた布団の上に座り込み談笑をしており、豊崎はテーブルの近くにある椅子に座ってまったりしていた。

俺も豊崎同様にテーブルの近くにある椅子に座り時間を潰すことにする。


「ふぅ……バタバタしたけど、これで後は風呂に入って寝るだけって感じだな」

「そうね。……私ってあまり人の家に泊まった事が無いから結構ワクワクしてるのよね」

「へぇ……だからあんなに荷物が多かったのか? まるで遠足を楽しみにする小学生みたいだな」

「小学生みたいで悪かったわね! ……でもまぁ、実際に楽しいし今日は大目に見てあげるわ」

「そりゃどーも」


俺は豊崎と軽口を交わしながら、布団に座り込んで談笑している梓ちゃん達を見る。


「それはそうと……部活の活動実績を生徒会長に伝える件なんだけど」

「えぇ、それがどうしたの?」

「豊崎が見るに、神崎さんは人と打ち解けやすくなったと思うか?」

「見ての通りじゃない? 普通に楽しく話している風にしか見えないけどね私は」


俺たちの視線の先には、楽しそうに梓ちゃん達と話している神崎さんがいた。


「そうだな。でも、それは友達だから話せるってだけじゃないのか?」

「それが普通じゃないかしら。まずは知り合ってから話をして友達になる。自然の流れでしょ? 今こうやって楽しそうに小泉さん達とお話できるようになった時点で人と打ち解けやすくなったことは実証されていると私は思うわ」


豊崎に言われてハッとなる。確か最初に学食で会った神崎さんは超絶不愛想で大丈夫なのか、と心配しそうなぐらいだったからな。


「なるほど……。それじゃ、4月中に神崎さんには会長の前で部活の活動実績を証言してもらう事になると思うけど……それって神崎さんと会長が話をするってことだよな」

「そうなるわね。会長が神崎さんにどんな質問をするのかはわからないけど、多分大丈夫だと思うわよ私は」

「そうだといいけどな。……それじゃ休日明けに神崎さんに生徒会室に同行してもらえるように聞いてみるよ」

「そうね。一度試してみて、ダメだったら対応すればいいだけの話よ」


豊崎と話をしていると愛花がリビングに戻ってくる。


「あと20分ぐらいしたらお風呂に入れます。……誰が初めに入りますか?」


するとアリサちゃんが愛花に抱きつく。


「もちろん! 一緒に入るにきまってんじゃん!」

「わわっ……アリサちゃん! 一緒に……ですか?」

「……私も一緒に入りたいです!」

「分かりました! 麗子ちゃんも一緒に入りませんか?」

「うん! 私も愛花と一緒に入ろうかな!」


どうやら1年生組は一緒にお風呂に入る事に決まったらしい。

仲の良い事で微笑ましい事この上ない。

それから愛花も布団の上に座り梓ちゃん達と談笑を始める。


「……さて、愛花も戻ってきたことだし、俺たちもあの談笑に加わるとしようか」

「相変わらず妹好きよね。……ま、問題ないわ。行きましょ」


席から立ち上がった俺たちは愛花がいる場所へと移動する。


「愛花、どうせならみんなで遊ぼうぜ」

「あ、いいですね!」

「それで、実際に何をして遊ぶのよ?」


豊崎が疑問を投げかけてくる。


「ふっふっふ、こういう事を想定して、予めいくつか用意していたものがある!」

「……なによ、改まって」


俺は部屋の(すみ)にある棚の引き出しに仕舞っていたあるものを取り出す。


「じゃーん! 心理テストブックとトランプでーす!」


俺は手に持った心理テストが出来るガイドブックとトランプを皆に見せつけた。

「面白かった!  続きが見たい!」

「今後どうなるの!?」


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