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■31 女子会

俺たちが部室から出ると高橋先生は部室に鍵を閉める。


「じゃ、この鍵は私が返しておくわね」

「はい! ありがとうございます」

「どういたしまして。……確か明日は開校記念日で休みだったわね。斎藤、しっかり宿題の方は終わらしておくのよ?」

「うっ! ……わ、わかりました!」


まだ宿題を提出していなかった樹は高橋先生から釘を刺されていた。


「あなた達もしっかりと休んできなさいよ。それじゃまた明後日会いましょう」

「はい! お疲れさまです!」


他の部員も高橋先生にさよならの挨拶を交わすと高橋先生は階段の方へと向かっていった。


「……そういえば明日は休みだったな」

「そうですね兄さん。……あ、そうだ麗子ちゃん! よかったらこの後、私の家で料理を食べに来ませんか?」

「え、いいの愛花?」

「はい!」

「それなら是非お願いしたいわ!」


愛花は神崎さんに魅力的な提案をすると、神崎さんはすぐに快諾する。


「……わ、私もご一緒したいです!」

「うん! 梓ちゃんも一緒に作ろうね!」

「えっえっ! 梓もいくの? それじゃ私も行く!」

「いいですね! では梓ちゃんとアリサちゃんも是非ご一緒しましょう」


なにやら1年生組は女子会をする雰囲気になっていた。

すると、神崎さんは豊崎の方に視線を向ける。


「……あの、良かったら豊崎先輩もご一緒しませんか?」

「え、私?」

「……愛花、いいかな? さっきは少ししかお話できなかったし、もっと豊崎先輩とお話したいなって思って」


神崎さんは愛花に視線を移すと愛花はニコっと笑顔を返す。


「もちろんです! 豊崎先輩のご都合が悪くなければ是非いらしてください」

「えーっと、そうね。……ま、たまにはいいかな。愛花ちゃんのお弁当美味しかったし、お邪魔させてもらうわね」

「ふっふっふ、それなら私もお邪魔させてもらおうかな」


()()()()()()()()()()をして会話に入ってきた。


「いや、斎藤君、さっき高橋先生から宿題について釘刺されていたじゃない。まずは宿題を済ませておきなさいよ」

「うぐっ! ……確かにそんなこと、言っていたような……。仕方ないな、俺は家で宿題を済ませておくとしよう」


だが、豊崎の指摘によって失敗してしまった。

どうやらあっという間に女子会が開かれることに決まっていたようだ。


「晩御飯を食べた後に帰るのも暗いし危ないから、今日は俺の家に泊まっていけよ」

「わかりました和樹さん! では一度家に帰ってから愛花の家に向かいますね」


神崎さんが返答すると、他の1年生組も返事を返してくる。


「よく考えたら山守君の家でもあるのよね。……なんか複雑なんだけど」

「何か問題があるのか?」

「……別に」


豊崎がボソボソ言っていたが、聞こえないので放置しておこう。

愛花は神崎さんと豊崎に俺の家の住所を伝える。梓ちゃんとアリサちゃんは既にしっているので各々泊まる用意をした後に俺の家に集合するようだ。


「それじゃ話も決まったようだし、俺たちも帰るか」


俺の号令で昇降口へと足を進めることにした。




昇降口に到着し、靴を履き替えて校門を出る。


「そろそろ散り切っちゃいますね」

「だな、今のうちに見納めておこう」


俺たちは散りかけていく桜を見ながら家路についた。


「……では、私は宿題とやらに決着をつけてくるとしよう」

「……あぁ頑張れ、また明後日な」


若干悲壮感をただよわせている樹とお別れの挨拶を交わす。




その後、豊崎とアリサちゃんともお別れの挨拶を交わして別れる。


「それじゃまた後でね愛花ちゃん」

「また後でね梓ちゃん」


そして最後には梓ちゃんと別れて、家へと向かう。

愛花と二人っきりになり、状況を整理することにした。


「……えーっと、神崎さんに梓ちゃん、アリサちゃんに豊崎が来るって事だから、俺を含めて6人分の料理を作るって事になるが大丈夫なのか?」

「任せてください兄さん! 今日は人数が多いので鍋にしようと考えています。仕込みもありますので手伝ってくれると嬉しいです!」


俺は少し考えて回答する。


「別にいいが、多分梓ちゃんが手伝いますって言いそうだから、その時までって事になるが」

「……あ、確かにそうですね。分かりました!」


愛花は思い出したかのようにニコっと笑いかけてくる。




程なくして自宅に到着し、鍵を開けて中へと入る。


「それじゃ私はちょっと材料の確認をしてきますね」

「りょーかい。俺は部屋で着替えておくよ」

「はい!」


愛花がリビングの方へ向かうのを確認すると、俺は階段を上がっていく。

自室に入り、鞄を無造作に置き、神楽耶が向こうを向いているのを確認して着替える。


『何やら楽しそうなことになりましたね!』


すると、神楽耶は思念で話しかけてくる。


『……何がだよ』

『皆さんが家に来るんですよ? ワクワクしますね!』

『あぁ、それか。あくまで愛花の料理を食べにくるってだけだからな、俺はただ傍観するだけだよ』

『えぇ! そんなもったいないです! もっと部員の方と仲良くなるチャンスですよ!』

『もう十分仲いいと思うんだが……。まぁ、神崎さんの為にも今日はちょっと頑張ろうとは思っているかな』

『神崎さんですか?』

『あぁ、……多分神崎さん。他人の家に泊まる事って初めてだと思うんだ。戸惑うこともあると思うから安心できるように最強のお出迎えをしようと思っている』

『そうでしたか! いいと思います!』


俺は神楽耶と思念で会話をしながら服を着替え終わると部屋を出てリビングへと向かった。

すると、腕組みをしながら開いた冷蔵庫と向かい合う愛花がいた。


「愛花、お待たせ。材料の方はどうだった?」

「あ、兄さん。そうですね。6人分ですので、ギリギリ足りるって感じでしょうか……」

「よかった、足りそうなんだな」

「はい。ですが、明日またお買い物に行かないといけないです。……その時はお願いしますね」

「まかせろ!」


俺は胸をドンっと叩いて返事を返した。


「それで、今日はどんな鍋を作るつもりなんだ?」

「それは……キムチ鍋です!」


愛花はキメ顔を俺に向けてくる。


「き……キムチ鍋……だって」

「……もちろん、兄さんのは特別辛くしておくのご安心を」

「わ、分かっているじゃないか愛花! 是非お願いする!」


キムチ鍋は芳樹おじさんが帰ってきた時など特別な日に作ってくれるのだが、なんと今日! そのキムチ鍋が食べられるという訳だ!

ビバ友人達!


「よし! みんなが来るまでまた時間あるだろうし、それまで俺が料理手伝うよ」

「是非お願いしますね!」


愛花はニコっと微笑みながら答える。

エプロンを付ける後ろ姿を見ながら俺もエプロンを付ける。

さて、女子会の準備を始めますか!

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