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■03 俺の友達

愛花の友達も合流し終えた俺たちは高校へと向かう。

俺たちは高校へ繋がる坂道に到着した。


「兄さん、すごく奇麗な桜並木ですね!」

「あぁ、入学シーズンになるとこの景色を堪能(たんのう)できるのが数少ない高校の利点だな」


愛花達は風でなびく髪を手で(おさ)えながら桜並木を眺める。

立地が悪いがそれを補うだけはある景色だ。




「それにほら、もう少し先に公園があるだろ? あそこで花見をする事もできるんだ」

「本当ですね! また今度、公園でゆっくりしたいものです!」

「だな!」


愛花のテンションが上がっているのを見ると、今すぐ公園に敷物(しきもの)を敷いて花見でも始めたい気分になる。

そして愛花特製の最強に美味しい弁当もあれば最高だな。……今度提案してみよう。


「……本当に素敵ですね」

「さすが日本の国花(こっか)ね。でも、こんな素敵な景色がすぐに散って見れなくなるのも何だか悲しいね」


桜なので、すぐに葉は落ちてしまう。こればかりはしょうがない。


「だからこそ今のうちに目に焼き付けておけよ」


俺は桜並木から視線を外し、校門へと向かうのだった。


「あ、待ってください兄さん!」


愛花たちも俺に続いて校門へと歩き始める。




間もなく俺たちは校門に到着した。

当然ながら、愛花とは学年が違うのでここから別行動になる。

正直言って非常に心配ではあるが、とても心強い友達が二人もいることだし、少しの間は問題ないだろう。


「愛花、今日の昼飯どうする?」


俺は別れ際に愛花にお昼の予定を確認した。


「たしかここって学食がありましたよね。そこで食べようかと思っています」

「りょーかい。それじゃ俺も学食で食べるから一緒に食べようぜ」

「わかりました兄さん!」


軽くお昼ご飯の約束をしておいた。


「……あの、私もご一緒してよろしいでしょうか?」


モジモジしながら梓ちゃんが尋ねてくる。


「全然いいよ、むしろ喜んで!」


愛花の大切な友達だからな、一緒に食べるのは当然である。


「それなら私も一緒に食べたいな!」


アリサも梓ちゃんに続いてノッてきた。


「了解、それじゃお昼に学食前で集合ね」


お昼の予定も決まり俺は愛花達と別れて自分の教室へと足を進める。




教室に到着した俺は、教卓(きょうたく)の上に置かれている座席表を確認して自分の机へと向かう。

椅子に座った後、鞄の中の教材を机の引き出しにしまい、鞄を机の横にぶら下げる。

すると、俺の机に見慣れた顔が近づいてくる。


「おはよう和樹! また同じクラスだな、よろしく頼む!」

「だな、よろしく」


眼鏡をクイッとしながら見知った顔が挨拶をしてきたので軽く挨拶を返す。

軽い挨拶を交わした相手は斎藤樹(さいとういつき)で俺の小学生の頃からの友人だ。

銀髪で眼鏡をかけており、パッと見は生徒会とか学級委員長とかしてそうな外見である。


「早速で悪いが春休みの宿題はやってきたのか?」


……一瞬何のことを言っているのか分からなかったが、現実逃避していたことを思い出す。


「……今の今まで宿題の存在を完全に忘れていたよ、ありがとう樹」


開いた口が塞がらないとは、まさに今の状況をいうのだろう。


「なにぃ! ? まさか忘れてはいないだろうな?」

「あはは……。そのまさかってやつだ」


すると、心底がっかりしたような表情を浮かべる樹。


「はぁ……後で写させてもらおうと思ったのに」

「……お前もやってないのかよ」


完全にダメダメ同士だった。

樹は見た目は優等生っぽいが、中身は完全にバカな子だ。

でも何故か一部の女子から人気で、よく話しかけられているのを見かける。

ちなみに、眼鏡をしているのもゲームのし過ぎが原因だ。


「お前は今からやればいいんだからまだマシだろ? 俺なんて家に忘れてるんだからな」

「今からやるにしても時間が足りないだろう……。よし、一緒に補習頑張ろうな!」


樹はグッドサインをしてくる。


「いや、諦めるの早いな」


早くも諦めている樹だったが、別に提出が遅れたところで何の問題もないだろう。


「ところで、今年から和樹の妹ちゃんもこの高校に入学だったよな?」

「ん? あぁ、さっきまで一緒に通学してきたところだ」


樹も俺の愛花のことは知っており、家に遊びに来たこともあるので愛花とは見知った仲である。


「妹さんの学生服姿も早く見てみたいものだな」

「それなら今日の昼に愛花と昼飯食う約束してるんだが、お前も一緒にどうだ?」


先ほど愛花とした約束を思い出したので尋ねてみる。


「おぉ、そうなのか! 是非参加させていただく! 」


眼鏡をクイッとしながら即答する樹だった。




するとそんなやり取りをする俺らに1人の女性が近づいてくる。


「おはよう、2人とも。朝から元気ね」

「おはよう! いいではないか豊崎(とよさき)! 元気があれば何でもできるからな!」


ニカっと笑みを浮かべる樹。


「おはよう豊崎。……いや、元気なのは樹だけだからな、俺は至って普通だ」

「そう思っているのは山守君だけよ」


腕組みをしながら話しかけてきた子は豊崎恵(とよさきめぐみ)だ。

ポニーテールが特徴的な天真爛漫な女の子で、高校に入学早々に知り合ってからはよく3人で行動している女友達だ。

豊崎と樹はよく煽り合っているが、仲が悪いという訳でもなくお互いにマウントをとりたいだけらしい。


「そうだ、お昼和樹の妹ちゃんと一緒に昼飯を食べる予定なのだが、豊崎もどうだ?」


なんか勝手に誘っているが、別に嫌ではないので放置しておく。




「妹さん? そういえば今年からこの高校に入学なんだっけ?」

「ああ。高校生活って言ってもいろいろ物騒(ぶっそう)なことが起きるし、いろいろ心配だからな。お昼休みにでも顔が見れればと思ってさ」


俺が説明をしていると、また始まったか、と思わんばかりの顔をする豊崎。


「……いつも思うけど、山守君って妹さんに対して過保護気味じゃない?」

「いやいや! その油断が大惨事(だいさんじ)(まね)くこともあるんだ、注意しておかないと」


愛花のことになると、俺もちょっとアドレナリンが分泌され口調が荒くなってしまう。


「……そ、そうね。わかったわよ」


はぁ、と諦めにも似たため息を吐く豊崎だった。


「それで豊崎、お昼ご飯はどうするんだ?」


一呼吸おいて樹が豊崎に先ほどの質問の回答を(うなが)す。


「……そうね。ちょっとお邪魔させてもらおうかしら」

「りょーかい、ちょっと愛花に確認してみるよ」


俺はスマホのNINEアプリで愛花にその旨を伝えておくと、すぐに愛花から返答が帰ってくる。


「問題ないってさ。ってことだからお昼はよろしくな」


どうやらお昼に樹と豊崎も参加する事が決まったようだ。

それから間もなくすると、入学式の開始を知らせる全校放送が流れた。

「面白かった!  続きが見たい!」

と思っていただけましたら小説投稿のモチベーションになりますので、

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