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■25 作戦会議

部室を見回すと埃が貯まっていたり、クモの巣などが張っていたりと明らかに掃除がされていない様子だ。

部屋の中央には長いテーブルがあり、テーブルの両面にはソファーが設置されている。テーブルの上には将棋一式が3セット置かれているので、将棋部が存続していた時はこのソファーに座りながら対局をしていたのが想像できる。


「まさに将棋部っていう内装だな」

「そうね。とりあえず将棋関連のものは一か所に集めて保管しておきましょ。暇つぶしに将棋をすることもできるし後々役立つでしょう」

「……ふむ、このパソコンは果たして起動するんだろうか」


豊崎はテーブルに置かれていた将棋を隅にある本棚の方へと移動させ、樹はパソコンがある机の方へと向かいパソコンの電源を入れていた。


「私は部屋のお掃除をしておきますね」

「……愛花ちゃん、私も手伝うね」

「それじゃ私も!」


愛花達は掃除用具入れから箒やチリトリなどを取り出し、埃などの駆除作業を始めていく。

各々が部室の大掃除に取り掛かる中、樹と同様にパソコンが使えるのか気になった俺は樹の方へと向かう。


「どうだ? パソコン使えそうか?」

「和樹、見てくれ。このパソコン……インターネットにも繋がってるぞ!」


樹は引き出しから取り出したIDやパスワードを入力してパソコンを起動させており、インターネットの検索画面が表示されていた。

検索欄には【あああああ】と入力されており、【あああああ】についての検索結果がブラウザ上に表示されている状態だった。


「本当だな。部室で情報収集が出来るのは有難い」

「……山守君、ちょっといいかしら」


すると、本棚の整理をしていた豊崎から呼ばれたので本棚の方へと移動する。


「何かあったのか?」

「えぇ、本棚の一番下にビデオカメラがあったんだけど、何かに使えるかしら?」

「……そうだな。活動時に映像として何か記憶に残しておく機会があるかもしれないからな、使えるか確認しておいてくれ」

「分かったわ。あと、それ以外の将棋関連の書籍はどうするの?」

「あまり使わないだろうから、そのままでいいと思う」

「りょーかい」


豊崎と話をしていると部室に高橋先生が入ってくる。


「早速やってるわね。結構使われていない時期が続いている部室だったけど、いい感じに綺麗になってるじゃない」


高橋先生は部室を見回しながら話す。

部室は愛花達の頑張りによって、初めとは見違えるような状態へと変わっていた。


「はい。掃除が終わったらこれからの活動について相談する予定です」

「もう生徒会から話は聞いているわよね。……分かっていると思うけど、4月中に活動実績を証明できないと廃部になるのが条件で、この部室の使用許可が出ているの。私も協力するから頑張りましょうね」


会長が言うには、高橋先生の助言によって部室の使用許可が出たようなものらしい。

高橋先生にはいろいろ助けてもらっているので感謝してもしきれないな。

どこかのタイミングでお返しをしよう。




まもなくすると、部室の掃除もひと段落したので部室の中央にあるソファーに皆が座る。


「それじゃ、これからの部活動について話していきたいと思います。まず、俺たちの部活動を知ってもらう為に出来る事について」

「それは前にも山守君が言ってた通り、掲示板に張り紙を張って、各クラスを回って部活動の広報をするって話だったんじゃないかしら」


豊崎は思い出しながら話してくる。


「そのつもりだが、細かいところを決めないといけないと思って。そもそも掲示板にはる張り紙も作らないといけないし……」

「そうだな。だが、そこにパソコンもある事だし、パソコンでポスターの画像データを作れば問題ないだろう」

「樹、画像とかって作れるのか?」

「ふっ、まったく使った事はない!」


樹はメガネをクイっとしながら胸を張って言い放す。


「あ、っそうですか。……俺もあまり詳しくはないんだよな」

「……それなら私が作っておきましょうか?」


高橋先生がスッと手を挙げて申し出る。


「え、いいんですか高橋先生」

「問題ないわ。簡単なものはすぐに作れると思うわよ」

「ありがとうございます。その張り紙に組み込んで貰いたいQRコードがあるんですけど――」


俺は豊崎と一緒に相談事を記載するフォームのQRコードを高橋先生と共有する。


「なるほどね。張り紙にQRコードを張り付けておいて、予め相談内容を記入しておいてもらうのね」

「はい。その方が俺たちもしっかりと相談内容を選別ができますし、いろいろ用意が出来ると思いまして」

「いいと思うわ。それじゃこのQRコードを盛り込んだ張り紙を用意しておくわね」

「ありがとうございます。これで用意した張り紙を掲示板に張り、全クラスを回って張り紙を配れば知ってもらえると思います」

「あと、ほかに私たちが出来る事と言ったら何があるのかしら?」

「そうだな……」


俺と豊崎が悩んでいると、愛花が恐る恐る挙手をしてくる。


「ん? 愛花何か思いついたのか?」

「えと、出来た張り紙を校門で下校する生徒に配ってみるのはどうでしょうか?」

「……確かにいいかも。私たちが全クラスを回るより、生徒側から来てもらうってことね」

「いいな! 逆転の発想ってやつか。愛花、めちゃくちゃいいアイデアじゃないか」

「えへへ……」


愛花は可愛らしく微笑みながら照れている。我が妹ながら非常に優秀である。




だが、高橋先生は少し考えてから話始める。


「校門で配るって言っても、山守たちが1つずつ配るってことよね?」

「……えぇ、そのつもりですが」


少し間を開けて高橋先生は話続ける。


「それ、各クラスの担任にお願いすればHRの時間に配ってくれるんじゃないかしら」

「……えっ! そんなことしてもらえるんですか?」

「まぁね。学校側にも期間限定だけど認められている部活な訳だし、私がお願いしておきましょうか?」

「何から何までありがとうございます。是非お願いしたいです」


高橋先生が頼もしすぎてヤバいな、持つのは信頼できる顧問であることを再確認する。


「……それで、募集方法はだいたい決まったけど、実際に相談事が来てからはどうするの?」


豊崎が新たな議題を提案してくる。


「そうだな。募集フォームから相談が届くのはいいけど、実際にどうやって学生と会うか、だよな」

「えぇ。……まず思いつくのが募集フォームにメールアドレスを記入しておいてもらうって事ぐらいじゃない」

「……それぐらいだよな。とりあえず届いた内容を選別して、決めた相談者にメールを送って日付を指定して部室に来てもらうようにする。って感じか。みんなもこの方法でいいかな?」


俺の問いかけに、みんなが頷く。


「よし、決まりだな! それじゃ今日はこれぐらいにしておくか。明日も放課後はこの部室に集合ってことで。あと、さっき国枝さんが言っていたように、最初はこの部室は閉まっているから鍵を職員室からもらって、帰る時に鍵を返すからそれも忘れないようにお願いね」


各々が返事を返してくる。


「高橋先生、募集の張り紙ってどれぐらいで作れそうですか?」

「明日の放課後には用意しておくわ」

「おぉ! ありがとうございます」


予想以上に早く出来上がるようだ。

決める事はだいたい決め終った頃、窓の外も暗くなり始めていた。


「……もう日が暮れるから、あとは私に任せて山守たちはもう帰りなさい」

「分かりました。それじゃ俺たちはこれで失礼させてもらいますね」


俺たちは高橋先生に促されるままにソファーから立ち上がる。

部室から出た後、俺は部室の鍵を閉める。


「今日は私が鍵を返しておくから、山守たちはそのまま帰りなさい」

「はい! 今日はいろいろありがとうございました高橋先生」

「いえいえ、明日から部活頑張っていきなさい」

「わかりました!」


俺は高橋先生に元気よく返事を返し、他のメンバーと昇降口へと向かうのだった。

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