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■21 愛花の新しい友達

生徒会室から出た俺は急いで自分の教室へと向かった。

教室に到着した俺はすぐさま自分の席に着き、鞄の中から教材を机の中に入れていく。

すると樹が席に近づいてきた。


「おはよう和樹! 少し遅かったじゃないか」

『おはようございます、樹君!』

「あぁ、ちょっと生徒会室に顔を出していたんだ」

「なんと! 朝から生徒会室に行くなんて和樹も律儀な奴だな」


樹は感心したかと思えば、少しテンションを下げながら続ける。


「……それはそうと、宿題はしてきたのか?」

「なんとかな、樹はどうだ?」

「ふっふっふ……人は誘惑には勝てない生き物だな」


どうやら、樹はまだ春休みの宿題をやり終えてはいないようだった。




「先に言っておくが見せないからな? ……教えることはできるが」

「ぐぬぬっ……わ、わかった。その時はよろしく頼む」


樹には悪いが自分で頑張ってもらうようにしよう。俺は鞄から教材を出し終わり、机の横に吊り下げる。


「すまんがちょっと豊崎のとこ行ってくる」

「ん? あぁ了解した」


樹が自分の席へと戻っていった。




俺は樹が席に戻ったのを確認すると神楽耶に思念を飛ばす。


『……すまん神楽耶、毎回挨拶を挟まれると俺も話しづらいから挨拶は俺に任せてくれないか?』

『あ、そうでしたか……わかりました! 気を付けますね』


俺は申し訳ないと思いながらも神楽耶に釘を打っておいた。




HRが始まるまでもう少し時間があったので、俺は豊崎の席まで移動する。


「おはよう豊崎、ちょっといいか?」

「ん、おはよう。何よ朝から」


豊崎はスマホを弄っていた手を止めてこちらを向く。


「ちょっと確認しておきたい事があって、豊崎ってQRコードって知ってるか?」

「QRコード? ……えぇ、知ってるわよ。それがどうしたの?」

「知ってるなら話が早いな、QRコードを使って部活の相談者を募ってみてはどうかなって思って」

「……なるほどね。でもそのQRコードをどうやって生徒に伝えるのよ?」


俺は少し考えながら続ける。


「掲示板に募集文章とセットで配置したり、実際にクラスを回る時に紙を配ってみるとか、かな? 実際に相談事をする時って会ってその場で話を聞くより、(あらかじ)めどういった悩みごとなのかを把握しておいた方がいいと思ってさ」

「なるほど……先にQRコードから質問フォームで悩み事を教えてもらうって事ね」

「そんな感じ」


考えながら何度か頷いていた豊崎、ある程度は好感触のようだ。


「いいんじゃないかしら、私も使えそうな質問フォーム探しておくわ」

「お、サンキュー!」


するとHRが始まるチャイムが鳴り始める。


「それじゃまた後で」


俺は豊崎に軽く別れを告げ、自分の席に戻ることにした。




しばらくすると、教室に高橋先生が入ってきた。


「おはようみんな、楽しい週末は過ごせたかしら?」


高橋先生の問いかけで賑やかになる教室。


「楽しい週末を過ごせたようでよろしい。……もちろん、宿題はしっかりやってきているんでしょうね?」


高橋先生の質問で瞬時にお通夜モードへと切り替わる教室。どうやら樹のような生徒は大勢いるようだ。


「はぁ……まったく。まだできていない人はもうちょっと待ってあげるから今週末までに提出する事。いいわね!」


途端に歓声があがり始める。素直なクラスメートに安心しながらも俺は既に宿題を終えた身なので、密かに優越感を感じていた




HRが終わり、各授業が始まっていく。

1限、2限と終わった頃、スマホのNINEアプリに通知が届く。

どうやら愛花からの連絡のようだ。

-----------------------------

『今日のお昼なんですが、新しいお友達を連れていってもいいでしょうか?』

『クラスで知り合った子?』

『はい。少し変わった子ですが、悪い人ではないです』

『おっけ。俺も会ってみたいし、連れてきてよ』

-----------------------------

俺は愛花とのやり取りを終える。


「……どんな子だろう?」


新しい学校で新しいクラスなんだから知り合う人もいて当然だよな。




程なくしてお昼休みになる。

俺は席から立ち上がり、愛花からもらったお弁当を持って樹の方へ向かう。


「飯、行こうぜ」

「あぁ……って和樹、それってまさかお弁当ってやつか?」

「そのまさかだ、愛花に作ってもらったんだぜ」

「……くぅ! 料理上手な妹を持つ兄の特権ってやつか」


樹は羨ましそうにお弁当に視線を向ける。


「ふっふっふ、俺も食べるのが楽しみで午前中の授業は全く頭に入らなかったぜ」


軽く樹と会話を交わしていると豊崎もこちらに近づいてくる。


「今日は弁当なのね、珍しい。……まさかこれからずっと弁当って訳?」

「そのまさかだが? 愛花特製のお弁当だ!」


俺は神々しく光って見えるお弁当を豊崎に向ける。


「はぁ……山守君。まさか、学食で愛花ちゃんと同じお弁当を食べる気? 周りから変な目で見られるわよ?」

「俺は気にしない、むしろ見てほしい! 愛花の作ったお弁当を!」

「あーはいはい。わかったから」


呆れ顔の豊崎に樹は問いかける。


「それで豊崎も一緒に学食に行くってことでいいんだな?」

「そうね、部活の事でいろいろ話たいこともあるし付き合うわ」

「それじゃ学食に行こうぜ」


話終えたのを見計らって俺は2人に学食へ行くように(うなが)した。




教室から出て学食に向かうと、愛花達と見慣れない女の子も一緒にいた。

愛花は俺を見つけると手を振ってくる。


「にいさーん! こっちですー!」


すると見慣れない子も俺の方を見る。


「……うぉ!」


俺の方を見るや否や、その子は思いっきり驚いていた。

そんなに驚くような見た目していたかな?


「愛花、お待たせ。みんなも待たせてごめんね?」

「……いえ! 私たちもさっき来たところです」


梓ちゃんは俺の問いかけに笑顔で答える。


『……和樹君。私、あの子に思いっきり見つめられているんですが』

『……それってどういう事だ?』

『分かりません。……もしかしたら、()()()()()()()かもしれないです』

『まじか』


俺はその子に自己紹介をすることにした。


「初めまして、俺は愛花の兄で山守和樹って言います。よろしくね」

「……どうも、私は神崎麗子(かんざきれいこ)って言います」


結構、いや……めちゃくちゃ不愛想(ぶあいそう)な挨拶を返してくる。

神崎麗子と名乗る子は、前髪を左右に均等に分けておりセミロングの髪の長さ、ジト目でとても内向的(ないこうてき)な大人しそうな子だ。


「あはは……麗子ちゃん、急にごめんね。お昼に誘っちゃって」


愛花は苦笑気味でフォローを入れてくる。


「……別に良い、気にしてない」


なかなか変わった子を愛花はお昼に誘ってきたようで、少しばかり不安になる俺なのであった。

「面白かった!  続きが見たい!」

「今後どうなるの!?」


と思っていただけましたら

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