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買い出し


「この金色のものが金貨、銀色のものが銀貨。茶色のものが銅貨ですよ」


「いくら常識がなくとも、()()()()()には遭わないで下さいね」



 アルメルシアの優しげな言葉と、エミリーの容赦の無い一言が、志朗の心の柔らかい所を抉る。


 ――……俺、凄く非常識な人間だと思われてる。ここ(異世界)知らないから当たり前だけど……。



「えっと……何か食べたいものは、ありますか?」


 志朗の言葉に、アルメルシアの表情がぱっと輝いた。


「先程屋台で見たブーケの様な食べ物が食べたいわ!」


 さっき通り過ぎた屋台だろうか? と志朗は考えた。

 先程通り過ぎた通りにあった屋台には、ブーケ……元の世界で言う所のクレープの様な食べ物が売っていたはずだ。

 色鮮やかな見た目と、甘くいい香りに思わず足を止めたのを思い出した。


「ルシア様。あれは甘味(デザート)ですよ。食事には適さないかと」


 エミリーがアルメルシアに、他の食べ物はどうかとすすめる。


「う……でも、たまになら良いでしょう?」


 アルメルシアが、上目遣いでエミリーを見る。

 エミリーは、一瞬たじろいで目をそらす。

 アルメルシアは、エミリーをじっと見つめている。



「…………まぁ、たまになら『志朗! お願いするわね!』」


 エミリーがそう言うやいなや、アルメルシアは嬉しそうに志朗に言った。

 アルメルシアの勢いに押されつつも、志朗は頷いた。


「分かりました。エミリーさんは、何か食べたいものはありますか?」


「…………食べられれば、なんでも」


 どことなく歯切れの悪いエミリーの返事に、志朗は苦笑した。




 一旦アルメルシアとエミリーと離れ、財布片手に街を歩く。


 どこの屋台も大いに賑わっており、お目当ての屋台にも長蛇の列。すぐに戻るのは難しそうだ。



 順番待ちをする事しばらく、屋台でクレープの様な軽食を買い、一緒に飲み物も買ってからアルメルシア達の元へ向かう。


 アルメルシア達は、人の少ない座れる場所を探して少しづつ移動しているはずだ。

 探知魔法を頼りに志朗が向かったのは、大通りからは少し離れた場所。


 しかし、先程からアルメルシアとエミリーの側に、2人以外の気配が複数ある。


 嫌な予感がした志朗は、急ぎ足でそこへ向かった。


 次第に道は大通りから離れ、奥まった所にある路地へ。


 もうすぐアルメルシア達がいるであろう路地の曲がり角に差し掛かった時、ドスの効いた男の声が聞こえてきた。



「この落とし前、どう着けてくれるんだ? あぁ?」


 不穏な言葉に足を止めた志朗。



 志朗の視線の先には、3人の男達に囲まれるアルメルシアとエミリーの姿があった。



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