探知魔法
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夕刻。灯りの少ない裏庭は、周りよりも更に薄暗い。
数時間ぶっ通しで練習し続けた志朗は、一度大きく深呼吸した。
オトモと一緒に使っていた時よりも魔法を使う感覚が掴めてきたらしく、魔法を発動するスピードも威力も初めの頃より大きく上がっていた。
「もう夜か……」
ダリアが呟く。
「魔法の扱いもだいぶ慣れてきたようだし、そろそろ探知魔法の扱い方を覚えてもらうよ」
ダリアは、城の方に視線を向ける。
「これからアンタには、気配を探りながら城の中を見回って貰う。
勿論、ただ見回るだけじゃない。
アタシから逃げながらだ。
アタシも気配を消してアンタを探す。アンタは自分の気配を消してアタシが何処にいるか探りながら逃げれば良い。
簡単だろう?」
「えっ……!?」
「実際、実践で使える様にするには実践で覚えるのが1番手っ取り早いからねぇ」とダリアは言った。
「探知魔法の感覚は人によって変わるが、大体が耳を澄ませる。目を凝らす……五感を使って探知するのが一般的だね。後は自分がやり易い方法を探すしかない」
「はい」
「じゃあ、始めるよ。」
ダリアは大杖で地面を打ち志朗の前から消えた。
裏庭には志朗1人。
志朗は、ダリアに言われた通りにまず耳を澄ましてみた。葉擦れの音が聞こえるばかりで、他の音は聞こえなかった。
――そうすぐには出来ないか……。でも、早く覚えないと。
ひとまず耳を澄ませる事を意識しながら、昔やった隠れ鬼の要領でダリアに見つからないように逃げつつ城の見回りをする事にした。
軽く裏庭を見て回ったが、ダリアらしき人影は無い。
志朗は杖をケースにしまい、城の中に入る。
高級そうな絨毯に、大きな絵画が並ぶ廊下。
壁に埋め込まれた窪みには、ロウソクではなく円柱形のガラスが嵌め込まれており、中ではロウソクとは違うオレンジ色に光る球体の様なものが浮かんでいる。
――火とは違う……雷系統の魔法を弱くしてランプにしてるんだ。
志朗は、壁伝いに歩きながら辺りを警戒する。
角を曲がり少し広めの通路に出ると、志朗と同じ様なローブを着た者が数人いた。
志朗が会釈すると、彼等も同様に返す。
そのまま通り過ぎると、少ししてから彼等はヒソヒソと話し始めた。
「ダミア様の弟子だ……」
「本当にただの子供ではないか」
「だが……あれは……いや、止めよう」
1人が口篭る。志朗はなんとも言えない居心地の悪さを覚えた。




