王城
迷路のようでいて美しい景観の街並みを眺める事も出来ずに、志朗達は城門の前に着いた。
城壁に両手と頭を付け、満身創痍になりながらも志朗は、決意した。
――自力で飛べるようになろう……!
このままでは心臓が幾つあっても足りない。
「……うっ……酔った」
口元を抑え吐き気を堪えるローレン。ただでさえ白い肌が心なしか青白く見える。
「酷いですダリア様!!
私の自慢の毛並みがボサボサ……!!」
「アンタ全身毛むくじゃらだけど短いんだからボサボサも何もないだろう?」
「ありますよ!」
オトモとダリアは先程のアクロバット飛行をものともせずに話している。
オトモは苛立たしげに尻尾を振り、鼻息荒く懐からコームを取り出すと、自身の髪(?)をセットし始めた。
ダリアが、志朗とローレンを見てため息を吐く。
「あのくらいで音を上げるなんて、アンタ達は貧弱だね。ほら、いつまでもくたばってないで中に入んな」
半ば追いやられるように、門番の間をとおり、桟橋を渡って城の敷地内へ入る。
目の前にそびえ立つ城は白く、崖上から見た時よりもその大きさがよく分かる。
中に入ると、高級そうな絨毯と豪奢な飾りが施されたロビーと大階段が待ち構えており、大階段を登って少し進んだ先に、遠目から見ても分かるほどに大きな扉があった。
「この扉の先が、王の謁見の間でございます」
志朗の前を歩き先導していたオトモがそう言うと、数歩下がり志朗の左後ろに控えた。
ダリアとローレンも志朗の後ろに立っている。ダリアが、早く開けろとばかりに顎をしゃくった。
志朗は頷き、大扉に近づく。細やかな細工を施されたドアノッカーが見えた。
――……ノックって2回?……4回だったかな……?
志朗は、緊張しながらドアノッカーをつかみ、豪奢な装飾が施された大扉を3回叩いた。
「入れ」
中から、男の声が聞こえると同時に、手を触れていないにも関わらず、大扉がゆっくりと開く。
扉の向こうはロビーとは比べ物にならない程広く、天井に吊り下げられた幾つものシャンデリアが、広間に暖かなオレンジ色の光を投げ掛ける。
大理石の様な白く美しい石の床と、舞台やミュージカルでしか見たことの無いような貴族服に身を包んだ者達と、黒いローブを纏った者が数名並んで立っていた。
そして、広間の最奥。一際美しい装飾を施された椅子に腰掛けた壮年の男の姿。
壮年の男が口を開く。
「遠路よりよくぞ参った。東の魔法使いダミアの弟子よ。
王として、そなたを歓迎しよう」




