30㎝位。
ある日の放課後の帰宅途中。
真剣な面持ちをした野磯は親友の島中に、こう切り出した。
「島中……お前、秘密を守れるか?」
「なんだよ野磯、藪から棒に」
島中は笑ってそう言った後で、丸みを帯びたシンプルなフレームの眼鏡を中指でクイッと上げて続ける。
「……(溜め)……俺達、親友だろ?」
「島中……!(感動)」
彼らはそんなことをそんな風に言いたいお年頃なのだ!
野磯は『驚かないで聞いてくれ』といかにも勿体ぶった感じで話し出した。
「実は……俺」
「ああ」
──ビーッ!!
「目からビームが出せるんだ。 30㎝位」
「おおぉぉぉっ?!」
驚きに声を上げた島中だが、そのすぐ後で「実は俺も」と言い出す。
──シュンッ
「瞬間移動ができるんだ……30㎝位」
「マジか!!」
ふたりは無言でハイタッチした。
語らずしも互いにわかっている……
『やっぱり俺等、親友だぜ!!』
ふたりは再び歩き出した。
それは帰り道なんかじゃない……未来への道なのだ!
……とか言ってみただけなのだ!!
普通に帰り道だ!!!
「──ところでなんで30㎝位なんだろうな」
「ああ、本当にな」
コメディにするかローファンにするか、連載にするかシリーズ化にするかで悩みました。






