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その8/惣菜売り場をのぞいてみれば

■その8/惣菜売り場をのぞいてみれば

 札幌おひとり様も数年経つと、さすがに名物ばかり食べるのに疲れてきた。毎年毎年ジンギスカンと寿司と豚丼とラーメンばかり食べていられない。

 そんな気分もあって、ここ数年、スーパーの惣菜売り場をのぞいてみることが多くなった。

 何かの本だかで「地元のうまいものはスーパーの惣菜売り場で普通に売っている」と読んだせいもある。確かにそうである。普通に美味しい地元の料理は、普通に食べられているはずで、わざわざ名高い店に行く必要など無い。

 あの店の●●でなければというのは、店の名物であって地元の名物ではない。寿司でもラーメンでもジンギスカンでも、そこらにある行列のない店で出すものでも普通に美味しい。それが地元の名物料理ではないか。

 現代だったら、スーパーの食料品売り場に普通に並んでいるものでもうまい。という事だろうか。

 そんな気分でスーパーの地下食料品売り場の惣菜コーナーや、駅ビルのお弁当コーナーなどをのぞいてみる。さすがにメニューはよく見るものだ。札幌の人だって、普段は餃子だのハンバーグだのカレーだの牛丼だのハンバーガーだのを食べているわけで、当然のことだ。

 それでも、鶏の唐揚げがザンギという名前で売られていたり、弁当コーナーでは普通にジンギスカン弁当があったりすると、ここは北海道、札幌だと感じてしまう。

 無難にジンギスカン弁当と、飲み物はカツゲンでも買ってホテルで食べるかと思いつつ店の品揃えを見ていると

「あれ?」

 ある惣菜店でそれを見た。店は普通のおこわの店である。山菜おこわだの五目おこわだの、栗おこわだとが売られている中

「お赤飯(甘納豆)」

 というのがあった。隣にはよく見る小豆のお赤飯もある。

 甘納豆のお赤飯は小豆のより色が少しピンクっぽくて艶がある。そういえば、以前テレビで北海道のお赤飯は甘納豆が入っているというのを見た記憶が。

 予定を変更してそれを買うことにした。時間が遅かったせいか値引シールつきだ。

 甘納豆のお赤飯が主食なら、何か一品、味が濃いめのおかずがほしいなと、やはり値引きされていたカレーザンギを買う。

 ホテルで食べると、これがなかなかうまい。甘納豆のお赤飯は小豆ほど味にパンチがないが、その分主食として様々なおかずに合いそうだ。実際、カレーザンギと良く合った。


 惣菜売り場ではないが、コンビニに入ると札幌駅近くのせいもあるだろうが、北海道限定販売と銘打った商品が並んでいる。

 そんな中、パン売り場で見たのが

「ちくわパン」

 バターロールぐらいのパンにウインナーが入っているのをウインナーパンとして売られているが、ちくわパンはそのウインナーをちくわに変えたものである。特にこったあおり文句もないため、札幌では当たり前の商品なのだろう。

 最初はえっと思ったが、考えてみればちくわは魚のすり身で出来ている。だとすれば、ちくわパンは一種の魚系惣菜パンと言える。フィッシュバーガーに首を傾げる人はいないだろうし、海外のサバサンドなどはよく知られている。実物を見たことはないが、パンを題材とした漫画で、秋刀魚パンを何度か見たことがある。テレビドラマ「探偵物語」では主人公が焼いたアジの開きを食パンに挟んで食べていたと思う。

 パンと魚の組み合わせはちっともおかしくない。もしかして1ランク上の「チーズちくわパン」とか「カレーちくわパン」、もしくは似た路線で「かまぼこパン」「さつま揚げサンド」とかもあるのではと思ったが、こちらは見当たらなかった。

 これも買って食べてみた。特に濃い調味料も使っていないせいか、口にした直後はあまり味がなく、物足りなく感じた。が、何度か噛む内にちくわの旨みがじわじわ口の中に広がってきて「これはアリだ」と思った。

 ちくわパンに限らず、コンビニには地域限定商品というのがけっこうあるらしい。今更ではあるが、旅行の際にはスーパーと並んで地元のコンビニものぞくようにしたいと思う。


 札幌の人にとっては

「なに書いてんだ?」

 と思うかも知れない。あまりにも当たり前過ぎて、それを名物だと意識していないのだ。だが、よそから来た人にとってはこれらも立派な名物である。

 よく地元の人はそこの観光名所にはいかないし知らないと聞く。私も東京の人間だが、東京スカイツリーには行ったことがない。

 もしかして、名物というのは、地元の人達が名物ということを意識していないものをいうのかも知れない。



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