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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

あ、どうも……、戦争の置き土産を管理してます…、K-1487と申します…よろしくお願いします……。

作者:

コンッコンッ……。


狭い通路に、靴と金属のぶつかる音が鳴り響く。

狭いうえにここは地下、そして長い通路だ、どこまでも音が響いている。


「A-928さん……、僕、こんな奥まで来たことないですよ……」

「K-1487、お前はまだ新人だからな、こんな深い所まで来るのは異常だ」

「えぇ、じゃあ何でつれてきたんですかぁ…」

「先日、俺の相方がエイリアン共に喰われたから、その代わりだ」


そこから会話は続かず、また、コンッコンッという音が響き出した。


彼らは研究員、替えがきく研究員。

彼らの仕事は戦争の置き土産、エイリアン達を管理することだ。


エイリアンは、昔、酸素の無くなった世界で繁殖した、なぞの生物だ。

人間が再び食物連鎖の頂点に登り詰める頃には、エイリアンは、酸素を奪い合う戦争の兵器となっていた。

かつて、恐れられたエイリアン達は、戦争でしか酸素を供給出来ない世界になった途端、救世主となっていった。


だが、酸素生成機が発達し、地球が元の状態に戻ると、エイリアンはただの危険な生物に成り下がってしまった。

人々は戦争の置き土産と呼び、エイリアン達を隔離した。


エイリアンも、長らく人と触れ合ったため、知能が発達するなど、どんどん進化していた。

知能を持ったエイリアンは、人間を補食対象ではなく、復習対象として、認識し始めた。


最初に起こったのは、エイリアン隔離施設の爆発だった。

その施設には、すべてのエイリアンが隔離管理されており、爆破により、すべてのエイリアンが脱走してしまった。


裏切られ、怒りに燃えたエイリアン達は、人間を殺し、進化し、子を残し、出来る限りの復習を開始した。


その結果、エイリアン達と人間は再び敵対し、両者が殺しあいを始めてしまった。

だが、進化したエイリアンは今の人間の化学力では殺す事は難しく、収容することになった。


その収容先がこの施設。

名もない施設。

ただ、管理、実験、殺害を目的とした施設。


この施設は、エイリアンを日々研究し、殺害する方法を探し続けている。

その実験体が、彼ら、arfa職員だ。


自殺志願者、死刑囚、など、いきる価値、願望がないとされたものたちが、記憶処理を行いここでarfa職員として、エイリアン実験の実験体として生きている。


今日の彼らの任務は、絶対殺せないエイリアンを新型の武器で殺せるかどうかを確かめる実験だ。


「……こんなエイリアン、殺せる訳ないじゃないですか」

「なぜだ、やってみないとわからないだろう」

「核爆弾をくらっても平然と生きてる化物ですよ!? 倒せるわけないじゃなですか!!」


K-1487は大声で叫ぶ。

いきる意味がないとされたものたちがarfa職員に選ばれるが、彼らは記憶処理を受ける。

つまり、記憶を消されるのだ。


前の自分に何があったのかは知らないが、彼らは前の自分、すなわち他人のせいで、こんな地獄を日々生き抜いているのだ。K-1487が怒っても不思議ではないだろう。


だが、A-928は違った。

「おい、もう一度言ってみろ!」

「は?」

「てめぇはよ、今まで死んでいったarfa職員を侮辱した、あのお偉いさん達はなんて言ってた? 絶対殺せる、だっただろ? 俺らはそれに従うしかねぇんだよ、上の命令に従って死んでいったやつらは嘘に気づけなかった馬鹿だってか?! もう一度言ってみろ! お前をエイリアンの収容部屋に突き落とすぞ!」


それは、ものすごい勢いだった。


「す、すいません……。」

K-1487は勢いに押され、謝った。


また、会話は途切れ、コンッコンッという音が響いた。

しばらく歩くと――


「ついたぞ、A/k-2749の部屋だ」

――目的の場所についた。


「A」というのはエイリアンという意味で、戦争開始前からいたエイリアンのことを指す意味だ。

「k」というのは「s・e・k」の危険度のなかで一番ヤバイやつのことを指す。

「2749」は個体番号だ、これだけの数、ヤバイやつらがいるということだ。


「さて、と、地獄のトカゲ狩の始まりだ!」


叫び声と共に、重々しい鉄とコンクリートの扉が開き始めた。

K-1487は、自殺しようとした過去の自分を盛大に呪った。

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― 新着の感想 ―
[良い点] かなり読みやすいと思います。 [気になる点] 復習→復讐  です。 [一言] 今後の展開はどうなるのかな?
[一言] いや、冤罪ヒーロー書けよ。
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