第5眠:キモいドラゴンを倒しましょう
スロートドラゴン討伐に向けて出発する
「スロートドラゴンって、ブレスは無いんですよね?」
メイル達はブレスを吐くドラゴンを避けている。
「はい。スロートドラゴンというのは、翼もありません」
「へえ。じゃあ楽ね」
「いえ。まあ、見れば分かると思いますが、ニールの調べた絵を見たときは、あまりの形に吐きそうになりました」
ネクリとニルスは顔を見合わせる。
一方で私は殆ど寝ていた。
「……正直、ここまでやるのがメイルと言う感じがするわ」
エノームさんは呆れたように言う。
私は荷台のベッドで横になっていた。
物凄い快適です。最高です。
そして
「キモイ!!!」
「メイル!近づきたくないんだけど!!!」
魔法使い達が大騒ぎ。
「……キモイ」
なんというか、首というか、なんというの?あれ?胴から頭の間がグルグル巻きついていて、それが、にょろーんにょろーんと動いていて……
まあ、いいや
「早く仕事を終わらせます」
氷の魔法。
私の仕事はドラゴンの動力を凍らせること。
動力を凍らせれば、ドラゴンは死ぬ。
ただ、それだけだ。
私がこれだけ良くされている理由はこれだけ。
長距離でも、動力を確実に凍らせる。
天才でもなんでもない。
メイルの求めている能力に、わたしの能力がマッチしただけ。
だから、私は凄くない。
そんな事を考えているうちに
『GYYYYYYYYYYYAAAAAAA!!!!!』
ドラゴンの絶叫。
スロートドラゴンは大暴れをするが、私達の距離は遠い。
そして、力尽きた。
眠い
「メイル~。寝ま~す」
「はい!皆さん行きますよ!」
私は荷台のベッドに戻って横になる。
本当にこの生活はいいなぁ。
荷台に揺られながら、私は寝た。
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「スロートドラゴンも撃破したと」
「ドラゴンゾンビの討伐も間近だそうな」
魔法ギルドの本部会議室。
そこでは魔法ギルドの幹部が集まっていた。
「我がギルドに所属する4人の名声は素晴らしいものがある。それは喜ばしいが」
「特にミラーだろう。彼女を雇いたいという要請はもう断れるレベルではない」
「実質、ドラゴンを殺して回っているのはミラーと知れ渡っていますからな」
魔法ギルドでも、ミラーこそが、メイル達のドラゴン狩りの成功の秘密だと思っていた。
実際は、ニールの知識をベースにした緻密な戦略が必要だったのだが、そのことは、殆ど知られていなかった。
実際に、長距離の氷魔術が可能なミラーを、メイル達は頼っていた。
かなり高額の報酬を支払っていた。
たが、それは単に「ミラーの魔術だと遠距離で攻撃できるので安全」と言うのと、報酬面ではメイルの気前がよいというだけだ。
そんな事を知らない魔法ギルドの幹部は、ミラーを如何に自分達の言いなりにさせるかを考えていた。
「あの地区のギルドの主は更迭しますか?」
「しかし、ミラーは彼を信頼しています。そうでなければ、毎回律儀に入金しないでしょう」
それは単にミラーがバカ正直なだけなのだが。
「様子をみましょう。逆を言えば、彼を説得出来れば、彼女への依頼がスムーズにいく」
「魔法ギルドの斡旋となれば、手数料の設定も必要です。検討しなければ」
「そうですね。通例ですと……」
魔法ギルドの幹部は欲だらけだった。
ミラーをいかに金儲けに使うか。ミラーはそういう存在になっていた。
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血まみれの娼館。
ガル&ベリーは、ジェルニモの兄を殺すために、娼館全てを全滅させたのだ。
「くだらない争いだ。やはり人殺しなんて時代遅れなんだよ」
ベリーは溜め息。
「あっさり殺せたな拍子抜けだ」
ガルはジェルニモ兄の遺体を慎重に切り刻む。
殺したつもりで殺せなかったというケースは多いのだ。
確実に命を絶っていた。
「恐ろしい話だよ。ここでジェルニモ兄を殺せなかったら、明日の朝、同じ台詞を言われていたさ。毒で死んだ私達二人の遺体の前でね」
「紙一重か」
「メイルのキャラバンは誰も死者が出ていない。10回以上の遠征をしているのにだぞ。異常だ。だが、これからはそういう時代なんだ。
命を削って、カスみたいな金を掴む時代は終わったんだよ」
ベリーは、血を拭い
「金を掴むよ。埋もれる程の金貨をね」