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第36眠:馬鹿を相手する場所は、馬鹿が作った館

魔法使い4人と、メイル。


他の人達はいない。

この5人で大妖精を倒す。


「帰ってきたら、解散パーティーやろう」

エノームさんとネクリさんから言われた。


最近ネクリさんには素敵な男性が出来たらしい。

その惚気のろけ話ばかり。


「すっごいわよ、メロメロで。まあ金に寄ってきたにしてもイイ男だから、分からないでもないけど」とエノームさん。


そう言えば、普段メイルとよくいるネクリさんは、最近見かけなかったもんなぁ。

おのれ、みんな男をつくりおって!


そんな憤りのなか、私は荷台で寝てました。


いつもの、ふかふかベット付きの荷台。

荷台を引っ張る人達はちゃんと雇っているのです。

私達5人は、荷台にしては有り得ない、凄い快適空間で過ごしていた。



さて、大妖精のシルフィードとウインディーネの討伐に向かうといっても、あいつらに居住地などない。


勝手気ままに適当に現れるだけだ。


しかし、妖精というのは契約がある。

呼び出されたら必ず出ないといけない契約。


呼び出した結果、大抵はその場で召喚者を凄惨に殺すので、呼び出すやつなんていないのだが、今回はその契約をやる。


その為に新都に向かっていた。


ここには、妖精の契約が可能な魔法陣があるのだ。


そして、この新都に、メイルを神教に教導した、ハユリとリグルドがいる。


メイルは

「すみません。まずは話をしてきます。ついでに魔法陣使用許可も取ってきますので」

と、すぐ出かけた。


「私達は宿屋に行きましょう~」

宿屋


それは宿屋と呼ぶには、あまりにアレだった。

「屋敷にしか見えませんが」

「そうですね~」


貴族が住む御屋敷にしか見えませんね。

「メイル様、ミラー様達、ご一行様ですか?」

執事みたいな人が声をかけてくる。


「はい~。メイルは、後から来ますが」

「どうぞ、中へお入りください」


中は……うん。御屋敷だ。

「宿屋とは思えません」

「宿屋ではありませんから」

あ、やっぱりそうなの?


「こちらは、ガルド公国の王族であられる、カルティーナ様の別荘となっております。今回はメイル様達が新都に来られるということで、特別に利用許可がおりました」

マジか。

王族の別荘借りたの、メイル。


「メイル様の財産は王族を凌駕します。この程度で驚かれては」

まあ、そうなんですけどね



部屋に行くと

「おおおお!!!!」

凄いベッド!!! ふかふかでは無いですか!?


「これ師匠の部屋ですか!? どんだけ!?」

あまりの豪華さに、みんなビックリしてる。


「皆さんの部屋は?」

「ここまでではないですが」

「泊まった事がない、すごい部屋でした」


凄いなぁ、王族。

別荘貸してくれるって素敵。


部屋で談笑していると、メイルが帰ってきた。


「メイル、凄いね、ここ」

「ええ。好意に甘えました。私の出身の国なんですよ。ガルド公国」

「へえ」


「良い国、とは言い難いですが。貧しい、貧しい村でした」

メイルは遠い目をしたあとに


「ミラーさん、二人でお話が」

「分かりました。みんな、食事をしてきて」

「はい」


三人がいなくなる。

すると


「ドラゴンは神教の敵」

「……わたしは、一応神教徒です。その事は知ってはいました」


「神様の敵になってしまいました」

切なげな顔のメイル。


「元に戻れないのですか?」

「作り替えられたものは、元には戻らないのが道理でしょう。このベッドが、元の木や、鳥に戻らないように」


メイルは淡々と話す。

「リグルド様と、ハユリさんが、私の信仰の保護者として面倒をみてくださる事になりました。その代わり、帝国本国からは動けなくなるかも知れません」


メイルは旅が好きだ。

帝国本国から動けなくなるとか、そのストレスは凄そう。


「どうしようか悩んでいます。リグルド様も悩んでおられました。あなたは旅が似合うと。リグルド様は私のことをよく理解してくださり、そして悩んでいる」


メイルは、私にもたれかかり

「まあ、大妖精ぶち殺した後考えますよ。選択肢は多いですね。帝国本国に飼われるか、ドラゴンとして生きるか、大妖精になるか、はたまた、全てを投げ打って旅に出るか」


すると

『お前が大妖精なんて有り得ない』

『娼婦、私はお前を認めない』


ウインディーネとシルフィードの声


「自分達から来たか、間抜け」

メイルは冷笑すると



「ミラーさん!!! この屋敷は街の外れ! 周りは人は誰も来ません! 既に屋敷の人は待避している! ここでこいつらを倒しますよ!!!」


「でも! 屋敷はいいの!?」

「いいんです! わたしは! この屋敷を買い取ったのですから! 初めから馬鹿妖精が奇襲かけてくるのは読んでたんです!!!」


さすがメイル。


部屋に弟子達も来たので


「大妖精シルフィード! ウインディーネ! 絶望で足掻け!!!」


アニータとフェイルの詠唱と魔法構築。

ミガサと私は魔法量を送り込む。



『馬鹿か、こんなところで火の壁か?』

『木の家だぞ、お前らが燃え死ぬ』


そう。だから奇襲してきたんだと思う。

でも、メイルは平然と言った


「木? だから馬鹿なんだよ、馬鹿妖精。王族はな、お前らを超えて馬鹿なんだ」


メイルは、柱を握る。そこに、むき出しになった物は


『鉄!?』

『そんな!? 馬鹿な!?』


「ここは鉄で出来た館なんだよ。木も使ってはいるけれど。風は鉄にも弱いんだってね」

メイルはどこまでも冷静。


そして完成する

『炎の壁!!!』


完璧な魔法。


「熱い!!!」

急いで離れる。


『グギャアアアアアアアア!!!!』

『アヅイィィィ!!!!!!!!』

苦しみ、のたちうち回る大妖精シルフィードとウインディーネ


「ミラーさん!!!」

「炎の壁を解除しなさい! いくわよ!」


ウインディーネとシルフィードは完全に弱体化した。今ならいける

『具現化』の魔法。


触れられない、物理攻撃が不可能な妖精を、実体化させる


「妖精共! 人間の性行を味わって悶絶しろ!」

メイルの叫び声。


そこに

『そこまでだ』

『あーあ。瀕死じゃない』

ゴールドドラゴンと、妖精神が、屋根をぶち抜いて現れた。

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― 新着の感想 ―
[一言] まぁ待ってないんじゃねと思ったが此方が一枚上手で…… どんだけ建てた王族は用心深かったんだよ!強迫観念? よっしゃ!と思ったらなんじゃい今更。 ……この辺なんで妖精神が手出ししないのか気に…
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