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第35眠:人でなし

すみません、予約日時間違えて指定していました。

遅れて投稿です

翌日の訓練。


いきなり成功した。


「出来た!」

「凄い! これで! 超絶魔術が使えるように!」


上手くいかなかった理由は、あの二人の仲だった訳ですね。うんうん。


「ミガサ、休みながら何回かやらせてください。私はメイルに報告します」


「分かりました」

私はメイルのいる宿屋に向かうと


「ミラー」

「あら、ベリーさん」


「マズいことになった。メイルはもうこっちにいる。あなたも来てほしい」

「分かりました。あの少女ですか?」


「ああ。やばいよ。昨日だけで通り魔として7人殺した」



「不老解除みたいな魔術は?」

着くなりジャブローが話しかける。


「ありません」

「殺すしか無いと」

「殺せますか?」

冷静にメイルが聞く。


「実は、ニールに調べ物をお願いしていたのです。あの不老の魔術はおかしい。多分不老を目指す魔術じゃない。人を作り替える、化け物にする魔術。なにか、そういう例は無いか? ありました。それが『龍族』と呼ばれるもの」


「龍族?」

「はい。オリジナル・ドラゴンが力を与えた存在。不老で、身体能力が向上し、精神面では闘争本能が強烈になる」


「まんまですね」

メイルが頷くと


「毒も効かない。多少の攻撃はすぐ癒える。四肢を切断しても、そのうちくっ付く」


「無敵かよ!?」


「弱点もあるはずです。龍族の消滅の実例もあります。ただその殺し方がまだ分からない」


「切り刻んでもダメなのか」

「ニールは、バラバラにして燃やすことを提案していました。まだ調べ物は終わってませんが」


「取りあえず止めないとな。大問題になる」


「説得は不可能だと思います。3人で足止め、というか拘束は可能ですか?」

メイルは淡々と語る。


その時に

『ギャアアアア!!!』

『た、助けて!!!!』

『キャハハハハハハハ!!! 血が!!! 血が綺麗!!!』

悲鳴と、少女の歓喜の声

「真っ昼間にかよ!?」

「ちっ! いくよ!」


全員で表に出ると


「キャハハハハハハハ!!! あ! 私をこんな素敵な存在にしてくださった人達!!!」


満面の笑みで近付く少女。

それに対して、メイルは淡々と言った。


「人が人と思えませんか?」

唐突な問い。

それに対して


「人? ふふふ、人は人だよ! 私は! 人を超えた存在になれた!!!」

少女は歓喜の絶叫をする。


「見て! 美しい血! ねえ! まだまだ、この魔法使えるのでしょう!? 妹達にかけてあげて! きっと喜ぶわ! 分かり合える!」


そのハシャぐ姿を冷静に見ていたメイル

「貴女には誇りがない。だから道を間違えた」

メイルは

左手だけで

少女の胸を

貫き通した


「ギャアアアア!!!!!! いだい!!! いだい!!!」


「やはり。ドラゴンめ」

メイルは静かな怒りを見せると


「ジャブロー。首を切り落として」

メイルが言い終わる前に

ジャブローは首を切り離した。


「極炎魔法をかけてください」

「あいよ」

ベリーは、炎の魔法を使い、頭を焼く。


メイルは

「頭になだれ込んできましたよ。龍族の殺し方。本当に、妖精といい、ドラゴンといい、不快です。人外共はいずれ滅ぼす」


メイルは血塗れで微笑むと


「後はお任せします。ミラーさん、話があります。行きましょう」

「はい」


メイルに着いていく。


「誇り無き生き方が分けたのでしょう。私にも時折殺傷願望が生まれていた。でも、私はメイル。再貧民の村で育ち、奴隷のような境遇から這い上がった人間。その誇りがあるから、人殺しの欲求など退けた。彼女は違った」


「誇り、ですか」

いまいち伝わらない。

誇りの有無で、殺傷願望は封じられるのか。


「強烈な願望ですよ。人が人と思えないと言うよりも、彼女の表現の方が的確。自分は人で無くなった。より高みの存在になった。そんな錯覚」


メイルは悲しそうに言った。


「彼女の人生は、私と同じような苦労をしたはずです。でも道は違った。彼女には守るべき家族がいた。でも狂った。私には、家族はいない。祖父のようなリグルド様、姉のようなハユリさん。父のようなオルグナ。兄のようなニール。そして、ミラーさんや、魔法使いの皆様達。そう、特にミラーさん」


透き通った目をするメイル。

「貴女のおかげで、私達は上手くいっている。あなたには感謝をしています。特別な思いもあります。だからこそ打ち明けましょう。私のされたこと。

先ほどの龍族殺害で、知り得た話。私は」


『ドラゴンにされたのよ、あの早漏ヤリチンにね』

突然現れた、妖精神。


「消えろ」

メイルは言うが


『あなたの怒りを利用された。心の隙を突いた。あのヤリチン最悪よ。ちょっとでも隙があればやるんだから』


「私は、私だ」


『そうね、メイル。ドラゴンにされても、メイルはメイル。大した精神力だわね。だから誘ったのよ、妖精にならないって? だってもう人で無いもの』

コロコロと笑う妖精神。


『さて、そちらのお嬢さんはどう? 大妖精にならない?』

は?


「おことわりしま~す。私は寝るのが好きなんです」

『大妖精の一人、サントマンは100年寝てるわよ』


「好条件ですね」

良いなぁ、そういう生活。


「ミラーさんにも勧誘するのか、節操がない」


『あなた達、自分達がなにしでかしてるか分かってるの? 大妖精を殺し、ブラックドラゴンを殺した。司令塔のメイルと、実行犯のミラーの名声は、妖精界にも、ドラゴン達にも知れ渡っている。もはや、人間でいたままでは死ぬだけよ。ゴールドドラゴンのアレは慈悲でもあるわ』


妖精神は楽しそうに笑い 

『ミラー、真剣に考えなさい。人間に殺されるなんて損失。返事を楽しみにしているわ。そして、メイル。あなたの心変わりもね。私、貴女みたいなタイプ大好きなの』


ニコリと、穏やかな笑顔を浮かべた後

『その澄ました顔が、懇願と哀願にまみれて、鼻水とよだれで顔面が崩壊していく様を想像するだけで絶頂しそうになるわ♡ メイル、来たら可愛がってあげる』


妖精神がいなくなる

「あのクソ妖精共の親分だから、クソだろうと思っていましたが、それ以上でしたね」


「メイル、あなた、ドラゴンって」

「まあ、なんとなく。ニールに調べてもらう中で、悟りつつありました。ショックはおおきいですが。人外か。クソだな」


メイルは思いっきり壁を蹴る。


その壁は

「え?」

崩壊した。


「骨も折れない。傷みもない。最悪ですよ」

メイルは天を仰ぎ


「大妖精共を狩る途中でリグルド様に会ってきます。出発しましょう」

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 蕎麦屋でがサンドマンでしたがザントマン? 英語読みとドイツ語読みでどっちも正しいので誤字報告は避けました。 [一言] うあ、確定しちゃった。不老もオリジナルドラゴン化も。 妖精神はクソ…
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