表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/40

第27眠:妖精にも穴はある

『ぶち殺す』

私とメイルがハモった。


妖精が持ってきたその財宝

まず、多すぎて荷台が壊れた。


あの馬鹿妖精、荷台はいっぱいあるのに、なぜか、2つの荷台にドカドカ乗せたのだ。


なので、荷台が壊れるわ、それの移動で苦労するわで、メイルは泣きそうな顔で対応していた。


一方で私にだが、この馬鹿妖精共、一回帰ったかと思ったら、私の前に飛び回り

『お前は強いが、私達を殺せない』

『氷と風のお前には無理』

『私は水は無敵』

『私は風は無敵』

『ギャハハハハハハハ!!!!』

『ギャハハハハハハハ!!!!』


延々と挑発され続けた。



「メイル、もうゴールドドラゴンとかどうでも良いでしょう?あの馬鹿妖精を倒すための魔法開発に全力を尽くします」


「そうしてください。私は帝国に行き、この財宝を見せて説得します」


そう、魔法の開発。

その為には

「ミガサ、学園に戻って協力を仰いでください。私では難しいが、あなたならば話を聞いてくれる」


「それは構いませんが、どういう話をすれば良いのでしょうか?」

「禁断の魔術書を手に入れたと言いなさい」

「分かりました」


「魔法ギルドには私から伝えます。奴らを消滅させるには、私達では無理なのです。私達は知識を提供する。やるのは他の魔術師です」


そう、氷と風の私達では無理。


だが


「妖精の実体化も可能ですよ、メイル。妖精を犯したいなんて、かれた趣味の皆さんが、どれぐらいいるかは知りませんが、探せますか?」


「大丈夫です。人の性的趣向は無限です。必ずや探し当てます。人型ですし、穴もありそうですし、後は些事さじでしょう。必ず見つけだします」

=====================



メイルキャラバンはブラックドラゴンを撃破した。


そして、その財宝をすべて帝国本国に提出した。

そう、すべて。


「信じられん!? これは!!!」

皇帝を始め、その財宝の数々には、皆驚愕きょうがくした。


伝説扱いされていた、財宝、武具、秘宝が、いくらでもあった。

価値を金貨で現すのは不可能だった。


「皇帝陛下。これらは、私達に扱える代物ではありません。全てご提出致します」


「そうか。大儀たいぎである。無論褒美は出す。キャラバンの恩賞に困らない額は保証しよう」


「ありがとうございます。それで、ゴールドドラゴンの討伐も御命令受けましたが、今回の討伐で限界を感じました。キャラバンとしては、これ以上の運用は厳しいと判断しております」


「そうなのか? これだけの成果をだしたのにか?」

「はい。もう、キャラバンが扱える規模ではありません」


「それは残念だが、理解もしよう。なにしろ、帝国軍でも、ブラックドラゴン撃破は難しいと予想されていたのだ。よくやったメイル。恩賞は、この儂の権限において、保障しよう。不満があれば遠慮なく申せ」


「かしこまりました。それと、これがブラックドラゴンの角と目です」


「うむ。飾っておくかの。本当によくやった」

「失礼致します」


メイルは、謁見えっけんを終わらせると


「次は貴様等だ、大妖精。私を娼婦扱いした侮辱、必ず倍にして返してやる」

=====================



その夜、メイルは夢で呼びかけられた。


『起きろ、メイル』

「……なにものですか?」


『お主等がゴールドドラゴンと呼ぶものだ』

「ああ、仇討ちですか? すみません、私達は別の敵を見つけました。あなたに構うつもりはありません」


『いや、黒きモノ、お主等の言うブラックドラゴンは蘇った』

メイルは驚き、目を見開く。


「ミラーさんが言っていました。人間には不可能だが、蘇りの魔術があると」


『条件が多いがな。今までは、お主等は、死体をバラバラにするから治しようが無かったのだ。今回の奴は、角と目だけだったからな。可能だった』


「馬鹿妖精が、加減抜きで財宝を運んだからです」

『それも知っている。あいつらの馬鹿さ加減に救われるあたり、やつの悪運も大したものだ。そこでだ、話合いを持ちたい』


「なんでしょうか?」


『シルフィードとウインディーネ。奴らこそが仇だ。ドラゴンにとって、もはや見逃せる存在ではない』

「ケットシーを、ブラックドラゴンが退治したと聞きましたが」


『そのケットシーに、何体もドラゴンは殺された。また今回もな。お主等もドラゴンを殺して回る厄介な存在だ。だがな、あの大妖精共は、あまりにも厄介すぎる』


「敵の敵は味方ですか」

『そうだ』

「私達の身の安全の問題があります」

『保障しよう』


「口だけでは」

『ドラゴンの契約だ。破れば死に至るよ』

「……分かりました」


『奴らは殺せそうか』

その問いかけに

「殺す? そんな手緩い話にはしません」

メイルは、怒りを爆発し


「実体化の魔術で! 実体化をさせて! 能力を封じ! 徹底的に陵辱りょうじょくします! 生まれたことを後悔し、殺してくれと頼まれるまで陵辱する!」


『凄まじいな。なにがお前をそこまで怒らせた』


「娼婦扱いもそうなんですが、あいつら、旅の私を馬鹿にし続けた貴族そっくりです」


メイルは、幼い頃に村を出てキャラバンにいた。

10の時にはキャラバンを率いる立場になった。


キャラバンで成功し、大金を得たメイルに、嫉妬混じりの罵詈雑言はよく浴びせられていたのだ。


『あんな年でリーダー? 身体を売ってるだけでしょう? 名前だけよ、あんなの』

『汚らわしい顔ね。どれだけ男に身体を売っているやら』

『キャラバンにいる下民に身体を捧げているのでしょう? 低俗な女にはお似合いね』


メイルは無視していたが、その度に怒りをためていた。

その怒りが、規格外の成功を産んだと言ってもいい。


メイルはめったに怒りを見せない。

その怒りは、行動への原動力になるからだ。


だが

「あの大妖精は殺す。私の存在理由を否定した、大妖精は、屈辱の中で殺す」


怒りに燃えたメイルを見ながら

『ならば手を貸そう』

ゴールドドラゴンは、メイルの手のひらになにかを刻み込む。


『ドラゴンの誓いだ。必ずや大妖精を滅ぼそうぞ』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ゴールドドラゴンがマトモっぽくて身にしみる…… そういや代替わりしてるんだっけ?さすがに蕎麦屋の頃とは違いすぎて何ともかな。 実はメイルの行動って反骨心だもんなぁ…… あれよね。誰しもそこ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ