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第16眠:合成魔術

私は、メイルに会いに来た。

「お忙しい中すみませ~ん」

「いえ、なんでしょうか?」

「ニールを借りたいのですが~」


「構いませんが、ご用件は?まさか」

「イフリート討伐は、メイルかエノームさんのどちらかが言い出すかと」


「読まれていましたか」

「ええ。亡き友の敵討ち。お金は十分過ぎます。余裕が出来た今こそ行うかと」


「はい。ただ、私にはまだ確信がありません。ミラーさんなら勝てるとお思いですか?」


「率直にいいますが。ミガサだけでは勝てません。その為に、ニールと相談です~」


「分かりました。よろしくお願い致します」



ニールはいつものように図書館にいた。


「ミラーとミガサか、どうした」

「メイルから許可を得まして。調べてもらいたいことがあります」

「ふむ。なにかな?」


「合成魔術はご存知でしょうか?」

ニールは椅子から立ち上がる。


「むしろ、ミラー。何故お前はそれを知っている?グリモアの学園はそんなものまで教えているのか?」


合成魔術。

マトモな神経の人間ならば発想すらしない魔術。けれども

「いえ。むしろ、他者が手伝う魔法構築は禁忌とされています。それが故に、禁忌ということは可能なんだろうな、と思っていただけです~」


「過去に例はある。だがな、文字通り禁忌だ。失敗は死に繋がる」


「私には仮説があります。ニールの調べる能力で、見てほしいのです」

「うむ。合成魔術についてか?」

「いえ。もっと具体的な話です。風と氷の合成魔術。名称は分かりませんが、吹雪魔法とでも呼ぶかもしれませんね」



ミガサと訓練。

「基本の魔法で試します。ミガサ、もっとも簡単な微風の魔法を使ってください」

「はい!」

粗いが早い。

微風が起こる。


「もう一度やってください。ただし、構成はそれで、ゆっくりやってください」

「?はい」


ミガサが構成する微風魔法。

それの構成にのっかり、凍結魔法を発動する。


しかし

「!!!???痛いっ!?」

魔法構成が弾かれた。


「ミガサ大丈夫ですか?」

「す、すみません!こんな基礎魔法で失敗なんて……」

「いえ、これは実験ですから」

「実験?」


「そんな簡単な話じゃないですよね~」

風の魔法構成に、氷の魔法構成を重ねて発動したら、氷風の魔法になるかなー?ぐらいの発想。


ただ初めから可能性は薄いと思った。

これが可能ならとっくに禁忌だろうがみんなやってる。


自分の魔法構成でも、氷と風を乗せることは出来る。

そういうのはミガサも可能。

だが、一人の魔術では限界がある。

風も氷も、という魔法構成は、散漫になるのだ。


どんなに時間をかけたって、目指している吹雪のような魔術はどうあがいても無理なのは事前に試して分かっていた。


次の可能性は、合成魔術。

ミガサの全力風魔術と、私の全力氷魔術。

これが合成で、相乗出来ればと思っているのだが。


「やっぱりニール待ちですね。これは」

=====================



二人の男女が話をしていた。

「メイルキャラバンは帝国公認になったそうですよ」

「ちっ!?なぜ奴らはあんなに強運なのだ!?帝国公認のキャラバンなど聞いたことがないぞ!?」

「メイルへの加害は帝国への加害。簡単な話ではなくなりましたね」


「ならば、帝国の敵と組もう」

「帝国の敵……?ああ、なるほど」

「聖女だ。奴に使者を出せ」

=====================



魔法ギルドの幹部会に、ミラー担当の地区幹部が呼ばれていた。


その目の前には大量の苦情文と恫喝文。


「もはや、我々が制御できる域は超えているのだ。ミラーさんは、もはや地区がどうという話ではない。魔法ギルド全体でも取り扱える存在ではなくなった」


「しかし……いえ、まずは魔法ギルドの幹部の皆様の事情はよく理解しました。私も全力でサポートします」

その言葉にホッとする表情を浮かべる幹部。


「その上で、ミラーさんは、以前からブレス攻撃を行うドラゴンは不可能だと言っていました。アイスドラゴン征伐時に、あれはブレス攻撃を行わない時期を狙ったのだと」


「では、今回のフレイムドラゴンも、そのような時期を狙ったのか?」

「予想ですが、メイルキャラバンに新しい魔法使いが入ったのです。そのせいかもしれません」


「誰だ?」

「ミガサという少女です。グリモアの学園出身だそうで」


「ああ、学年主席だった娘ですよ。風魔術の使い手ですね」


「分かりませんが、彼女の加入で、フレイムドラゴンを討伐したということではないかと」


「……なるほど、君が言いたいのは」

「ブレス攻撃をするドラゴン征伐に使うならば、ミガサも必要になるのではないかと言うことです」


会議室がシーンとなる。

ところが、ここで遠距離会話の魔術装置が震えだした。


「これは失礼。余程の用事だと思うので」

遠距離会話装置は使用が高額だ。

緊急の用以外では使われない。


ミラーの地区の主は遠距離会話装置を使うと

「どなたですか……?ああ、ミラーさん。はい。どうされましたか?……は?イフリート?……なんですって!?大妖精イフリートを討伐する!?」


会議室の皆が顔を見合わせる。

「そうですね。大妖精イフリートの討伐は魔法ギルドの許可が必要です。たまたま私は、本部にいますから、許諾はすぐ取れますが……はい」


「大妖精イフリートだと?」

「ミリアムが挑み亡くなった。ミリアムはメイルキャラバンにいました。その仇討ちですか?しかし、なぜ今になって?」


ざわめく中で

「あの、ミガサさんも帯同されるのですか……はい。分かりました。失礼します」


「大妖精イフリートの討伐をするのか?」

「はい。三月後に行うと。そして、風魔術のミガサ加入で戦略が大きく変わったのは確定です」


「風魔術がか?まあ色々調べよう。グリモア二も問い合わせればいい。それにイフリート討伐はちょうど良いではないか。魔法ギルドが管轄する敵だからな」


「妖精は魔法使いの敵。特に大妖精の討伐は悲願。討伐を願いたいですな」

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― 新着の感想 ―
[一言] 大妖精と言うと蕎麦屋から入った私的にはサンドマンですが、 他のもやべーやつらっぽいなぁ。 そして合体魔法か……ここでか!
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