表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/40

第10眠:ブレス防護という能力

パープルドラゴン討伐の出発直前、メイルは、ニールの所に向かっていた。

私たちも一緒。


メイルに、ミガサは風魔法使いで、範囲攻撃が得意。

氷魔法による動力攻撃との相性は最悪だと伝えたら、立ち上がり

「ニールと話をしましょう。使えるかもしれません」

となったのだ。


「ニール。ブレス防御の件ですが」

「ああ、どうしたんだ?パープルドラゴンはブレスは無いぞ?」

「優秀な風魔法使いが加入したのです」

「なに!?」


ニールは立ち上がる。

「ニール、以前ブレス攻撃の防護手段で、風魔法による防護という想定があったはずです」

「ああ!あるぞ!文献に残っている!」


「ミラーさんのお話を聞くと、動力攻撃には向いていない代わりに、凄まじい程の風を生み出す。それも範囲はかなり広い」


「検討できる情報だ。その後ろにいるのが風魔法使いか?」

「はい。ミガサと申します」

ミガサは戸惑っている。

ニールは変わり者だからなぁ。


「表に出よう。実地を見せてくれ」



街の外。森の近く。

「ミガサ、とにかく、幅広く魔法を構成して」

「はい!」

ミガサの魔法構成。

相当粗い。こんなに粗くてよく魔法が発動できるなと、感心する。

そして、


『風よ!!!』

短い詠唱。

途端に吹く突風。


「ふむ。範囲は完璧ではないか。パーティー全員分守れる」

「問題は。風でブレスから守れるのですか?」

「そこは調べよう。単なる突風では無理だろうな。なんかしらの秘密があるはずだ」


メイルはミガサに振り向き

「予定通り帯同してください。あなたの才能は、このキャラバンで活かせるかもしれません」

「はい!」

年下のメイルに思いっきり頭を下げるミガサ。


そしてメイルは私に向かい頭を下げ

「ミラーさん。ミガサさんの才能は凄いです。紹介して頂きありがとうございます」

「いえいえ~」

雇い主なのに真面目なメイル。



そして、私達はパープルドラゴン討伐に向かった。



パープルドラゴンは簡単だった。

遠くから動力攻撃。あっさり討伐完了。

私は直後に寝たので、解体の記憶はない。


起きたらミガサが、死にそうな顔で歩いていた。

やっぱり山道は辛いらしい。


他の3魔法使いは荷台なのに、ミガサだけ徒歩。

理由は


「ミガサ、魔力使ってないし」

「歩きに慣れた方がいいわよ」

だそうです。



素材売却などの為、いつものように休みが入るのだが

「ミラーさん。ミガサさん。ニールのところで、ブレス防護の相談をしていてください。私は準備が出来ましたので、ドラゴンゾンビの討伐に行ってきます」


「ドラゴンゾンビには行かなくていいの?」

「はい。神教の皆様だけで行きます。私も立会人程度ですから」


ドラゴンゾンビ。

イエロードラゴン討伐時に、何故か付け加えられた依頼。


動力攻撃が無理なので、先延ばしにしていたのだが、討伐の目処がたったらしい。


私とミガサはニールの元に行った。

「ミガサ、ブレス防護の魔法が分かった。これが読めるか」

分厚い本。これは

「え?古代語ですか?これ?」

戸惑うミガサ。


おい、主席。大丈夫か

「古代魔術語ですよ~。古代語と呼ばれているハレル語とは別物」

「ミラー、お前は読めるのだな」

感心したように言うニール。


「これを読むのですか」

戸惑うミガサに

「文字が読める必要はないです。これは魔法構成が書いてあるだけ。この図があるでしょう?これは構成の形」


「ふむ。話が早くて助かるな。俺は古代魔術語は分かるが、魔法構成が分からんのだ」


「ええっと……これが、こうだから……」

「ニール、これは竜巻を生み出し、そこにブレスを吸収する魔術のようです」


「ああ、素晴らしい。このように展開の早い会話は好みだ。メイルもそうでな。理解力のあるやつとの話は良いものだ」


上機嫌になるニール。

そう言えば、あの二人仲良いな。

「その通りだ。ミラー。これはブレスを吸収する魔術。風魔法使いだと使い手が多いとある」


「正直、精密さが必要です。ミガサには難しいかもしれません」

「そうなのか?」

「はい。まだ該当する魔術ありませんか?」


「待て。では、これはどうだ?使い手は少ないらしいが、ブレス無効の魔術だ。風を多重に生み出し、ブレスを弾き飛ばす」


「多重に生み出すだけならともかく、展開を続けるのは精密な構成が必要です」

「うむ。あとはだな……」


ニールは魔術書を次から次へと引っ張り出す。


このあたりで気付いた。

メイルがニールを頼りにする理由。

なぜメイルはこんなに成功したのかの理由。


「これはどうだ?」

風魔法の魔術。

それを見たときに、痺れた。

「これです」

「出来そうか!?」

「ミガサの為に作られたような魔術です」


「ほ!本当ですか!?」

ミガサも食いつく。


「多段の風魔法は構成が複雑なのに対して、これは風の壁を連続で生み出し続ける魔術。構成は単純。単に連続でやるだけ。ミガサは構成が粗い分早いです。範囲も広い。これならばいけます。試してみますか?」


「うむ。やってみよう」



森。

「上から物を落とし続けるから、防いでくれ」

ニールが言う。

木の上ではネクリさんが構えていた。


そして

「いきますよー!」

構成は単純。詠唱なしで、すぐ風の壁は出来た。

そして、それは連続して生み出される。

石を落としても、木の実を落としても全てはじく。

そして

「これを弾けば、ブレスもいけるよ!」

ネクリさんの氷球。それも

「弾いた!」


「ブレス防護いけるな!これなら!」

しかし

「ミガサ!?」

「……す、凄い、つかれます、これ」

倒れ込んだ。

相当な魔力が必要なようだ。


「ふむ。一撃が限界か」

「一撃でも防げれば凄いけどね」


でもとりあえず

「訓練は後々やりましょう。ミガサは限界なので、解散で~」

私も眠いのです。

=====================



ガル&ベリーは、遺体を片付けていた。

「ジェルニモ弟も強烈だねぇ」

兄を殺したのはガル&ベリー。


それを悟った弟は、復讐の為に暗殺しようとしたが、返り討ちにあった。


「弟は毒だけでなく、暗器も使えたのか」

「なかなか良いコンビだったと思うけど。相手が悪かったわね」


ベリーは返り血を拭き取ると

「んで、予定通りファティマの代わりにニルスが行ったと」

「ああ。依頼人の思惑通りにすすむかね?」

「さあ?私達はその先は知らないよ。うちらはうちらで、ミラーと関係を作ろう。あれはあれ。これはこれ」


「そうだな」

二人は、遺体を処理しその場を離れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] そうだよなぁ。頭の回転早いんだからニールとも話は出来ただろうなぁ。 賢人だった頃にニールを見ると嬉しいような寂しいような…… あれ?自分たちの思惑じゃなくて依頼人かぁ……ふーn………メイル…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ