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困難は簡単に転がり込んでくる

出すのが遅れてしまい申し訳ありません。

これからも出す予定です。

よろしくお願いします。

 

 彌生(やよい) 星風(せいか)はひょんなことから山口県へ行くことになってしまった。

 それは2人の兄妹のせいだ。

 草刈 友とその妹の思いに負け行くことにした。

 竜達が空を飛びまわっているのに、この2人だけでは絶対に対処することができない。

 だから、星風が2人を守らなければならいのだ。

 オリビアにもこの兄妹を連れてこいと命令されている。だから、2人にもしもの事があったら困るのだ。


(オリビアにあった時に喋る言い訳はこんなところかな。ほんと怒られませんように......)


 星風は(ゆう)が運転するバイクの後ろを着いていく。

 星風にとってはこれはジョギングと何ら変わらない。

 他の者から見れば不自然な現象なのだろう。

 だから、友も最初はつい物理的に不可能なことを可能にしている少女を凝視してしまった。

 今では、これが星風の普通なのだと割り切ってあまり気になどしなくなっている。

 妹は妹で、どこかテレビで見るようなヒーローを見る目で星風を見ている。

 なんか目がキラキラしているのだ。


「お姉ちゃん、お姉ちゃん」


「うん、?なにかな?」


「お姉ちゃんは、もしかして怪人ヤウユとかもたおせるの!?」


(へっと......、なんなのかな。それは......)


 返事に困っている星風に手を差しのべるかのように、友は補足説明を始める。

 この時ばかり友に感謝をした。


「日曜の朝9時からある魔法少女シキに出てくる怪人だ。まぁ、この前の放送で、魔法少女達にボコられて、最後は子供が好きそうな、なんか分からないビームで倒された怪人だ」


「へー、そうなんだ。なんか詳しいだね。......まぁ、ありがとう」


 淡々と言う友にもちろん、感謝はしているのだ。たが、どこか引いてしまう。若干瞳をそらしながら感謝の言葉を口にした。

 それでも妹の質問に答えることができる。

 星風は笑顔で妹の方を見ると手を後ろで組みながら、


「もちろんだよ。私なら、その怪人ヤウユ......だっけ?ワンパンだよ」


「やっぱりお姉ちゃんすごいー!」


「それほどでもないかな」


 一応、否定はするが嬉しそうだ。

 友は「顔にですぎー」と言ったふうに笑った。


(まぁ、でもこいつなら本当にワンパンできるんだろうな)


 適当に予想するとバイクで生涯物をかわした。

 それと同時に激昂が落ちた。


「友ーーー!!動かないでーーー!!」


 星風の声がこの空間を包み込んだ。

 だけど、今動いているのはバイク。

 完全に止まるまでに時間を使ってしまう。

 真上からいきなり炎の玉が落ちてきた。


 ───何もできない。


 完全に思考が死んでしまう。

 当たるのだ。

 これはどうしようのないこと。

 こんなのが現実なのだ。


 ───させない。必ず守ってみせるんだ!!


 一瞬で距離を詰めると、星風の右足が炎の玉の進行を拒む。

 蹴られた炎の玉は左方へと弾かれ、そのまま地面に落ちた。

 地面に当たるとその部分だけが根こそぎスコップで抉られてしまったように見える。

 この時ばかりは冷や汗をかいた友は胸を撫で下ろした。


 星風が2人の前に立つ。その後ろ姿はとても大きく見えた。

 妹は涙を堪えてガタガタ震えている。

 だから。

 だから。

 だから。

 友は妹の震えている手を握り絞めた。

 友に何ができる。

 何もできない。

 けどそれは行動しない理由にはならいのだ。

 こんな時、妹になんて言ったらいいのだろうか。

 分からない。


(魔法少女シキみたいなヒーローみたいな言葉が言えればな......)


「兄妹(俺達)は絶対離れない。1人じゃない、2人だ。だからさ、無理すんなよ」


「......」


「それにだ、俺達には物凄く強いお姉ちゃんがいるだぞ」


 信じてるぞというような表情で星風の方を見ると、構えながらしっかりとツッコミを入れてきた。


「結局、私だよりかぁー!!」


 時間は待ってくれない、次々と真上から雨のように炎の玉が落ちてるが、それがひとつでも兄妹に当たらないように弾いていく。

 全身を動かしながら、空を凝視すると、


「だいたい、20体かな」


 呟くと、フゥーと息を吐き、兄妹の近寄りしっかりと触れると一瞬でその場から消えた。

 上空で突如消えた3人を探している竜達。

 だが、見つかるはずもない。


 ビッシュン!??!?!


 そんなの音ともに1人の少女が現れた。

 星風だ。

 友と、その妹はどこにも居ない。

 だけど、少女はそんなことを気にする様子もなくそのまま一体の竜に向うと容赦なく拳を振るった。

 その拳は、腹部に直撃すると、硬い鱗が崩れ破片ような物が地上へ落下していく。

 少女は表情を動かす仕草がなく。ただどこまでも無表情だ。

 竜は口から血のようなものを出すと、怒りからか咆哮を上げ、ただ突っ込んできた。

 体当たりだ。

 だが、少女に当たってもピクリともしない。

 まるで、分厚い壁にでも直撃したようだ。

 少女は今度は右足の蹴りをおみまいした。

 竜はその瞬間白目を向き、力を失い下に落ちていく。

 そんなことをいちいち確認せずに、残りの竜達に目を向けると、今度は次々と狙いを定め、


「直ぐに終わらせるから」


 冷たい声音。

 氷を刺されたかのように、竜達は動きを止めてしまう。

 殺気。

 この一言で説明は終わる。

 この場にいるものは筋肉をピクリとも動かせないのだ。

 星風は狂気に満ちた瞳で竜達を仕留めていく。

 確実に殺るために、脳天を叩き潰していき、竜達は、一体、また一体と落ちていった。

 最後の一体を仕留めると同時に星風の真上から影が2つ落ちてくる。

 それと、叫び声付きで。


「た、た、た、助けてー、助けてー、絶い死ぬ!!!」

「お姉ちゃんー死にたくないよー!」


 あの兄弟だった。

 確認すると、しっかりと両手でキャッチする。そして、妹の顔を見ると微笑みながら、


「大丈夫だよ、私が絶対守るよ」


 でもその言葉は妹だけに言っているように聞こえてしまう。確かに、友もキャッチしてもらったから一応は助けてもらったのだ。

 だが、だがだ。

 本当に友をこの少女は最後まで守ってくれるのか。

 心配になってくる。


「どうしていきなり兄妹(俺達)は上空にいたんだ?」


「瞬間移動をしたからだよ」


 何とも簡単に言う。

 つまり、星風は友と妹を竜達を上空に瞬間移動させ、自分は竜達の目の前に現れて戦っていたのだ。


「お前そんなこともできんのかよ。ほんと、すげーな」


「お姉ちゃん、お兄ちゃんよりすごいー!」


 兄としての面目は丸つぶれだ。

 だが、その通りだから、何も言えない。

 くよくよしていると、


「ハァ、ハァ......」


 息遣いが荒い。

 見ると星風だった。

 流石の友も一瞬でこの状態が危険だと分かり心配そうな声音で言う。


「大丈夫......か?いや、大丈夫じゃないだろ。どうしたんだ?竜共に何かされたか?」


「ううん」


 ただ首を振って、否定した。

 その動きに力がない。

 星風はゆっくりと地上へと降りた。

 降りると、妹をしっかりその場に置くように降ろし、友は適当に放り投げるように降ろした。


 すると、倒れた。


 直ぐに友は近寄り抱き抱えるかのようにすると、叫んだ。


「おい、大丈夫かよ!?ほんとどうしたんだ?」


「あのね、瞬間移動には膨大な体力がいるんだよ。だから、1度に3人も瞬間移動しちゃうとガス欠になっちゃんだよ。無理しちゃたかな、へへ」


 力ない微笑みで答えた。

 友は自然と奥歯を噛み締めてしまう。


「へへ、......じゃねーよ。だったらなんで瞬間移動しちゃうんだよ!?しなかったらこんな事にはなってねーんだろ?」


「20体のドラゴン相手に貴方達2人を守りながら戦えると思えなかったし、2人にもしもの事があったら嫌だから1度安全な上空に避難してもらうために使ったかな」


 少年は勘違いをしていた。

 彌生 星風はとてつもなく強いが最強、完全ではない。

 自分らと何ら変わりのない女の子なのだ。

 だからだ、だからなのだ。

 2人を守るために例え自分の状態、状況がどうなろうと助ける。

 それが星風という1人の少女。


「そこまでしてなんで......?」


 その質問が、きた時少女の脳裏に過ぎったのは、10年前“あの時”のことだ。

 1人の少年。

 その人のことが自然と頭の中に写りこんでいた。

 自分も友と同じような立場だったからその気持ちは分かる。

 けど、そんなの決まっている。


 ───それは、私がそうしたいから。


 別に難しい話しじゃないだ。簡単、単純な答えだがこれが全てなのだ。

 だから、ありのままを伝えればいいのだ。


「私がそうしたいからかな」


 フラフラな体を無理矢理動かして、地面に足の裏を付けて立ち上がり心配そうに見てくる兄妹に目を向けた。


「こんな理由じゃダメ......かな?」


「そんなのわからねぇ、けどそんな星風のことを俺はカッコイイと本気で思ってる」

「私も、私もそう思うんだよ。お姉ちゃんはとーても、とーてもカッコイイ」


「フフフ、なんだか少し嬉しいかな。初めて、人に認めてもらえた気がする」


 苦しそう表情とは裏腹に本当にどこか嬉しそうだった。

 友は目を細めながら言った。


「それは星風が気づいていないだけじゃないのか?」


「さぁ、どうだろ」


 どこか曖昧だ。

 誰にどう言われようとも、この兄妹だ認めてくた。

 それだけで十分だ。

 そう、心から思う。


「まぁ、いいや。で、だ。その、体具合はどうすれば治る?」


「ただの体力切れだから休めだ治るよ。まぁ、でもたくさん休めばだけどね」


「それでいい。だから、今は体を治せよ」


 妹は星風の近くに寄ってくると、いきなり手を握ってどこまでも真っ直ぐな瞳で微笑んだ。


「お姉ちゃんが早く良くなりますように」


 ───かわいい。


 今すぐ抱きしめたい。

 こんなかわいい妹がいるなんて友はなんて羨ましいんだろ。

 クソ。

 本気で友の妹を奪いたくなってしまう。

 いや、なんでそもそも友の妹が星風の妹ではないのだろうか。

 真剣に考えてしまう。


「なんで神様って残酷なのかな」


「どういう意味だよ?」


「なーんでもないかな」


 ×××


 適当なビルの残骸を見つけると3人は中に入り適当部屋を見つけてドアノブを開けて、ボロボロのソファーに座った。最も星風は横たわるとそのまま眠りについてしまう。

 そのくらい消耗していたのだろう。

 友は自分の上着をそっと星風にかけた。


 妹も星風につられて寝てしまう。

 友は一応起きておく。

 ただ座っていると、足音が聞こえた。


 ───おかしい。


 ここら辺には自分たち以外の人間がいるはずがない。

 その足音は近づいてくる。

 どんどんだ。

 嫌な汗が床に落ちてしまう。


 ドアノブが空いてしまう。

 友は拳に力を込めた。




感想や意見が、ありましたらあ気軽にどうぞ。

次の投稿は12月の終わりごろまでには出す予定です。

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