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才能2


リリアの件で頭を悩ませていた事があっさりとガウェインにバレた。

自分でも確かに自覚はある。ここ数日はかなり挙動不審であったに違いない。

俺の変化を感じ取れない配下など此処にはいないのだから……。


「あるじ。何かにお悩みの御様子で御座いますね。如何いたしましたか?」

「あぁ。ガウェインか……、ちょっとな。」

いつもの野良着姿ではなく、貴族風の格好に細やかな装飾のなされた外套を身に着けた、瀟洒な支配者の様な姿だった。

今日は、ダンジョンの管理者モードらしい。

……いつもは?

田畑の管理者モードだよ。


自分一人で悩んでも何も良い答えなど出ない。そして、そうやって出た答えは大抵失敗すると言う事もわかっている。

俺の立場では、早々簡単に失敗する事は出来ない。

これ以上しょうもない失敗をする訳にはいかない。


「そうだな。お前には話しておこう。何か良い考えばあれば教えてくれ……。」

現在のリリアの状況、俺の考え、そして解放した際に起こり得る問題など、俺が考えついた事を語って聞かせた。

「左様で御座いましたか……。あのような小娘が、あるじを悩ませるなど言語道断ですな。今すぐに、その命刈り取って参りましょう。」

「いやいや、待て。話聞いてたか?」

「勿論十分に理解致しております。あるじの話を聞いた私が、勝手に判断し(・・・・・・)、処理して参ります。」


どこの政治家だよ……。そんな忖度はいらん。

「お前達の行動は、全て俺の命令だ。俺が出した覚えが無かったとしても、それは俺の命令で動いた事と一緒だからな。それが眷属ってもんだろう?」

「あるじ……。何と勿体無いお言葉…………。このガウェイン……幸せで御座います。」


あぶねぇ……。こいつ半分以上影に沈んでたぞ……。

声を掛けるのが二~三秒遅かったら、リリアは死んでいただろう。

どうしてこう、極端な奴ばっかりなんだ………。


「最悪の場合、殺すのは仕方ないのかもしれない。それは俺も分かってるんだ。だが……、醜い人類のように交わした契約を軽はずみにこちらの都合で破棄すると言うのが、ちょっと……な。」

「あるじの思うがままにしてしまえば宜しいのでは御座いませんか?約定を破棄しようが、彼の者の命を奪おうともあるじの決定に異を唱える者など、我ら眷属には存在致しません。」


「俺の矜持の問題だ。俺は下らない人類と同じレベルに堕ちたくはない。」

「ふむ……。それでは、彼の者を我が眷属へと作り替えてしまいましょうか?」

「いや、本人の意志を無視するのもな……。」

「あの者であればむしろ飛びついて来るかと。常々人の身では時間が足りぬと申しておりましたし、一度本人を呼んで聞いてみるのも宜しいのでは御座いませんか?」

「うーん……。まぁもう少し考えてみよう。この事は本人にはまだ何も言うなよ。」

「承知致しました。」



「それでは、我々はダンジョンへ行ってまいります。二日程で戻りますので、留守を頼みます。」

「「「「「「承知致しました。ご主人様。」」」」」」

出発しかけたカタリナは振り返り訂正(・・)する。

「何度も言いますが、我々の主人は別に居られます。それなのに私如きがその様に呼ばれるなど、不敬に当たります。今後は決してその様に呼ぶ事の無い様に注意してください。」


思いの外強い口調で言われ、面食らってしまった新人達を置いてカタリナ達は出発してしまった。

「だから言ったでしょう?」

呆れた顔をしてそう言ったのは先輩達だ。

彼女達も同じ道を辿って来たらしい……。聞いてはいたのだが、どうしても奴隷商で教育された物は、そう簡単に抜けてくれないのだ。


「それでは、各々与えられた仕事を熟しましょう。お優しいカタリナ様方に甘える様な事があってはいきません。」

「はい。」

先輩奴隷達と新人の六名は厳密には役割が違う。

それでも、皆カタリナ達に買われた奴隷と言う事は変わらない。教育自体は全員で受けるが、戦闘訓練を受けているのは新人達だけだ。

だが、こうしてカタリナ達がダンジョンへ出掛けると自主訓練に頼る事になる。午前中は全員で奴隷としての役割を熟し、午後からは自主訓練を行う者達とは別れて行動する。


問題は午前中の買い出しに行った3人に起こった。

ありきたりだが、酒場の近くを通った際に冒険者の酔客二人に絡まれたのだ。

訓練を受けている者一名が、他の二名を庇い騒ぎに気付いた警備隊が駆け付けるまで、ひたすらに相手の暴力を躱しいなし続けて怪我もせず、そして怪我もさせずと言う事件があった。

シャドウデーモンの報告を受けたカタリナ達は問題無しと判断して、そのままダンジョンへと向かった。


そう、特に町では大した問題は無かった。

酔客二人も酔いが醒めた時点で自分の非を知り、奴隷相手にも関わらず頭を下げたと言う。

酔っている者が相手とは言え、それなりの時間二人からの暴力を全て捌き切った奴隷の子と、自分達の失態を受け入れ、社会的立場の低い者へ頭を下げた冒険者。

冒険者達も数日の奉仕活動と言う罰を受け入れ、事件は沈静化した。


素晴らしい技術を持った奴隷と、自分達の非を受け入れ頭を下げる冒険者。

結果だけ見れば素晴らしい物である。

ある一部の者を除いて…………。






読んで頂いてありがとうございます。

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大変励みになります。


誤字・脱字や矛盾点などありましたら

教えて頂けるとありがたいです。


これからもよろしくお願い致します。

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