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技術



奇妙な一団が国境を越えてリヴィアス王国へと向かっていた。

騎士の様な出で立ちの三名と、見るからに亜人種と分かる十名。合計の十三名が、異常とも思える速度で道なき道を進んでいた。


「まったく……。時間を掛け過ぎだ。期限までにブレオベリス様と合流せねばならぬのに……。待たせる様な事になったらどうするつもりなのだ。」

「仕方があるまい。普通に移動するだけでも皇国は広い。ましてや、技術を確認しながらの行程だったのだ。多少時間が掛かっても仕方あるまい。それに、ブレオベリス様を待たせることを恐れて既存の技術を見逃し、あるじに恥をかかせる事こそを恐れるべきじゃろう。」


「それは分かるがあんなに酒を飲んで分かる物なのか?」

「あの程度、口を湿らせた程度じゃわい。」

「酒場にある酒を全て飲み干しておいてよく言う……。」

「まぁ良い。それで、技術の方は確認できたのだな?」


「うむ。他の国との差はあるじゃろうが、話を聞けば皇国は積極的に新技術を取り入れておると聞く。あとは諸国それぞれの土地独自の物があるくらいじゃろう。リヴィアス王国はかなりの小国と聞く。そちらを調べてから、ダンジョンへ戻るのに遠回りをしてでも、他を調べてから帰るわい。全てはあるじの為に、じゃ。」


言いたい事は多々あるのだが、最後の言葉を言われると何も言えなくなる……。

だが、真理でもある。

あるじの為に。ただそれだけに我々は存在している。

ダンジョンに存在している者は全てがその認識だ。


だが、今は遅れている旅程の方が気になって仕方がない。

新参の立場で、最古参の一人であり侵攻の責任者でもある、ブレオベリスを待ちぼうけさせるのは中々に心苦しい物がある。

そして、ふてぶてしい態度のノーム達が更に輪をかけて心臓に負担を掛けてくるのが憎い。

そんな何とも言えぬ気持ちを抱えながら、ブレオベリスとの待ち合わせ場所へ向かうのだった。


一方のブレオベリスは、と言うと約束の期日に全員が現れなかった事で何かあったのだろうと当たりを付け、配下の影を残して先に王都バアルへと向かっていた。

初めから期日通りに到着するとは考えていなかったからだ。

ドワーフ達の酒好き同様に、ノーム達もまた同じ様に酒を愛し酒に愛されている。


それらを切り離す事は出来ぬ為、前もって王女達への引き合わせは、こちらの主導の元で十日以上余裕を持たせて伝えてある。

万が一(・・・)時間通りに来た場合の為に来たに過ぎない。


「ふぅ……。」

ため息を一つ吐き、再び闇の中に潜っていく。

「二十日以上の猶予を持たせた方が良かっただろうか……。」



「さて……ノーム達に技術の確認をしてもらっている間に、俺は俺で準備をしておこうか。」

とは、言った物の異世界転移・内政チート物で鉄板の手押しポンプか何かだったらやはり掴みとしては十分と言った所だろうか。

流石に最初から製鉄・蒸気機関は行きすぎだろう。

地球でも高名な人の言葉にある。

『十分に発展した科学技術は魔法と見分けがつかない』


この世界に置き換えてみれば、新たな魔法体系の確立と同じ位の難易度だと言う事だ。

さすがに最初からそれが受け入れられると思う程に傲慢ではない。

地球ですら蒸気機関の理屈を理解していない人が一定数居るのだ。高度な科学技術が発展した世界ですらそうなのだから、この世界では言わずもがな、と言うヤツだろう。


まどろこしいとは自分でも思うが、仕方がない。こう言う物は、一足飛びにはいかない物だしな。

それに、地球でも数多の既存技術を駆逐した劇薬を初心者に投与しようと言うのだ。

別に、どれだけの人死にが出ようが俺は俺の役目を果たすだけだが、穏便に進める道があるのならそちらを選びたいと思う。


先日はブレオベリスへあんな風に言ったが、人間なんて生き物は自分の都合の良い様に考える物だ。今は良くても、今後もそうだとは限らないしな。

それを防ぐ意味でも、双方へ利益のある形を取りたいと思う。

まぁ俺の方へ利益は要らないんだが、利益と言う目で見える形を見せておいた方が変な恐怖心を与えなくてもいいだろう。


恐ろしい力を持つ得体の知れない者よりも、恐ろしい力を持っているが金に執着するの者の方が与し易いと言う物だ。

恐怖と言う物は人を縛るのに便利な物でもあるけど、過ぎた恐怖は自棄を起こさせる。

中途半端な物だと、舐められる。


それならば、お互いに利益を得られるwin-winの関係を構築した方が、裏切られる心配も少なくなるはずだからな。

何があっても裏切る奴は裏切ると思うが、その場合は新たな相手を見つけるだけだ。


おっと……。

いつの間にか思考がずれてしまっていたな。今は技術の事だ。

ノーム達が戻ってこなければ詳しい話は聞けないが、いくつか取り寄せてみて子供達やリリアに使わせてみるとしよう。見た事が有る者も居るかもしれないしな。

あれと、これに……、こんなもんかな?


それでは十九階層へ持っていくとしようか。





感想・評価などありがとうございます。

とても励みになります。


又、誤字や脱字などありましたら教えて頂けるとありがたいです。

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