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第二話

 そして今は暗い部屋で一人パソコンの前。ブラウザからよくあるつぶやき型SNSのサイトを開き、好きなアニメの新情報を仕入れたりする。

 青春真っ只中の高校一年生の生活とは思えないかもしれない。

 世の中の高校生といえば、部活に励んでいる者は仲間と汗水たらしてキツイ練習をして己を高めたり、部活に入っていない者も友達同士で集まって特に何の意味もない会話を繰り広げて楽しんでいたりするものだろう。

 そのような人たちから見れば潤也のこの生活はとても可哀そうな物に見えるかもしれない。

 しかし、潤也はこの生活に納得している。好きなアニメに囲まれ、ぼけーっと毎日を過ごす。これが潤也にとって何よりも幸せな事なのだ。

 

 「潤也ー! ご飯だよー!」


 SNSを眺めていると下の階から潤也の姉、梨花(りか)の声が聞こえた。我が家は大体夜7時くらいに夕飯を食べる。学校から帰ってきたのは5時くらいだったので、2時間もだらだらとSNSを眺めてしまったようだ。つぶやき型SNSは恐るべき時間泥棒である。


 階段を降りると、テーブルの上には肉じゃがと白米とお味噌汁。今日は両親の帰りが遅いので姉が作ってくれたものだ。

 

 「ほら、冷めちゃうから早く食べちゃって」


 姉に言われ、潤也は急いで席に着く。

 姉は大学一年生で、頭もよくて現役で国立大学に入学している。もちろん潤也の姉なので顔もよく、茶髪にショートカットの髪型がよく似合っている。しかし、オタク趣味はなく、


 「ねぇ、いい加減2年くらい前の変なアニメ消しちゃっていい? レコーダーの容量空けたいんだけど」

 「変なアニメってなんだよ! あれは人類が生み出した最高峰の作品で、あれを消すなんてこの世から炭酸飲料を消し去るくらいどうかしてる!」

 「例えが微妙すぎるわよ…」


 潤也の熱弁に梨花は少々困り顔。潤也にとってアニメを見る時のお供に炭酸飲料は必須なのでこれは上中下で言ったら上の中くらいのレベルの高い例えである。

 そして梨花はため息をこぼしながら、


 「せっかくかっこよくなったんだから、せめてその性格さえ直せば彼女もできるのに…」


 そう、潤也は元々イケメンだったわけではない。イケメンになったのは2年ほど前だった。

 当時、炭酸飲料をがぶがぶ飲みまくっていた彼は今の見た目からは想像もできないほど太っていた。それはもう、まんまると。その頃は少ないながらもまだ友達はいたが、女子たちからは当然避けられていた。

 だが彼の人生はちゅきちゅききゃんでぃーに出会ったことにより一変した。

 正確に言うと、ちゅきちゅききゃんでぃーが放送終了した直後だ。日常系アニメが終わった時のストレスは相当なものであり、初めて日常系アニメを見た潤也にとっては多大なストレッサーだった。

 彼は食欲もなくなり、話しかけられても反応しなくなり、喪失感に追われる毎日に変わる。来期の日常系アニメ、いわゆる難民キャンプに出会うまでに元々100kg近くあった体重は60kgほどまでに落ちたのであった。

 激やせして女子に話しかけられるようになった潤也だったが、彼には2次元しか見えていないのでそんなのどうでもよかった。だから、姉に対する返答もこうだ。


 「嫁なら一つ下の次元にいるから」

FFとポケモンにハマってました

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