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Mission1-2 捜索を開始せよ

今回、結構閲覧注意です。

「一体何処に居るんだよ、西園寺先輩は!」


そう言って、晴輝は一旦足を止める。

広い館の中を、千景と半分ずつで分けて明梨を捜し始めてから約十分が経過したが、明梨は一向に見付からない。それに、千景からも連絡は入っていない。


「……もしかすると」


晴輝はスマホを取り出すと、千景に連絡を取った。

直ぐに確認できるようにと、千景は常にポケットにスマホを入れていた筈なのだが────。


「出ない……?」


意外に薄情なところがある晴輝が他人を心配するのは、相手が相当弱っているときか、若しくは勘が自分に訴え掛けているときだ。

だが、今千景が弱っているとは考えにくい。それが意味することは────。


「桜井君!」


晴輝がもう一度走り出そうとすると、隼人から声が掛かった。


「みんな心配しているぞ。さあ、行こう」


「……?分かりました────」


晴輝はその言葉に違和感を覚えた。

みんな心配している、と言うことは、千景はもう集まっていると言うことなのだろうか。それどころか、明梨までも────?


「宇佐美先輩、ちょっと宜しいですか?部屋の鍵をかけ忘れてしまって……」


「……。あぁ、良いよ。僕は先に行っているから、後でさっきの広間に来てね」


「ありがとうございます」


晴輝は部屋の方へと駆け出す。

隼人は、目の奥を妖しく光らせながら、その後ろ姿を見送った。


一体どういうことなんだ────?

晴輝は歩きながら考える。


(まず、西園寺先輩は実際に姿を見ていないから、もしかしたら向こうに戻っているのかも知れない。だが千景は絶対に広間にはいない。何故なら────)


「千景。そんなに僕が信用できないの?」


「────晴輝か。そう言うことじゃなくてさ。敵を欺くには先ず味方からって、言うしね。だから一応」


つまりこう言うことである。


彼方側は、千景と晴輝を警戒している為、もし二人が二手に分かれたとしたら、一気に此方に攻め込んでくる可能性が高い。

それを逆手にとって、逆に攻めようという作戦だったのだ。

しかし、千景はその作戦で彼方側が大人しく捕まるとは思えなかったのだ。

勿論、晴輝も其れを考えなかった訳ではないのだが、千景と話し合う時間が無かった為、諦めたのだ。


「まあ、終わり良ければ全て良し。結果的に彼方側の人間に予測は付いたわけだから」


「うん。私達は彼方側が一人だけと考えていた。でも其れが、間違っていたら?もし本当は────」


「「私達(僕達)以外の(・・・・・・・・)全員が、敵だったとし(・・・・・・・・・・)たら(・・)」」


二人は顔を見合わせ、頷く。そして、一気にドアを蹴り飛ばした。


「なぁんだ。気付かれていたんだね……。まあ良いけれど。僕達の計画に狂いは無い。だが、邪魔が入るのは困るんだ。其れが何を意味するか、君達なら、分かるよね?」


「邪魔する者には死を……ってことか。でも、私達は生きて帰るから」


千景はそう言って、晴輝と一瞬だけ目を合わせる。

しかし、彼方側でそれに気付く者は居ない。


「さあ、僕達のために死んでくれ」


隼人は微笑を浮かべながら、此方側に手を伸ばしてくる。


「この状態なら、正当防衛が認められる。まあ、誰かが証言してくれるって言う前提が有るけど」


千景はその手を軽やかに交わし、逆に隼人を此方へと引き寄せた。

普段の隼人であれば、直ぐに対処できたのかも知れないが、この状況の中で落ち着いていられる筈も無く、バランスを崩してしまう。


「悲しいです。────尊敬していたのに」


千景はそう言って、隼人の首元に手刀を打つ。

隼人はその場に、膝から崩れ落ちた。


「つまらない……。殺し方の精度が低いんだよ」


千景は見る者を凍り付かせるかのような冷たい目で隼人を見下ろす。


晴輝は、予め用意しておいたカッターナイフで、同じ学年の生徒の指を切り落としていた。

晴輝は、笑顔だった。

優しげな微笑を浮かべ、その感触をゆっくりと、全身で確かめるかのように指を弄ぶ。


「指が無くなるって、どんな感じなのかな?もし良かったら、感想を教えて欲しいな……。今後の参考にするよ」


「晴輝、それじゃあ出血多量で死んでしまうよ……。ダメでしょう?」


千景は、晴輝の手を掴むと、生徒に向かってにっこりと微笑む。

普段であれば、只美しいだけなのであろうが、状況が状況である。

それは、恐ろしさのみを感じさせるような笑みだった。


「ごめんごめん。僕は殺すことに興味は無いからね。相手が苦しめば苦しむほど、嬉しいんだよ。其処が、千景との価値観の違いかな」


「そりゃあ私だって、出来ることなら瀕死の状態まで追い込んでから殺したいよ。どうせ殺すのなら、変わらないからね」


二人は目を合わせ、笑い合う。


「此処でこの人達を殺すのも良いんだけど……」


と晴輝。


「今私達が遣るべきなのは……」


とそれに続けた千景。


「「脱出」」


この逃げ場の無い館から脱出しないことには、何も始まらない。

それに二人は分かっている。

これでこのミッションは終わりでは無いということ、そして、この場にはある二人の姿が無いということに。

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