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Mission Start

遅れてスミマセン!

強い風が吹き、その風は彼女等の不安を煽るかのように音を鳴らした。しかし、目の前にそびえ立つ洋館は、そんな不安を嘲笑うかのような威圧を与えている。


「私達に逃げ道は無い。さあ、始めましょう」


その汐里の声と瞳には強い意思が宿っており、周囲の人間に勇気を与えた。

全ての事の始まりは、二時間前に遡る。


◇◇◇


「殺し合いって……どういう意味ですか?説明して下さい!」


流石に、汐里も動揺を隠せない。後輩を心配させてはいけないという思いから、取り乱しながらも、必死に平静を装っているのだ。


「単純な話です。去年まで行っていたサバイバルは、全員で協力してミッションを遂行するものでした。しかし、同じことばかりやっているのもどうか、と思い、相談した結果、皆さん同士が殺し合いを行うことになったのです。取り敢えず、ルールが書かれた紙をお配りします」


サバイバル

実施日 4月7日~

ルール グループごとに殺し合いを行う。グループのメンバー全員が死んだら、そのグループは負けとなる。最終的に生き残った人が居るグループの勝ち。

※尚、グループ分けはクラスごととする。


必要最低限の情報だけが印刷された紙が一人一枚配られ、生徒達はそれを読み始める。

驚いたことその1。実施日は、今日から(・・)だということ。

驚いたことその2。全員が生き残ることは、不可能だということ。


「さあ、早速移動しましょう。一分一秒の時間も惜しいですからね」


◇◇◇


「私の仕事はここまでです。後は、貴方達で考えて行動して下さい。それでは」


そう。西村は、ただの案内役に過ぎないため、生徒達を洋館へと送り届けたら仕事はそこで終了なのだ。

ここから先は、生徒が死のうが、病気になろうが、怪我をしようが、動けなくなろうが関係ない。それが、花の木学園の本当の(・・・)姿である。

西村は、生徒達を乗せてきた車の運転席へ乗り込み、無情に走り去っていった。残された生徒達には、もう洋館に入ることしか出来ない。

周囲に人が住んでいる様子は無く、直ぐ近くには深い森がある。民家の一つや二つがあればまだましなのであろうが、それも見つけることは出来なかった。


「……扉、開けるよ」


生徒会長である3年B組の宇佐美隼人が、責任を持って恐る恐る扉を開いた。

ギイイイィィィという不快な音がして、思わず皆顔をしかめる。

洋館の内部は、外見よりは不気味さが無くなっていた。

電気は通っているようで灯りはついている。

一人一部屋、自分の部屋も設定されていて、食事も時間になると食堂に出て来る仕組みになっている。

一見、ただの豪華な家にしか感じないのだが、此処は殺し合いの会場となる、れっきとしたステージだ。

隼人は暫く歩いて行き、大広間へと皆を集めた。


「取り敢えず、自分の部屋の場所や内装、もしあるならば仕掛けを確認したら、もう一度この広間に集まろう」


いいね?と隼人が問い掛ける。流石は生徒会長で、緊急事態に皆をまとめる能力に優れている。


「でも、自分の部屋の場所なんて、分からないわよ?書いてあった?」


そう隼人に問うたのは、3年A組の美神華蓮だ。彼女の意見は尤もで、誰もそんなものを見た人はいない。


「これ、さっき渡された紙何だけどね……」


隼人が取り出した紙には、確かに部屋の案内や、洋館内でのルール等が書かれている。

しかし、その他の3年生を見ても、その紙を持っている者は居ない。他に持っている者と言えば……。


「簡単な炙り出しですよ。ね、晴輝?それに宇佐美先輩?」


千景と晴輝の二人である。


「聞いたことありませんか?ミカン汁の炙り出し。ミカン汁で書かれた文字は、普通にしていても見えません。裏から炎で炙ることによって、文字が浮き出てくるんですよ」


そう言って千晴が鞄から取り出したのは、携帯用ライター。隣の1年生から紙をひったくった千景は、裏から炎で炙り始める。

すると表れたのは、洋館の地図だ。それぞれの部屋の名前、使う人の名前等が書かれている。


「これを見つけた千景と晴輝には、本気で驚いたよ……。1年生を差別するわけではないけれど、1年生なのに凄いよね」


隼人のその言葉は本心なのだろう。話している様子から見るに、自分も千景と晴輝に言われて気が付いたようだ。


「へぇ……。この子達二人が……」


すると、3年C組の神楽坂麗亜(カグラザカレイア)は、品定めするかのように二人を見た。しかしそこは、流石鉄仮面スキル持ちの二人。

一ミリたりとも表情を変えることはなく、逆に麗亜を意思の強い目で見返した。

面白い子達ね、と笑った彼女は、さっさと鍵置き場から自分の部屋の鍵を取り、部屋に続く階段を上っていく。


「僕達も行こう、千景。それと……」


「分かってるよ、晴輝。神楽坂麗亜には気を付けろって、言いたいんでしょう?」


意味ありげな会話をしてから、1年A組の二人はその場から姿を消したのだった。

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