幕間 祭騒ぎ
王都フォーガン中央通り。
様々な屋台が立ち上り、色々な鼻孔をくすぐる香りが漂うこの場所に、美しい銀髪を持つどこか妖しくも艶めかしい雰囲気を持つ女性と、まるで日本人形のように前髪を切り揃えた長い漆黒の髪の少女は居た。
「うふふっ、楽しいですね、お姉様♪」
少女にとって、これだけ多くの物と人間に溢れた場所は、物珍しく、面白いもので満ちていた。
だがそれ以上に銀髪の女性が傍に居るというだけで、少女は浮かれていた。
「あまりはしゃぎ過ぎて、この間のように逸れてしまってはダメよ?」
「は、はい!今日は大丈夫ですからっ!!」
そう言うと黒髪の少女は銀髪女性の腕を、絶対に離すまいとギュッと力強く抱き締める。
「で、でも、そのおかげでお姉様が探しているらしい人物を見つけられたんですよ」
「そうだったわね。その点は褒めてあげるわ」
彼女のこれまでの経験から黒髪の少女のような異世界人は、どういう理由か、互いに引かれ合う事が分かっていた。
それを運命と呼ぶのかは分からないが、このような大勢の人間が居る場所で少女を置き去りにすれば、もしかしたら同じ異世界人と出会うのではないかと期待して、わざと逸れたのだ。
そしてその結果、異世界人と思われる少年と出会う事になった。
少女の方も直感的に彼がこの世界の人間では無いという事を理解したらしい。
「…これで駒は2つ」
駒は揃った。
もう間も無く、彼女が長年夢見てきた事が成就するだろう。
その為の準備も進めているし、今回の祭もその実験の1つだった。
「さぁ、そろそろ本当の祭が始まるわ。もう充分楽しんだでしょ?巻き込まれない内にこの街を出ましょうか」
「はい!」
元気な声を上げ、屈託の無い笑みを浮かべる少女に女性は笑顔を返すと、一瞬にして少女の顔は真っ赤に染まる。
これ程までに信頼され、好意を持たれている事に、女性は心の中でほくそ笑む。
(うふふっ、下準備の1つもそろそろ最終段階のようね。後は実験を繰り返して、成功率を高めるだけね)
銀髪の女性は、その瞬間が訪れる時を想像して妖艶な笑みを浮かべるのであった。
今回は幕間という事で短い為、明日も(今度はちゃんと本編の方を)更新します。




