003 プロローグ 3
女神様がチョロインです!
追記 7月22日 加筆、改稿
「おい、それはどういうことだよ。折角、俺が死ぬ寸前まで命をかけて……で、その後死んでしまったんだっけ。まぁ、兎も角命懸けで戦ったのに、死んでいないって、なんだよっ。俺、完璧に無駄死じゃん!」
うわぁー、ちょー最悪じゃーん……まっ、死んだからもうどうでもいいな。
立ち直りが早いことで定評な俺だからな。死んでしまっても、すぐに立ち直れるみたいだ。
唯一心残りは元パーティーメンバーの奴らとあのバカ王子はどうなったんだろうな。
まぁ、今となってはどーでもいー。と言うか、さっさと消えたい。疲れたぁあ。
「そうね、貴方は無駄死によ」
「ぐっ……何だか、他人に言われると虚しいな」
「因みに邪神は、その後10体に分裂させて封印されているわ。でも、その封印も千年後位しか保たないみたい」
「へぇー、そうなんだー。あー、多分ミレフォナがやったんだなぁ。千年後って良いのか悪いのか分からんな」
「悪いわよ。上からはなぜ倒さなかったのか、って追及とかが面倒くさいし。で、何か聞きたいことある?」
「いや、他の連中はその後どうなったんだ、特にあのバカ王子は?」
「えーっと、全員無事のようね。魔力切れとか、血が足りないとかで、瀕死状態になった子もいるようだけど、助けられたわ。取り敢えず、全員の幸せは確定されているみたい。で、貴方を殺した王子は次の王になる為に、貴方を殺したことすら隠蔽されたわ。そして、邪神を追い詰めたのが王子になっているっぽい……で、他の者もその事を黙認しているみたい」
なるほど……体よく俺は、利用されたのか。死んでいるからか、怒りも湧き上がってこないな。
それにしても、全員幸せに送れるなら、いっか。
「へぇー、そうか。奴らが幸せならいっか。てか、それすらどーでもいいな」
「へぇーって、恨まないの? 殺されたのに、みんなにその事を黙認され、貴方だけ不幸に見舞われて」
「いやいや、なんでお前が怒ってるの? 別にどーでも良いんだよ、死んでしまった後ではな。後の祭りってやつだ」
「でもっ! ………報われないじゃない、折角貴方は必死に頑張ったのに……」
えー、何その反応ー。えっ、何こいつってヒロインなの? で、俺ってば、もうとっくに女神を攻略済みなの?
まぁ、勘違いは禁物だけどな……。違ったら、違ったらで面倒だからな。
「でもな、女神。どーせ後に殺されていだと思うから、早いか遅いかの問題……ただそれだけだ」
「ど、どういうことなの!?」
「いやー、だって俺は邪「神」を追い詰めたんだよ。一応、奴も元「神」……と言うか、進行形で「神」だったんだろ。って事は、俺はお前達を追い詰めること程の力を持っていると言うことだ……で、そんな奴を「神」という奴等は残しておく筈ないだろ? それと……まぁ、こっちの方はいっか」
「……っ、わ、私はそんな事はしないわ!」
だから、何こいつの反応ー。俺に嫌われたくないとかそんな感じなのか?
でも、俺には心に決めた―――人もいないか。まぁ、どっち道どーでもいいが。
―――あっ、良い妙案を思いついたっ!!!!!!! ―――上手くいけば、俺の夢が叶うぞ!
よし、こいつを上手くちょろまかして―――よしっ、この作戦でいこう!
「まぁ、お前がしない事は分かってるさ……でも、上の連中は黙ってないだろ」
「……っ。た、確かにそうだけど、私はそんなこと絶対にさせないわ!」
「おい、チョロ……女神。もう死んでるから良いよ。で、俺の考えが正しかったら、良い提案があるんだが」
―――――女神(笑)視点―――――
「で、俺の考えが正しかったら、良い提案があるんだだが」
いったいなんだ、昴はっ!? 自分が殺されたって言うのに、呑気過ぎるじゃないの!
わ、私一人が憤慨しているが恥ずかしいいじゃない。
―――でも、昴が言った。「神」が昴を殺すっていうのはあながち間違ってはいないのだから、昴には驚愕する。
だって、そんな提案が出た時もあった―――当然、私は反対したわ。だって、あれだけ頑張った昴には幸せになって欲しい。
あー、何でしょうね私は。なんで、昴のことばっか考えているのよ!
ま、まぁ、いいわ。頑張った昴に考えている褒美を言ったら、きっと驚くわ、そして、泣いて喜ぶわ。
それにしても提案とは何だろうか?
「で、何なの? その提案っていうのは?」
「ああ、まず一つ確認していいか。粗方、お前の上は分裂した10体の魔神を完璧に消滅させたいって思ってるだろ?」
「まぁ、確かに上の連中は自分自身の保身の為に完璧に消滅させてくれ、って言ってるわ」
その事で、私に攻めてくるのは責任転嫁も良いとこだわっ。堪ったもんじゃない。それなのに昴を殺すなんて、神の風上にも置けない奴等だわ!
それに! 今回のことは全部私の責任にして、もうやだー。本当に奴等の傲慢には、我慢できないわ。
でも、対策は考えている。奴等にも、昴にも得が出る。ウィンウィンな関係となるものだわ。
「まぁ、だろうと思った。強い権力を持っている奴等ほど自分の為だよな。その点では、人も神も変わらないよな」
「うぐっ……否定できないわね」
「だろ。だから、提案だ。俺が奴等を消滅させるから、千年後に俺を「転生」させろ」
「はっ?」
―――――昴視点―――――
「はっ?」
どうだー、良案だろ。俺の夢が叶って、そっちの願いも叶って、ウィンウィンな関係だ。
いやー、まさかこんなところで夢が叶うとは思わなかったなー。流石、俺。思いつきだけは良いな。
てか、何でこいつは何時までも唖然してるんだ?
バグってるのか? いや、まさかこの世界がゲームでもあるまいし。
「おーい。何、バグってるんだよ。こっちに戻ってこ~い」
「………はっ、私はいったい何をしていたのだっけ。あっ、そうだ思い出した。で、確認のために、もう一度、言ってくれないかしら」
「ちゃんと、聞いてなかったのかよ。だから、邪神全ては俺が消滅させるから、千年後に俺を「転生」させろ。良い案だろ。てか、命令だ。俺を「転生」させろ。あっ、当然俺の指定する条件でな」
「………はっ、またバグってるところだった……って、何よ貴方! 何で、私の考えを見透して……」
「見透す? ……あっ、まさか、お前も俺を「転生」させる事を考えていたのか。いやー、お前が物分りである良い女神で良かった、良かった」
「べ、別に良い女神ってお世辞を言っても何も出ないんだからね!」
えっ、何こいつやっぱりチョロインなの?
で、何気に何処ぞのラブコメの攻略対象みたいな台詞を吐くんだよ。実際年齢、BBAの癖にな。
誰得だよ! うわぉ、何か知らんけど睨んできた。こわっ。
心でも読んでるのか? だったら、プライバシーの侵害だな。訴えてやる! きぃ~~。
ま、どうでも良いか。
「で、どうなんだ。俺を「転生」させてくれるのか?」
「え……あ、うん。上の方には。もう上手く言いくるめてあるから、ぶっちゃけあなたの意見なんて無視して「転生」させるつもりだったわ……まぁ、貴方だったら、有無を言わずに承諾すると思ってたし。まぁ、私って良い女神だし」
「あー、はいはい。良い女神、良い女神(棒読み)」
「何よ、もうっ……で、何か要望はあるかしら。この際、条件は何だって聞くわ」
何だってか……気前が良いな。まぁ、確かに「転生」したら、どうしようかでいろいろと考えてきたんだけどな。
でもな、異世界で「召喚」されて、思い直して。考え直すことも何件かあって……どうでも良いな、って思ったことがあったしな。
「まぁ、取り敢えず二つの条件だけ、叶えてくれれば良いや」
「えっ、二つだけで良いの?」
「嗚呼、そうだ。後はお前の裁量に任せる。頼んだぞ」
「ふんっ、期待していなさい。で、何かしら、その二つって」
「まず一つ目は俺の固有魔法『変換魔法』だけは俺に残しておいてくれ。熟練度は初めからで良い。てか、初めからにしろよな。それともう一つ、俺が勇者だったって記憶はお前が持っておいてくれ」
「えっ、どういうことなの?」
「取り敢えず、頼む。時期が来たら渡してくれても構わない。まぁ、理由はそっちの方が育成てがいがあるんだよ」
「むぅー、分かったわ。じゃあ、取り敢えず異世界に飛ばされるところから記憶を改竄するわ。それで、その後千年後に転生で良い?」
「ああ、ありがとな。それじゃあ、千年後にまた会おうぜ。今度は出来るだけ、容姿の良い男にしてくれよ」
「べ、別にその姿でも充分、カッコいいわよ」
「うん? 何か言ったか? お前の声が小さくて聞き取れなかった」
「ふんっ、別に良いわよっ。じゃあ、またね」
「ああ、また会おう」
本当はこいつがヒロインじゃないのか? 反応の全てがヒロインだぞ。まぁ、どうでも良いか。じゃあ、行くとするか。それにしても、またあの邪神を倒さなくてはならないのか……面倒くさいな。
まっ、それは後回しっと。取り敢えず、楽しむか。それと一応、感謝しておいてやるか。
「……俺、そんなにお前の事は嫌いじゃないからな。それに、綺麗だと思うぞ、女神」
「~~~~っ」
俺がそんな気障な台詞に、顔を真っ赤にする様は、正しくヒロインのする反応だった。
はぁー、と思いつつ、俺の意識は再び消えるのだった。
この女神ってチョロイン過ぎるだろ、と思った方は何かメッセージを下さい。
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次回は明日に投稿します。