002 プロローグ 2
会話多めです。
追記 7月22日加筆、改稿
意識がぷっつんした後、ふと目を開くと、見覚えのある風景が視界に映った。
何にもない、真っ白な空間だ。その真っ白さは、何者も受け入れる無垢を示しているかのようだった。
えーっと、ここって、死後の世界だったけ? いや、だったら見覚えなんてないだろう。死んだことなんてこれっきりだし。確か―――えーっと、何だっけ?
俺はそんな事で頭を悩まされていると、背後から声が聞こえた。
ふと、反射で攻撃を仕掛けようとしたが、声に敵対する意思が無さそうだし、もう死んでいるからどーでもいいな、って思って止めておいた。
「ようこそ、勇者様。お久しぶりですね」
「はっ? だれ……だったけ?」
「私ですよ、私」
「私私詐欺? いや、それを言うならオレオレ詐欺か」
「えっ、本当に私を忘れているのですか?」
「……えーっと、あーっと……あー、女神(笑)か」
「やっと、思い出してくれましたか……と言うか、最近も会ったでしょう」
「そうだな、女神(笑)」
「それと、何でしょうか。さっきから、女神の後になんか不愉快な音が入りませんでしたか?」
うわぁー。そんな無粋なところを突っ込んで来るんだ。そこは普通、スルーでしょうに。
空気読めないなぁ。流石、女神(笑)クオリティー。
何時ぶりだろうか……それにしても、いつも通り、ピカピカしている服装だよなぁ。
「あー。一応、神なんだったけ。だから、ピカピカしてるんだ」
「一応って何なんですかっ! 前から思っていたんですけどね……」
「あー、悪い。長くなるならその話、パスで。自分の短所・長所くらい理解しているつもりだ。それと何だ、その口調? 似合わ無いぞ。いつも通り、気楽に行こうぜ」
女神(笑)はぐぬぬといった顔……と言うか、口に出している。まぁ、何気に顔は綺麗なんだよな。性格はキツいけどなぁ。
それにしても、またここに来たのか、俺は。
えーっと、確か本格的に邪神攻略を始めた時ぐらいから、交流を断っていたから……約1年ぐらいになるのか。
あっ、ここで俺について軽く自己紹介といこう。
俺の名前は、柊 昴。どこにでーもいる男子高校生だ。学力、普通。運動神経、普通。顔面偏差値も普通。
と、普通という言葉が似合いすぎる―――そんなのが、俺だ。ちなみにまだ童貞。
あー、せめて童貞卒業したかったな。邪神を攻略した後に王女とよろしくするつもりだったのに……
orz。
因みに年齢=彼女いない歴、とまぁ残念な奴だと、自分の事を認識している。
まぁ、だからなのか。俺は普通じゃない、もっとハイスペックな人間へと生まれ変わりたかった。
唯一、普通じゃないのがそんな夢だった。
しかし、そんな俺の目の前に起きたことは異世界「召喚」だった。何で、俺かって? 偶然にも俺が召喚される空間がヒットしただけだ。
そうして、俺は普通に異世界召喚されて、普通の勇者となった。
ラノベでよく見られる、よくいる普通のチート持ちの勇者だ。因みに今思い出したのだが、俺がいるこの空間はこの女神(笑)が保有している空間の一つで、異世界召喚の時に初めて来た場所で、その後も有効活用した場所だ。
まぁ、こいつとはいろいろとあったが、ここでは省いておこう。
「それに普通って、貴方には似合わないと思うわ。言っておきますけど、貴方のような人がそうぽんぽんと出てきたら、堪ったもんじゃないわ」
そう言ってもなぁ。自分はただチートを上手く使って、凡人なりに努力しただけなんだけどなぁ。
凡人故に人以上の努力をするのは当たり前だしな。
まぁ、この世界ではレベルという数値があるのは、見易くて良かったな。
「それでもだ。俺は凡人だよ。凡人なりに普通に生きただけだ」
「そう……じゃあ、貴方の言う「普通じゃない」って一体何なのよ?」
うーん、そう言われてもな。
まぁ、確かに俺がした経験は、他人から見たら普通じゃないか。普通、異世界なんかに行けるわけないんだよなぁ。
でもなぁ、客観的な論点では、確かに俺は異常だ。しかし、主観的な論点だと、そう思わないんだよなぁ。
「俺にとっての「普通じゃない」か………何なんだろうな?」
「へ? どういうことよ」
「言葉の通りだよ。自分でも「普通」と「普通じゃない」の区別なんて分からないんだよ。俺は単に平凡が嫌いってだけでな……ってか、さっきまでの口調とは大幅に変わっているぞ……女神様」
「別に良いわ、そんなの。やっぱり何で私が、貴方如きに畏まった口調なんかしなきゃいけないのよ……それと貴方に女神様って言われても皮肉にしか聞こえないわ」
「そりゃあ、酷い言い草だな。まぁ、どーでもいいや……で、俺ってやっぱり死んだの? それで、これからどうなんだ? やっぱり、消えるのか?」
夢叶わずし「死」か―――まぁ、異世界召喚だけでも、滅多にできない経験だしな。しょうがない我慢するか。
これにしても、死ぬのか―――いや、消えてしまうんだよな。何だか、考え深いなぁ。
「えっ? 何を言ってるの?」
「はぁ? いやいや、だって俺心臓を一刺しされて死んだだろ?」
「まぁ、確かに死んでいるわね。それにしてもざっくりと一刺し。見てみる?」
「誰が自分の死んだ姿なんか見るか、バカ!」
「バ、バカッて何よ。神様なのよ、私!」
「見るからに服装がイタイJKにしか見えねぇよ」
前から思ってたんだが、神様って普通白い髭とかじゃないのか? そして、本当なら威厳があるはずだ。それにしてもこいつは何だ? 威厳なんて、もうとっくの昔に消えて。服装がすごいだけのエセJKのように見える。性格も相まってな。
あー、それでもこいつ確か。異世界で最も有名で人気な女神様だっけな。
まぁ、女神のこんな姿見たら、信者のひっくり返って、信仰なんて無くなってしまうのではないか?
本当にこの世界は大丈夫なのか?
「他の神もこんなのか? そうだったらこの世界って相当やばいんだな」
「はいぃ~~!? 私よりもあいつらの方がすごいかですって~~!? 人に仕事押し付けるあいつらの方がイカれてるわっ。今回のこともそうだけど、だいたい全て私に押し付けて~~。もういいっ! 神様やめる!」
「あー、地雷だったか。まぁ、お前のことはどーでもいい。早く、話を戻してくれ」
流石に冷たくあしらいすぎたか? まぁ、女神がどう思っていようが、どーもしないんだが。
こいつのことは、仲の良い女友達的にしか、思えないんだよなぁ。
まぁ、その方がやり易くて良いんだが。
「うう~、なんか腑に落ちないわ。まぁ、いいわよ。私が、一番すごいんだから」
「はいはい。女神さん、すごーい(棒読み)」
「もう良いわ! それと、話を戻す前に、初めに言っておくわ。まだ、あの邪神は死んでないわ……と言うか、消滅してないわ」
「はっ? おい待て、それは一体どういう事だ!?」
次回もプロローグです。
一応、自分は受験生なのであまり投稿が出来ません。
感想、意見などなどよろしくお願いします。