012 あらあら、そんなに緊張しなくていいのよ
真に、遅くなってしまってすみません。
前回のあらすじ。
日常です。
追記 8月7日 加筆 改稿
―――――ブレイバー・スェイトレット視点―――――
母様に「“良いところ”に行きましょう」と言われた翌日―――僕はその言葉のとおり、何処かに出かけるようだった。
言われた時、脳天を貫かれたかのようになってしまって、若干テンパってしまった。まぁ、それはしょうがないと思う。何せ母様ぐらいの綺麗な人に言われると、どこか背筋がぞくぞくするんだよなぁ―――うぅ、人妻怖い。
《Q.マスター、頭大丈夫ですか? 良いお医者さんに行くことをオススメしますよ》
辛辣っ。と言うか、大丈夫だよっ。僕の何に心配しているんだよっ―――まぁ、僕が可笑しいことを言っているのは分かるよ。
でも、だってアレだよ。僕はな、前世を含めると計18年間=彼女いない暦なんだよ。
《T.で? そんなことは自慢出来るようなことではないと思いますが。逆に無様ではないですか?》
そうだけどっ。もっと、オブラートに包んでよっ。
まぁ、それだから女性に対して抗体がないの―――まぁ、流石に姉さん達の年齢の子には緊張しないけどさ。シェロちゃんとか辺りは危ないんだよ。
はぁー、困る。
《T.ふむふむ。マスターはお姉さん系の属性に弱いと言うことですね。ま、一般的な男子なら、そういう反応で良いんじゃないですか》
なんでそうなるんだよっ―――と言うか、よくそんなマニアックな言葉を知ってるな。僕がいた世界のサブカルチャーじゃないか、それは。
それをなんで、ノールが知ってるの?
《A.多分、マスターの記憶の中に入ったことがあるんでしょう……それに、マスターの記憶を少々読んでいますので。あんな事やそんな事を知ってますよ。ふっ》
プライバシーのへったくれもないな、おい―――はぁ、何だか初めて外に出る前に酷く疲れるんだが。
と言うか、多分外に出る以上に疲れているんじゃないか? きっとそうだ。
《Q.……そう言えば、マスターって、ずっと引きこもってますよね……マスターって、ニートですか?》
違うわっ。赤ん坊だわっ―――はっ、確かに引きこもりの生活してる。
くそっ、前世では、高校で皆勤賞を取ったぐらい活発に学校に行っていたのにっ。
《A.それは関係ないかと……それとマスター、後ろから姉の反応です》
うん? あっ、リー姉さんの方だな。どうしたのかな?
サンキュー、ノール―――さっ、いつも通りのショタで行きますかっ。
「レイ君、どこ行くの?」
「ん? あー、うん。わかんない」
「そうなの……いってらっしゃい」
「??? う、うん」
《Q.何でしょうね? 意味深的なお人ですね》
さあね? 僕にも時々―――いや、結構な頻度でリー姉さんの考えていることが分からなくなってくるよ。ほんと、リー姉さんはミステリアス系だよなぁ。まっ、逆にアル姉さんは活発すぎて、疲れるんだよなぁ。
あの二人って、妙にバランスが取れているなぁ―――でも、きっと将来は母様に似て美人さんになるんだろうな。
―――――マリブアニー・スェイトレット視点―――――
今日は、初めてレイ君を家から出すことにしたわ。
別にレイ君の身体には異常とかは無いのよ。でも、お外はいろいろな危険があるので心配なのよ―――しかし、レイ君の頼みであればしょうがないかしら。
「はーい、レイ君~。おはよ~」
「かーたま、おはよ~」
きゃ~~~、やっぱり娘も可愛いけど、息子はもっと可愛いわ~~~。
―――ふぅー、いけない。レイ君が可愛すぎて、意識が飛びかけてたわ。
あらあら、お顔を真っ赤にして、可愛いわね、レイ君。
私はレイ君を抱き寄せて、頬擦りなどをして、レイ君を堪能して一旦落ち着かせた。
やはり、昨晩きっちりとお洋服を決めておいて良かったわ。そのお陰で、余計に時間を掛けずに済んだわ。何より、時間をかけすげてしまうと、彼女に何を言われるのだか―――想像してみても、クドクド言われる未来しか見えないわね。
今のレイ君の服装は、紺色を重視したベストを着せてある。本当は、もう少しかわいらしいお洋服を着せたかったのだが、レイ君が頑なに拒否するので、これになった。まぁ、カッコいい服の方も似合っているので、良いわ。
そうして私は、レイ君を連れて彼女の所へと向かうのだった。
―――――ブレイバー・スウェイトレット視点―――――
―――僕は、メイドちゃんズに服を(已む無く、そう已む無く)着替えさせてもらった。僕の柔肌をいろいろと堪能されてしまって、最悪お婿に行けない状態にされてしまうまで、堪能されてしまった。
そして、暫くして母様がやってきた。その豊満なお胸さんは服の上からもご立派に強調している誰の目にも見えてわかった。
シェロちゃんが自分の胸に目をやってみるが、残念かな―――少ししか盛り上がってない。でも、僕的にはお手頃サイズでいいと思うよっ。
まぁ、結論何を言いたいのか。少し―――いや、若干目の遣りように困る。
断じて、お胸さんに目が行ってしまうのは、僕が悪いわけではないと思う―――と言うか、そのスタイルで三児の母って―――父親の嫁にしては勿体無い気がして、許せないな。
嫉妬心がメラメラと湧き上がり、一種の殺意が芽吹くが、頑張って抑えよう。
まぁ、そんなことは兎も角―――僕としては、これが初めてのお外デビューということとなる。まぁ、異世界の地に立つのは初めてなので、若干緊張しなくもない。
しかし、この感情を表に出すと母様に心配されてしまうだろう。それだけは阻止しなくては。
《T.マスターは小心者ですもんね。そんなことでは、一生ボッチのままですよ》
喧しいわっ!
べ、別に友達がいなくても、母様とかお姉ちゃんとか、メイドちゃんズがいるもんっ。
「あらあら~。レイ君緊張しているのかしら? お外は初めてだものね~、大丈夫?」
「だ、だいじょうぶだよ、かーたま」
「うふふ。レイ君は、強い子だものね」
「はいっ!」
《T.……直接会ってなくても、この女の母性、すごいですね。女性に対しても、不快にさせない……ほんと、すごいですね》
だろ。同姓に対しても、拝めたくなるほどのお胸さん―――そこが母様の素晴らしいところの一つなんだよ。
まぁ、それ以外にもいろいろとすごいんだよ。それであって、強いんだよ―――綺麗で強いって、最強じゃね?
《A.はいはい、マザコン乙ですね》
しかし、やっぱり異世界だなぁ―――いろいろな人種がいるんだな。それこそ、異世界だ。
ふぃ~、良かった。この国は、他の種族を差別していないんだな。うんうん、それで良い。奴隷とかはあんまり好まないからね。
えーっと、メイドちゃんズの二人は、犬と猫の獣人だとして―――あっ、狐とか、狸もいる。
それに、魔族と思われる人たちもいるな―――んっ? なんで、彼らを魔族だと判別できたんだ?
―――まぁ、いいや。
取りあえず、母様に逸れないようにしなくてはな――。
―――はい、逸れてしまいました。
うぅ。すみません、物珍しい物ばっかりだったのだから。ついつい、そちらへと目が、足が行って、結局逸れてしまう結果になってしまった。
や、やばい。母様に迷惑を掛けてしまった。
《T.はいはい。フラグ回収、お疲れ様です》
酷っ―――まぁ、言った僕も、「あっこれ、フラグじゃないかなぁ」って、思っていたけどもさ。
さぁ、どうしようか―――と言うか、1歳児で何が出来るんだよ。
はぁ、不安になってきた。誰だよ、こんな路地裏まで行くのは。
《A.それは、マスターがいろいろな物を物珍しそうに見ていて、ウロウロしているからではありませんか?》
はいはい、僕が悪いですよ。
取りあえず、「探索」でも使うか―――??? どうやって使うんだ? と言うか、なんで知っているんだ?
―――まぁ、僕の経験からして、こういうことは放っておくしかないな。悩んでも、頭が痛くなるだけだし。
《T.賢明な判断です、マスター。一応、私が使い方は分かりますよ―――あっ、でもマスターは魔力の使い方が分からないのですよね。しょうがないので、私が使います》
うん、ありがとう―――あ? ちょい待て。
今思ったんだけど、僕が使うのと、ノールが使うのには、何が違うの? 結局僕が使っていることにならないの?
だって、ノールって、僕の中にいるわけなんだし。
《A.ええ、まぁ、そうですね。簡単に言いますと、私がマスターの魔力を勝手に使用させてもらっているわけで、私は私が魔力を使うのは出来ますけど、マスターが魔力を使う方法は知らない訳で―――取り敢えず、見つけましたよ。マスターから見て、東北の方向、30mくらいです》
んじゃあ、ナビゲーション頼むよ。
だんだん歩いていくと、どんどん路地裏に行っているのだが、僕はしっかりとノールのナビゲーションを頼りながら、歩いているのだが―――。
《A.はい。私もしっかりとした地図をインプットしているわけでないですから、もっと道に迷うのは、当然でしたね……はぁー、マスターが壁を貫いて行ったら、すぐでしたのに》
いや、可笑しいだろっ。と言うか、軽っ。もっと、悲壮感を出してよっ。
えっ? これで大丈夫と思っていたのでさえ、フラグなのかよっ。
―――はぁ、こんなことなら、母様に逸れるんじゃなかったなぁ。
《S.すみません、マスター……そして、重ね重ねすみません。面倒事がやってきます》
へっ? それは、一体どういうこと? ―――あっ、察し。
何せ僕の前方には、明らかに優しくはなさそうな大人が立っているのだから。
それは、明らかに面倒事の臭いしかしなかった。
《T.はい。取りあえず、道に迷ったら、変な人に絡まれると覚えておきましょう。マスターはきっと、これからあんな事やそんな事……え? そんな展開はないですか……まぁ、そういう事らしいです。では、次回は早くしてくれるように、頼んでおきますので、あしからず》
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