011《T.どうも始めまして》
やっとの思いで書き終えました。
ふぃ~~、疲れた。
今日は、あまり、進みません。あと、2、3話でこの0歳児編がひとまず終わると思います。
追記 8月5日 加筆 改稿
―――――ブレイバー・スェイトレット視点―――――
「えーっと……なんでこうなっているの?」
《A.それは、マスターが急に高熱を出して倒れたからです》
「……………なんだって? というか、だれ?」
ちょっと待てよ―――僕の記憶が正しいとするなら、僕は今まで2歳の誕生日会でメイドちゃんズと母様の合作の料理を食べていたはずだ。それはそれは、楽しいものだった。
見た目も素晴らしいことに、味も僕のためにと栄養バランスもしっかりと考えられた献立になっていた。
ああ、ケーキ美味しかったなぁ。
まぁ、と言っても家族(父親抜き)とメイドさんでのこじんまりとしたものだったけどね。僕はそれがとても、嬉しかった―――と、同時に前世での家族のことを思い出してしまい、無性に申し訳なくなった。
―――まぁ、そのことは今はおいて置いて欲しい。
それで、誕生日会も終盤に差し掛かった所ぐらいで、僕は急に猛烈な痛みに見舞われてしまった。
脳が直接、打ち付けられるかのような痛みに声すら出なかった。
で、あまりの痛さに僕は倒れてしまった。あれ程の痛みは今まで味わったことが―――うん? あるのか?
《T.……マスターの記憶の中では、初めてですよ》
―――えーっと、僕の思考に入ってきた? どういうことだ? と言うか、この声って一体何なんだぁ?
「うぅ、あたまのなかがおーばーひーとするぅ」
《S.落ち着いてください、マスター。深呼吸すると良いですよ》
「う、うん。すぅ~~~、はぁ~~~。すぅ~~~、はぁ~~~~」
頭ん中の声が出した指示どおりに深~~い深呼吸をしていると、急いで駆け上がってくる階段の音が聞こえてきた。どうやら、僕が目覚めたことに気付いたようだ。
バンッ、と勢い良くドアを開けて部屋に来たのは、メイドのシェロちゃんであった。
キリリとした目をしたクール系で犬耳の可愛らしいメイドさんだ。
「ぼ、坊ちゃまっ、大丈夫ですか!? お体の方は大丈夫ですか?」
「う、うん。だいじょうぶだよ……だから、なきそうなかおをしないで」
「……っ。は、はい……し、しかし、私は坊ちゃまが急に倒れて、とっても心配だったですからね!」
「うん、しんぱいかけてごめんね。ありがとうね……えーっと、シェロお姉ちゃん」
「……っ。ぼ、坊ちゃまぁぁぁ」
クール系? ま、まぁ、僕を心配しすぎて、ちょっと可笑しくなっちゃたんだろう。
うん、きっとそうだ。
それと、この前シェロちゃんにお姉ちゃん呼びを強要されたので、呼んでみたのがいけなかったのかなぁ。現にシェロちゃんは、感極まった表情になって、息を荒くした。
うぅ、貞操の危機を感じる。今にも襲われそうで怖いよぉ。
まぁ、美少女であることには違わないルックスをしているので、ご褒美ですっ。
えーっと、シェロちゃんはニャルちゃんのような元気でドジっ娘で正直な子とは、正反対で静かでお淑やかな子―――なのだが、僕の前だと自制心がなくなり、積極的になって、クールキャラがブレる。ま、まぁ、僕が可愛いのがいけないんだな。
ややショタ好きの性格があるのか、甘やかし方が母様以上にすごい。全身を使って、甘やかしてくる。
将来はきっと、クール系の美人お姉さんになりつつあるので、重度のショタコンか、男をダメにする女性にならないかで心配だ。
数分が経つと、シェロちゃんは自制心を取り戻してくれたようで、顔を赤面した。そうして、僕を再び布団へと横にしてくれた。一応、優しく扱われたと明記しておく。
そして、持ってきた水を使って、僕の頭の上にあった布をを取り替えてくれた。そして、まだ少々熱を持っている僕の額へと置き、僕を寝かしつけてくれるのだった。
ああ、冷たくて気持ち良い。ああ、眠くなってきた―――くっ、このまま寝てはダメだ。
その後、シェロちゃんがいなくなり、一段落して僕は頭の中の声に話しかけた。
「……で、きみ? はだれなの?」
《S.マスター、念じるだけで私と会話が成立しますよ。そちらでお試しください。そのままだと、虚空に話しかけている頭が可笑しい人に見えますよ》
―――酷くない? えーっと、聞こえてる?
《A.はい、聞こえますよ。それでは、念願の質問タイムですね。私の秘密を赤裸々暴露しても良いですよ》
言い方っ。それじゃあ、僕が変なことしてるみたいじゃないかっ―――えーっとじゃあ、兎に角君は誰なの? と言うか、何なの?
《A.簡単に言いますと、私は思念体です……正確に言いますと、とある神様によって創り出された思念体、ノウレッジver.1です》
神様? えーっと、つまり君は転生特典的な感じということ? この認識で良いの?
《A.はい、そのような認識で問題ないですよ。マスターの手なり足となり……まぁ、ないですけど。具体的に言いますと、転生者への生活向上の為のサポートが私の主な務めとなっています……お分かりいただけましたか?》
うん、分かるよ。前世の時にそういう系の創作物も読み漁っていたしね。あと、キャラ濃いね、君。
《T.左様ですか……物分り良すぎじゃないですか? そこは、えー、なんだってー、とか、言って見たら良いんじゃないですか?》
そんな、抑揚のない棒読みで言われても―――えー、まぁ、じゃあ、今度よろしくってことで。
《T.そうですね。今度共々、よろしくお願いします》
うん。じゃあ、今度こそ眠くなっちゃったから、寝る。じゃあ、また後で。
《T.はい。では、お休みなさい》
それから、僕の頭の中にノールが住み着いて? から、三日が経った。
寝込んだ日の翌朝には、家族全員で僕の所に来てくれた。どうやら、思った以上に心配をかけてさせてしまったようだ。
で、その事の発端の謎の痛みは、どうやら僕の頭にノールが入ってきたことが関係しているらしい―――つまり、無理矢理パソコンに大容量のデータを入れたら、バグってショートしたって感じのようだ。
因みに「ノール」という名前は響きが良いので、「knowledge」から取ったものだ。まぁ、単純だが、ノールも気に入っているようなので良しとしよう。
《T.ええ、気に入ってますとも。それが一番マシでしたので……》
あっ、れぇー? 何気にdisられているぅー? ―――まっ、ネーミングセンスが壊滅級ってことは、前に散々言われてきたから、知っているけどね。はぁー、空しい。
《Q.そんなことより、今後の方針はどうしますか、マスター?》
うーん、どうしようかな―――あっ、そう言えばノール。ノールは神様? から、何か聞いていない? 魔王をやっつけろとか、邪神を倒せとか、そんな感じの転生させた目的は。
《A.さぁ? 私は、私が神様によって創り出されたことを知っているだけで、意識を持ち始めたのはマスターの中に入ってから、ですから……》
へぇー、ということは、何もないんだ―――と言うことは自由にやっていいってことかな?
うん。自由って、いいね! 響きが良いよねっ。
《A.まぁ、そうなりますね……まぁ、自粛はするよう心に留めて置いてくださいね》
うん。そこんところはテキトーにな―――あっ、別に僕が何かを起こすつもりなんてないよ。でも、巻き込まれたり、僕の大事な人が傷つけられたりしたらね。多分つい、ね。
《T.「つい」って何ですか、「つい」って……》
まぁ、その時にならなければ分からないよ。で、ノールに質問なんだけど、良い?
《A.ええ、良いですよ。私はマスターのものですので》
えーっとじゃあ、魔力ってどう使うの? 自衛の為にも使えるようになりたいなぁ―――って。
《A.……まぁ、そういう理由なら良いですよ。但し、自粛はきちっとしてくださいね。しっかりしていなければ……分かってますよね?》
うぅ、うん。ノールさん、マジ怖い。きっと、ノールが具現化したら、キリリとした怖い目を持った女上司だよ。
《A.はぁー、全く心外です、マスター……それと、私は魔力の使い方なんて分かりませんよ》
へっ? 今の今まで使い方が分かるような言い方だったんだけど。
《A.ええ、そういう風に私が言っていましたので。私が知っているのは、私が知っている限りのことですので》
―――あー、分かったよ。
《S.何でしたら、マスターの母様に聞けばいいんじゃないですか? 私の知識によりますと、宮廷魔道師候補だったそうですから》
マジかよ。母様パネェー―――と言うか、それを知っていて、なんで魔力の使い方を知らないんだよ。
それから、習慣にしつつある筋トレを済ませて(と言っても、体の酷使はしていないが)眠りにつくのだった。目が覚めると、太陽が空へと昇り始めていた。
因みにこの世界にも時間と言う概念はしっかりあって、時計もあるそうで、地球と似たような感じだった。
と言うか、大体のことが地球に似せられているような気がする。きっと地球から召喚された勇者なんだかが、広めてくれたんだろう。うんうん、そいつのお陰でいろいろと助かる。
一々覚えるのは、面倒だからな。
それと僕の部屋は、生まれた時の場所とは異なり一人部屋に移っている。姉さん達とメイドさん達はペアのようだが、妥当な部屋振りだろう。
流石に年が近く、血が繋がっていても、異性と同じ部屋と言うのは、気が引けるからな。
そして、最近では家の中を歩き回ることが許可されて、動き回っていた。それでこの前、父さんの部屋を覗いてみたんだが、どうやら書斎のようだった。
そこで僕は、そこからいろんな種類の本を掻っ攫っていた。母様の了承は得てる―――じゃなかったら、怖い目に遭うだろうしな。
ちゃんと、武道の指南書やお目当ての魔法の本の収穫があった―――が、魔法は未だに使えてなかった。きっと、本に載ってる紹介の仕方が悪いのだろう。
《T.いいえ、マスターの要領が悪いだけです》
いいや、違うね。あれは、専門用語がありすぎだ。
「って、ことでおかーたま。まほうをおしえて」
「あらあら、それはお父さんの書斎にあった本ね。レイ君はその本が読めるの?」
「はいっ! ひととーりよめたけど、まほうのつかいかたがわからないの」
《T.マスター、気持ち悪いです》
ちょっと、酷くない? ちゃんと、子供をやっているんだよ。母様に不振がられないようにな―――はぁ、ノールさん。前から思っていたけど、もう少し僕に対して優しくしても良いじゃないですか?
《A.これでも、最大の敬意と愛情を持ってますよ、マスター》
―――はぁ、嘘くさい。
「あらあら、レイ君はすごいのね~……えーっと、確かにその本だと、専門用語が多すぎてレイ君にはわからないかしらね~」
「はい! なので、おしえてください!」
―――――マリブニー・スェイトレット視点―――――
息子が急な高熱で倒れてしまった時は、もうダメだと思い意識が消えかけてしまったわ。母親として、失格だわね。でも、私としても、母親のプライドで、私が意識を失っては意味がないわ! と踏ん張り、何とか持ちこたえることが出来たわ。
それに応えてくれたのか、レイ君もしっかりと頑張って生きてくれたようだ。私にはそれがとても嬉しいかったわ~。
それから数日が経ち、完全に元気になると今度はいろいろと動き回るようになったわ。
レイ君は私の言うことをしっかりと聞いて、まだ家の外を出ることをしていないので、代わりに家の中をいろいろと探索しているようだわ。
そしてある時、レイ君はあの人の書斎にある一冊の本を持ってきたの。それは私が以前に気分で買った本だったわ。でも、その本に書いてあることはすでに習得してあるので、本棚に仕舞ったんだわ。
でもその本は、明らかに初心者が読む本ではなく、魔道学者向けの本よね? でも、それをレイ君は読めたと言うのだ。我が子ながら、すごいわ~。
感激した私は、レイ君をぎゅ~、と抱きしめた。
「じゃあ、レイ君。明日お母さんと良いところに行きましょうね~」
「う、うん」
ふとレイ君が、強張ったのはなぜかしら? と思い、明日に期待を寄せる私だったのであったわ~。
《T.今日は、今晩は、皆さん。始めまして、ノールと申します。ここでは、少し補足等なことをしていと思います。今回は私の台詞の初めにあるものについてです
T・・・会話等
A・・・質問に対する答え
S・・・提案
と言う感じです。
では、今日はこの辺りで・・・はい? 最後に次回についてを? 》
《A,ええ、次回の話では、マスターが漸く、外に出るようです。つまり、引きこもりの卒業ですね・・・こんな感じで今日は閉めらせて頂きます》
《S.感想、評価、ブクマ登録、誤字脱字の報告等するといいそうですよ》