009 あうあうあうあー(打倒、父親だー)
遅れてしまって、すみませんっ。
やっと、二人目の男性を登場させます。
12/23 下級雷魔法『雷電』→『ライトニング』に変更しました。
追記 7月31日 加筆 改稿
母様や姉たち―――それにニャルさんとシェロさんの犬猫コンビのメイドさんと顔合わせをした辺りから、幾日が経った。日が進むにつれて、体が動きやすくなってきていた用に感じる。
まぁ、実際にステータスの能力値も上がってきている。
だから、最近ではベットの上でよく動いている―――あっ、何だか卑猥な表現みたいになっちゃた。
まぁ、兎も角この体はすくすくと成長しているのは確定だった。うん、良いことだな。それと、この赤ん坊の体にも流石に慣れてきたしな。
いや~、それにしてもシェロちゃんとニャルちゃんのケモ耳・尻尾を堪能出来て良かったなぁ。モフモフしていて気持ち良かった―――何より、敏感なのか気持ち良さそうな声も出ていて、べりーグットだった。やっぱり、獣人族は耳や尻尾が敏感なんだろうな。
えーっと―――あっ、そう言えば、まだ父親らしき人に会っていないな。
でも、いっか―――野郎なんぞに好き好んで会いたく―――いや、待てよ。あの母様を奥さんにした裏山けしからん人ってどんな人なんだろう。まぁ、僕が認めない奴だったら、許さないぞー。
「あうあうっ、あうあー(打倒、父親だぁぁ)」
「あらあら、レイ君。お腹でも空いたのかな~?」
「……うぅ~、あうあー(……うん、まぁ、お腹すいた)」
僕が納得したのを確認すると、マリさんは自身の豊満な胸を開放した。
うわぁ。やっぱり艶かしいを通り越して、美を感じるな、これ。素晴らしい、ブラボーだ。眼福、眼福っと。
このお胸様に対して、厭らしい気持ちなんて一切湧かなかった。沸いてこようであったら、すぐに消さなくては、だが。
まぁ、兎も角僕は今日もまた、成長する為に栄養を摂取するのだった。
―――――マリブニー・スェイトレット視点―――――
レイ君が生まれてはや、7ヶ月が経ったわ~。レイ君を独り占めできる楽しい日々が終わってしまったけれど、可愛いレイ君をみんなで触れ合えることが何よりだわ~。
そして、みんなもレイ君を可愛いと思ってくれているようだわ。やっぱり、初めて出来た弟と言う存在はとびきり可愛いよね。
それにニャルもシェロも、当然のように可愛がってくれて良かったわ。特にシェロちゃんがものすごく可愛がっていたわね。
しかし、困ったことがあるの。時々、リーちゃんとアルちゃんがレイ君の取り合いで喧嘩になってしまうのよ。それが最近の悩みだわ。それに、その光景が微笑ましいので止めることを忘れてしまうのも、難だわ。
そして、何よりも嬉しいことは今日やっとあの人が帰ってくるの。
何故か、一ヶ月前からあの人は遠征に行ってしまって、レイくんと会える機会が伸びてしまったの。
―――あっ、そうだわ。今日、レイ君を子供部屋から出して、リビングでパーティーを開きましょう。
うん、それだわ。それがいいわ。
私は丁度考え事がまとまって買い物に行く為に台所を横切った。台所に着く寸前にシェロちゃんの怒鳴り声が聞こえた。
あらあら、どうしたのかしらね~。
私は、声が気になって台所を覗くと、どうやらニャルちゃんが皿を割ってしまったようだ。そして、それに対して、シェロちゃんが怒っているようだった。
「あらあら、どうしたの?」
「あっ、奥様。あの、またニャルが皿を割ってしまって……」
「あらあら大丈夫なの、ニャル?」
「うぅ~、ごめんなさいにゃ」
「うふふ、いいのよ~。ニャルが無事でいれば~」
「奥様っ! そうやって、またニャルを甘えないで下さいっ。これで何枚目だと思っているんですかっ。今月に入って、既に7枚目なんですよっ」
「あらあら、そうね……あっ、良いこと思いついたわ。なら、罰として私の買い物に付き合ってもらおうかしら。それで良いかしら、シェロちゃん?」
最後ら辺は尻すぼまりの様になってしまったわ。でも、シェロちゃんが怒ると怖いのよ。だから私はちらっ、ちらっとシェロちゃんの方を見た。
でも、私はシェロちゃんが優しいということを知っている。まぁ、案の定というか、私が思い描いたようにやれやれといった顔をしていた。
う~ん、私ってそこまで甘いかしら?
確かに、自覚がないことはない。けれど、私としては誰かを怒るよりも怒らない方が相手も自分も心を痛めずに済む、と思っている。
甘い考えかもしれないけど、これが私の考え方なのだ。
しかし、だからと言って、シェロちゃんの言いたいことが分からなくもないのよ。それだけは分かって欲しいわ。
「……はぁ~。分かりましたよ、奥様」
「あらあら~。昔と同じように『ママ』で良いのよ」
「そ、それは昔のことですっ。今になって出さないで下さいっ……今の私達は唯の使用人です。奥様と旦那様へのご恩を……」
「うふふ、堅苦しいわよ、シェロちゃん。私達は家族なのよ。前にもそう言ったわ」
「……うっ。は、はい。すみません」
「うふふ、いいのよ~。って、ニャルちゃん? 準備は終わったかしら」
「はいにゃー」
「なっ、ニャル。何時の間に……」
私は気付いていたけど、シェロちゃんは気付いていなかったようだ。
当然、ニャルちゃんは私達が話してる間に準備をしていて、話し終える辺りに準備を終わらせていた。
そうして私達は、シェロちゃんを家に留守番させて、繁華街へと向かうのだった。
―――――???・スェイトレット視点―――――
―――今日はやっと息子に出会える日だ。
この国では、昔からの習慣で子供は生まれてから7ヶ月間までは母親だけで面倒を見る。
その為か、俺は生まれてから息子とは一度も会っていない。くっ、娘の時にも思ったんだが、妻が羨ましい。
ま、まぁ、娘の時に只管耐えた俺はなら7ヵ月間は我慢出来る―――多分。しかし、今は既に生まれてから8ヶ月間ぐらい経っている。それはというものの―――。
「くそっ。あいつ等、俺達のことを目の敵にしやがって……ちっ。はっ、子供の前では汚い言葉は避けなくては」
そう、俺は何故か、遠征に行かなくなってしまったのだ。
絶対に裏で面倒な陰謀があるのだが―――はぁ、疲れた。まぁ、兎も角だ。
「早く家に帰ろう」
―――――ブレイバー・スェイトレット視点―――――
―――いつも目が覚めるとこれまでの出来事が唯の妄想だった、と思ってしまう。
確かに僕は「異世界転生」を夢と言うか、望んでいたのだけれどもそれが現実に起こると思うほど、愉快な頭なんかしていない。と言うか、そんな非現実的なことが起きるとは思っていない。
―――まぁ、今はそんなことはどうでもいい。
「うわ~~~んんん。うわ~~~~ん(降ろせ~~~~。頭が揺れる~~~)」
まず、こいつは誰だ!? 急に僕の睡眠を邪魔しいた挙句、急に抱きかかえたと思ったら、空高く振り回しやがって。
や、止めろっ。赤ん坊の体を揺らすなっ、繊細なんだぞ。うぅ~、脳が揺れる~~~。
の、脳がふ、震えるっ―――くっ、ネタに走ってしまった。
「おぉ、息子だぁ。念願の息子だぁぁ。これで、この家の男女比が(少し)上がるーー」
「うゎぁああわわわわーーーん(止めろーーー。助けて~~~~)」
そんな切なる願い(泣き声)が救世主に届いたのか、階段を駆け上がってくる音がドタドタと聞こえてきた。
あっ、そう言えば、ここって二階なんだな―――んなことはどうーでもいいっ。
そんなことより助けて~~。
「うわ~~~~んん。(助けて~~~)」
「はぁはぁはぁ。ど、どうしたんですかっ、坊ちゃま―――って、旦那様っ!?」
「あっ、シェロちゃん、ただいま。この子って、僕の子だよね? いやー、念願の男の子だぁぁ」
「うわ~ん、うぎゃあああ。(うぷっ、もうダメ)」
「ちょっ、何をしているんですか!? 赤ん坊をそんな風に揺らさないで下さいっ。泣いているじゃありませんか!」
「うっ、確かに……いや~、ごめんごめん。嬉しくて、つい……ね」
「つい、じゃありませんよ、つい、じゃ。ああ、大丈夫ですか、坊ちゃま」
「ひっく、ひっく(うぅ、頭がぁ)」
シェロちゃ~~~んん。変な大人が虐めてくるよぉ~~~。
あぁ、シェロちゃんの体は柔らかいなぁ、いろんな所が―――あっ、別に変な意味はないぞ。
純粋に、そう純粋に心地よいだけだ。
ま、まぁ、兎も角こいつ―――絶対に許さない。赤ん坊の体を何だと思っているんだっ。もっと、丁寧に扱え、丁寧に。
「……あう?(……えっ?)」
―――って、えっ? シェロちゃん。
う、嘘だろ。そんな―――いや、あり得るのか? もしかして、もしかすると―――。
「大丈夫ですか、坊ちゃま」
「あうあうあうあぅぅぅ(こいつが、父親だとぉぉぉ)」
それから、買い物に出かけていた母様とニャルちゃんが帰って来た。そして、僕は子供部屋を抜け出し、待望の一階に連れられていった。その間、ずっとその男を睨んでいた。
―――一階と言っても、まだリビングだけしか来ていないが、連れられて来る間にちらっと、他の部屋が見えた。この家、やっぱり部屋数がそこそこあった。
やっぱ貴族―――いや、「あいつ」があんな感じなのを見ると、騎士ということかな?
まだ僕の怒りは収まらず睨み続けていた―――それに、値踏みをする為でもある。
こいつにマリさんを任せられるかをなっ。
―――一応説明すると、その「あいつ」とは、当然先ほど僕を―――この赤ん坊の僕を苛めていた「父さん」という人物だ。
で、今日は父親が帰って来るらしいことなので、僕が生まれたことを兼ねてのパーティを開いてくれるそうだ。
流石マリさん。何から何までというか、全て完璧だな。
しかし、僕の機嫌はずっと斜めだ。
「なぁ、機嫌を直してくれよ、レイ」
「あうあうっ(くるなっ、イケメン)」
「はぁー。初めに調子に乗りすぎたな」
「あらあら。大丈夫よ、貴方。レイくんもきっと、あなたの良さを分かってくれるわよ~」
「ああ。ありがとな、マリ」
「あうあうあうあうああぅぅぅぅぅ(マリさんから離れろ、このイケメン!!!!)」
「あっ、殴ってくるなよ、レイ」
マリさんと良い雰囲気のそいつに僕は、ペチペチとパンチを食らわせてやった。しかし、悲しいかな―――赤ん坊の身では、何一つダメージが通らなかった。
くっ、何でだよっ―――何でなんだよ、マリさんっ! こんな、こんなイケメンが良いのかよっ。
くそぉぉぉ、イケメンリア充とか、逝ねば良いのに。
どうやらこいつは認めがたいが、僕の父親のようだ。
ざっくりと容姿を説明すると、紺色の髪に(自分は黒よりの紺色)ニッと見せる犬歯が子供のような無邪気さを醸し出し、好青年のように感じられる。しかしまぁ、やんちゃな雰囲気もする。
簡単に言うと、こいつにはモテル要素しかないのだ。
何だよっ! 美人の奥さんがいて、可愛い娘に、可愛いメイドさんが二人って―――主人公のハッピーエンド後かよっ。はぁ、何だか寝取られた気分で癪に障る。
―――はっ。いや、ちょっと待てよ。この父親の息子と言うことは―――それにこの母様だ。
この二人の遺伝子を継いでいれば―――僕も、父親みたいなイケメンになれるのではっ。
「それは、そうと。調子に乗って、レイくんを泣かしちゃダメよ~」
「あ、ああ。気をつける」
そういうと、イケメンリア充。略して、イン充―――じゃなくて、イケ充は僕の頭を叩いてきた。
多分、こいつからしてみては、軽いスキンシップなのだろう。ぽんっ、ぽんっ、と。
まぁ、僕も赤ん坊にやったことはある。
しかし、こいつの手はゴツくて、痛いのだ。剣を握っているからであろう。そしてだ。赤ん坊の頭はまだ柔らかい為余計痛い。頭が凹む思いでいっぱいだ。
「うわぁぁぁぁんん(いたーーーーい)」
「あ~な~た~??」
「い、いや、これは違うんだ。思ったよりも、力加減が難しいようで……」
「あらあら、そうね。なら、力を入れなきゃいいのよ。そして、くらいなさい」
「ひっ、ちょっ、それは……」
「『ライトニング』」
ビリビリビリビリビリビリビリビリビリ
母様は掌から、バチバチっと、している玉を出すと、そいつへとくらわせた。
放たれた電気の玉は見事までに効いていて、よくマンガで見られる「アバババ」を実際に見ることとなった。
ひぇぇ、電気こわっ―――と言うか、旦那に躊躇なく、魔法? を放つなんて、母様パナイわー。
まぁでも、ざまぁwwwとしか、言い様にないし、タフそうだしな。
それにしても、魔法すげぇえええ。
―――と言うか、あれか。あらふふの母様は怒らせると怖いという説は真実だったのか―――。
うん、怒らせないように肝に銘じよう。
それから、つつがなくパーティーは始まったのだった。父―――そいつは、未だ帯電している状態だった。
次回ぐらいから、時間を早く進められるといいなぁ・・・と思います。
今は休み期間なので、投稿は確実に行えるよう精進します。
ということで次回は明日か、明後日には投稿します。
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