008 あうあ、あうあうあーー(冥土じゃないよ、メイドだよ)
やっぱり、異世界転生でのメイドさんは当たり前というか、常識ってレベル。
追記 7月28日 加筆 改稿
姉達がこの部屋に遊びに来るようになってきてから、一ヶ月が経った。
そろそろ座ったり立ったり出来るだろうか―――既に、この世界に誕生してから、8ヶ月が経ってる。
あー、前の世界での赤ん坊の成長ってどんな感じだったけな?
そんなこと思って、体を揺らしたり、寝返りをしたりしていると、知らない人の声が聞こえた。
あれ? 誰だろ。父親かな? ―――いや、違うな。声からして、女性―――もしくは女の子だな。
近所の子―――てか、ここって田舎なのか? それとも、都会なのか? う~ん、どっちなんだろうな。
それと、この家の経済状況―――まぁ、多分良さそうなだな。生まれた時に助産婦さんとかいたみたいだし。それに母様、綺麗だったし―――いや、どういう判断だよ。ああ、調べないといけないことがたくさん出てきたな。
それにしても、誰なんだろう? と、頭ん中をぐるぐる回していると、扉が開いた。
そこには二人の女の子(?)がいた。僕の目線からも丁度見えたそれにまず、驚いた。
そして、興奮した。だって、ちゃんとこの異世界に存在していたからだ。
「あ、あうあー、あうあーあうあうあっ(ネ、ネコ耳とイヌ耳だとっ)」
「あー、私たちに喋ってくれたにゃ」
「あうあー、あう「あう」あうあ!(それに語尾が「にゃ」だと!)」
「はぁ、坊ちゃんが困っているではないですか。うるさいですよ、ニャル」
「うぅー。ごめん、シェロ姉」
「……初めまして、坊ちゃま。この家のメイドを勤めさせて頂いています、シェロといいます。って、坊ちゃまに言っても分かりませんか」
「あうっ!(よろしくっ!)」
「返事してくれた……」
「あうあうあう? (あれ、まずったかな?)」
返事を返したことに驚いた犬の耳を付けたシェロちゃんは僕を抱きかかえると、抱きしめてきた。
僕の目線からも、尻尾がぶんぶんと揺れていた。喜んでくれてるみたいだな。
―――それにしてもこれは、母様と違う柔らかさっ。す、素晴らしい!!
「か、可愛い~~~~。ああ、坊ちゃま。可愛いですよ。ほっぺ、プニプニ~~。それにくりっくりの目も可愛いですし。ああ、もう抱っこするぅううううう」
「あうあうあ・・・あうっ。あう? あうあうあう?(それに駄々甘えキャラとは……素晴らしい。あれ? リール姉さんとキャラ被ってね?)」
「ああ、ずるいにゃ~~。私も抱っこしたいにゃ~~」
「あうあうあうあああ……あうっ、あうあうあうーー(またこの展開か……ふっ、僕は皆のものだから、喧嘩は止めてくれよ)」
それから、いろいろと触られた。もう、らめ~、的な展開になったのだが、需要がないので省かせてもらう。ま、まぁ、赤ん坊の体はプニプニしているから、触り心地が良いのだ。
―――で、抱きかかれて分かったことがある。
ここは都会と言うか、結構大きな都市であるようだ。そして、ここは住宅街のようなのか、家が多かった。
それと、遠くにはロンドンの時計塔みたいなでかい塔があった。
「あー、あーあー(あれって何ー)」
「んっ? どうしたんですか?」
「多分、聖堂を見ているにゃ」
「あうあ?(聖堂?)」
「ほんとなのですか? えぇじゃあ、まぁ。坊ちゃま、聖堂というのは女神・アウティリア様を祭っている場所です……と言うか、赤ん坊にこんなことを言っても分かるわけないでしょ、ニャル」
「あはは、そう言われてみれば、そうにゃ」
聖堂か―――女神と言うことはあのチョロ女神が祭られているのか。まぁ、一番人気の神様だったしな―――うん? チョロ女神って誰だ?
―――――アウリティア視点―――――
私は、無事に昴を千年後に飛ばして、取り敢えずほっと一息していていた。
取り敢えず、私は今後の昴のために出来ることはないのかな―――。
「って、私は何を考えているのよっ。べ、別に私は昴のことはす、好きでもないしっ……はぁ、兎に角、上に報告しないとなぁ」
―――うーん、それにしても大丈夫かな。私、そこまで記憶の封印は得意じゃないんだけどなぁ。と言うか、専門外なんだけどなぁ。
チョロ女神にまた、ドジっ娘という属性が追加されてしまった・・・。
次回、ちょっと特訓します。
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