エピローグ
廃墟だらけの瓦礫の町に俺は立っていた。
いつの間にか目線の高さは元に戻っている。
こうなっては町のどこにいるのかわからないが、さっきいた場所からかなり離れてしまったようだ。
「高畑ー!」
……誰かに呼ばれたか?
「高畑!」
やっぱり、誰かが呼んでいる。
声のする先を見やると、瓦礫を踏み超え、走ってくる影が一つ。
「……巽?」
あの長いポ二ーテールは間違いない。巽心愛だ。
隣の席なんだから毎日顔を合わせてるんだが、何故かすごい久しぶりにあった気がする。
だが、なんか服装が妙だ。
白い着物に緋色の袴、典型的な巫女装束。確か、家が神社だと言っていたが……何故、今着てる?
「高畑、ついに尻尾を出したわね。その正体、はっきりこの目で見たわ!」
手に持つ錫杖をこちらに向け、巽が叫ぶ。
「な、なんだよ正体って?」
「惚けたって無駄よ。さっきなってたじゃないの。妖怪・見越し入道に! その腕の呪印がその証」
俺はがっくりと肩を落とした。
「巽、お前もか……」
「お前もって何がよ?」
「なんでもない、続けてくれ」
「あれは三百年前、うちの先祖が社に封印した、このあたりを荒らしていた妖怪。それが、十年前に封印が解かれて逃げ出した。分家の手も借りて方々を探し回ったけど、結局行方知れずのままだった。それが入学式の日、偶然にもあたしの目の前に現れた。あんたよ。不本意だけどあんたにぶつかった時、体内に妖気が流れているのを感じた。その時にはすでに確信していた、あんたが妖怪をその体に宿していると。それでも、あんたはただの人間。もし悪さをする事が無いのなら、そのままにしておいてもいいんじゃないかと、しばらく観察しておく事にした。それなのに、それなのに、それなのに。あんたのせいで、この町がボロボロのグチャグチャじゃないの!」
「それはザリガニがやった事だ!」
「それだってあんたの仲間なんでしょ! 巽神社直系のあたしの目は誤魔化されないわ!」
錫杖を構え直し、曇りまくった目で俺を睨みつけてくる。
「妖怪・見越し入道、即刻封印してくれる!」
高畑陽平。十五歳。野球部所属。
天上界の勇者の子孫。
地下帝国の魔王の生まれ変わり。
高純度のスーパー宇宙エナジーを内包。
右腕に妖怪・見越し入道の呪印。
これが今の俺のプロフィールだ。
誰か、一個でいいから代わってくれ。




