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第28話 旅行に行くなら北? 南?

 あれから二日がたったが、今のところ誰かに決闘を申し込まれてはいない、できればこれからも決闘などしかけられないでいられれば良いのだが……


 俺はそんなことを考えながら、この後の戦闘訓練の授業のため訓練場へと向かう。


 訓練場に着くと、いつもはみんな練習をしているのだが、今日はみんな集まって何かを話し合っている。


「みんな集まって何の話してるんだ?」

「お、リューヤ来たか。ほら、これだよ」


 そう言ってジンから渡された紙に俺は目を通す。


「実地訓練?」

「そう、そこに書いてある訓練の内容から一つ選んで受けれてな、内容にあっただけの期間学校は休みになるから、早く終わらせれば長期休暇がとれるんだよ」


 書いてある内容を見ると休暇期間が少なくても七日多くて十五日のがある。


「じゃあ、この一番長い十五日休みが取れるのをやるのか?」

「今回はそれじゃなくて、こっちの九日休みのとれるやつにしようかと思ってる」

「なんでだよ十五日のやつのほうが……」


 そう俺が言いかけると呆れたようにクレアが口を挟んでくる。


「バカね、あなたがいるのにそんな任務できる訳ないじゃない」

「ああ、そっか……」


 まあ、実際足手まといにしかならないだろうから仕方ないが。


「とりあえず星無し、あんたは今回はただ荷物運びして、後ろで見てればいいから」

「わかったよ」


 口ではこう言って見せるが、何の役にも立たない自分が少し悔しかった。


 全体的に話がまとまってきたことを確認し、ノアが口を開く。


「出立は明後日の朝五時、それまでに各自準備をしておいてくれ」


 それだけを聞くと各自訓練の準備に入る。


 俺も軽く準備運動をしてから、訓練に臨んだ。


――その日の夜、俺は訓練場で人を待っていた。


 夜の闇の中から聞こえてくる足音に気付きそちらの方を向くと、そこにはよく人物がいた。


「呼び出して悪かったなグレイ」

「別に用事もなかったから問題ないぜ、それで何のようだ?」


 そういいながら、グレイはいつものように微笑んでいる。


「少し特訓を手伝ってほしい」

「何だそんな事なら任せとけ」


 そうグレイは笑顔で答え、俺は内心ほっとした、断られるとは思ってなかったがもし断られたなら明後日までにこの技を完成させることはできないだろう。


「別に同じ班のやつらやミリィに頼んでもよかったんじゃないのか?」

「なんかさ、隠れて特訓ってワクワクするじゃん!」


 ただこれだけの理由で俺はグレイに手伝ってもらうんだが、まあ、きっと共感してくれるだろう。

 

「確かにそれはワクワクするな!」


 ほらなやっぱり。


「それじゃあ、さっそくで悪いが相手してもらうぜ」


 そう言い俺は腰を落とし構える。


「武器はいいのか?」

「あいにく、武器を使ってもこいつは変わらないんでね」


 その一言と同時に俺は駆け出した。


――2日後午前5時


「ねむい……」

「リューヤ様、しっかりしてください」


 そんなことを言われようと眠いもんは眠い。


 結局、おとといの夜から特訓したのだが、上手くいくかどうかは五分五分といったところ、上手くいけばそれなりに効果はあるのだが失敗すると効果は半減どころか魔力の無駄使いに。


 まあ、俺が戦うような事態にならないことを祈りながら俺は歩き出す。


 基本的に移動は徒歩、そうでなければこの前のった車を使うらしいが、この世界でも車を運転するのに免許がいるらしく誰も免許がないということで、しょうがなく歩いての移動である。


 今は街を出て街道を進んでいる、街道といっても軽く整地されている程度で石畳などの敷かれている街中に比べるとだいぶ歩いていて疲れる。


 皆荷物を俺に預けているので、はたから見たらのんきに散歩している集団に見えなくもないだろう。


 俺は伸びをしながら、空を見上げ晴れてよかったなどと考える。


 目的の街に着くには、歩いて半日ほどらしいが、途中で休憩などを挟むので1、2時間ほど長くなる予定だ。


 最近は夏の暑さも和らぎ、過ごしやすい温度になってきたので以前山に登った時に比べれば強化も使える分かなり楽だ。


――歩くこと4時間


 街の外は危険だということもあってか、街を出てから今までにすれ違った人や車の数は数えられるほどしかいない。


「そろそろいったん休憩にして、今日のことについて話し合いたい」


 ノアの呼びかけに反応して俺たちは道の脇の草むらに腰かける。


「まず、今日の目的地に着いた後の行動だが、基本的には被害状況の確認、及び魔物がどれほどのものなのかに関する聞き込みをする」


 これは昨日ジンから聞いた話なのだが、この実地訓練は軍を出すほどでもないがある程度被害が出ている事件を訓練という名目上、学園の生徒にやらせているらしい。つまり被害の方もそれほどでもなく、魔物の強さもそれほどではないことが、事前に保障されているようなものだ。しかし極稀に生徒の手におえないような魔物が出てくることもあるので気を抜くことはできないらしい。


「今入手できている情報では、魔物は名前のない下級の犬型の魔物で、群れで行動する種類らしく、数が増え食料を求めて村を襲った可能性が高い」


 そこまで聞いてリタが手を挙げる。


「でも、群れで行動するならその群れのボスまで下級とは限らないんじゃない?」


 確かにボスが群れのほかの魔物よりも弱いということはないだろう。


「いや、すでにボスらしき魔物の存在も確認されているが村からの報告ではほかの魔物よりも一回り大きい程度だそうだ」

「そっかー、でも、もしかしたらもっと強いのがいるかもしれないから気を付けたほうがいいよね」

「そうだな、そのあたりは事前にリタに調べておいてもらうことにしよう」

「りょーかい」


 そういいながらリタはふざけたように敬礼をする。


「戦闘の際の陣形などの連絡は事前調査をした後に行う、ではあと20分後には出発するからゆっくり休んでいてくれ」


 その後、俺たちは二度の休憩を挟みながら、なんとか暗くなる前に村に着くことができた。


「つかれたー」


 俺はベッドの上に倒れこむ。


「この程度で疲れてたら、魔物なんかと戦えねぇぞ」


 そう言いながらジンが俺の隣のベッドに腰掛ける。


 宿では三人部屋を二部屋予約し男女で分かれ、今はノアが村や宿についての説明を受けに行ったので、今部屋にいるのは俺とジンだけである。


「とりあえず、晩飯食ったら酒場に行って情報収集だな」


 俺はそれを聞いて飛び起きる。


「おお、酒場行くのか」


 ファンタジーな世界の情報の集まる場所と言ったらやっぱり酒場なのだろうか。


 俺は酒場についての想像に胸を躍らせていた。

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