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第14話 風邪で学校休んだ時とかって暇だよね

 俺が目を覚ますと、周りはこの別荘に来てから俺が使っている部屋であった。


 俺が上体を起こした時、部屋の扉が開く。


「ミリィ、できればノックをしてくれるとうれしいかな」

「リューヤ様、お目覚めになられていたのですか、申し訳ありません」


 そういって頭を下げるミリィにたいして、逆に申し訳ないような気がしてくる。


「えっと、そんなに気にしてないから頭上げてくれ」


 俺がそう言うとやっとミリィは頭を上げてくれるが、まだ何か言い足りないといった表情をしている。


 無理に聞き出しても、ろくなことはないから向こうが話す気になるのを待つか。


「とりあえずいくつか聞きたいことがあるけど大丈夫かな?」

「はい、私がお教えできることなら」


 そのあと俺は、ここに誰が運んでくれたのかや、なぜ怪我が治ってるのか、俺はどれぐらい寝ていたのかなどを訪ねた。


 それに対しての答えは、まずここに運んだのはミリィで散歩に行って帰ってこない俺を心配して探していたところ、体中にいくつも小さな傷を作った状態でふらふらと歩いている俺を見つけ駆け寄ったところで俺は気を失ったらしい。


 おそらく、小さな傷などは気づかぬうちに木か何かに引っ掛けてできていたのだろう。


 怪我は肋骨や腕の骨が折れていたそうだが、エリスが直してくれたそうだが、なぜエリスなのかはわからない、とりあえず後で礼を言っておこうと思う。


 俺が気を失っていた期間は約1日ほどだったらしい。


 俺もクマに襲われて、山の中を駆け回ったことを話す。


「そうか、ところで気を失っていた間の看病はミリィが?」

「はい」


 服を着替えているがまさかこれまでミリィがやったのだろうか、できることなら違って欲しいが、怖くて本当のことが聞けない。


 そんなくだらないことを俺が悩んでいる、とミリィが口を開く。


「申し訳ありませんでした」


 そういってミリィが頭を下げる。


 俺は突然のことに戸惑ってしまった。


「え? な、何? なにかしたの?」

「今回のことは私が山の危険度を見誤ったことが原因です」


 その声色からは自身を戒め、後悔しているような悲痛な雰囲気が感じられる。


「ほら、でも俺はこうして生きてるわけだし」

「魔法がつかえないリューヤ様が生きて帰ってこられたのは奇跡です……」


 そう言いながらミリィはうつむく、その様子を見て俺は口を開く


「奇跡でもなんでもいいじゃん」


 そういうとミリィが顔をあげ何かを喋ろうとするのを手の平をミリィの前に突き出して制す。


「今、俺は何の問題もなく生きてるんだから、次から気を付ければいい話だろ?

この話はもう終わりでいいよ」


 我ながら少しお人好しな気もするが、実際謝られたところで俺には何の得もないのだからこれでいいのだろう。


「わかりました、次回からは気を付けます」


 そう言って、部屋を後にしようとするミリィに声をかける


「あ、ちょっと待ってくれ」

「なんでしょうか?」

「いや、腹が減って……」


 腹をさすりながら俺は苦笑いをする


「では、何か軽く食べられるものを持ってきますから、そこで安静にしててください」


 そういってミリィは部屋を後にする、それから数分後扉が開きミリィが来たのかと思いそちらのほうを見ると、そこにはグレイがいた。


「おう、気が付いたって聞いたから、ちょっと顔出しにきたぜ」

「できればノックしてくれるとありがたかったけどな」


 そんないつものやり取りに安心したのか、グレイはベッドの脇に椅子を持ってきて座った。


 それからはクマとどう戦ったのかなどを聞かれ、俺は話を少し大袈裟にしながら話してやった。


「それであんな怪我してたのか」


 怪我のことを言われてふと思い出す。


「そういえば、エリスが怪我を治してくれたって聞いたけど、なんでエリスだったんだ?」

「ああ、エリスの属性は回復だからな、今回のリューヤの怪我は結構ひどかったからなエリスに頼むのが一番だったんだよ」


 なるほど、あいつの属性そんなのだったのか。


 そんな話をしているとミリィがサンドウィッチを持ってきてくれ、俺はそれを軽く平らげた


「そういえば俺、魔力感知できるようになったぞ」

「ほんとか!?」


 グレイは驚きを言葉にし、皿を片付けに部屋を出ようとしていたミリィは振り返りる。


 俺は証明のために火の魔力を手に集めてみせる。


「なるほど、確かに集まっていますね。それでは、次からは同調の練習に移りましょう」

「じゃあ、今すぐ準備するよ」


 そう言ってベッドから出ようとすると、俺はミリィに肩をつかまれベッドに寝させられる。


「今日はやめておきましょう、まだ体力が回復していないでしょうし」


 俺はそれに対して反論をしてみるも、ことごとく断られ結局、その日は訓練を認められずベッドの中で過ごした。


――次の日の朝


 俺はミリィに起こされ朝食をとりに食堂に向かう


 俺はすでにいた3人にあいさつを済ませ席に着き、俺の隣ですでに食事を開始していたエリスに声をかける


「俺の怪我エリスが治してくれたんだろ? ありがとな」


 それに対して一瞬視線をこちらに向けたが、すぐに視線を元に戻す


「気にするな当然のことをしたまでだ」


 相変わらず可愛げのない奴だな、などと思ってみるが世話になったし、それに後が怖いので黙っておこうと思う。


 そのあと食事を終えた俺はミリィとともに庭に出た。


「よし、じゃあ魔力の同調のやり方教えてくれ」

「では、魔力を集めてください」


 俺はうなずき、右手に火の魔力を集める。


「その状態のまま体内の魔力を左手に出してください」


 俺は言われたとおりにし、両手に別々の魔力を持つ。


「次はどうするんだ?」

「その二つの魔力を重ねるようにしてみてください」


 俺は右手と左手の平を近づけて行き魔力を重ねあわせようとするが、なかなか重ならない


「あれ、上手くいかないぞ?」

「もう少し待っていてください」


 言われた通り、待っていると徐々に魔力は合わさり一つになった。


「おお、これが同調か」

「はい、これは自然界に存在する魔力がほかの魔力と波長を合わせようとする性質を利用した方法です」

「でも、今のじゃ時間かかりすぎじゃないか?」


「そうですね、リューヤ様は火の魔力とは相性が良くないみたいです。とりあえず別の属性も試してみましょう」


 すべての属性との同調を終え、俺は最後に同調させていた土属性の魔力を解放し、魔力が分散していく。


「リューヤ様は、水との相性が一番良いみたいですね、風もなかなか早いほうですが、ほかの二つはかなり遅いですね、土のほうがまだ火よりは早かったですが、戦闘中に使うには少し厳しいところがあるかと」


「じゃあ、俺は火と土は戦闘中は使えないってことか?」


 俺の言葉にミリィは首を縦に振る。


「魔力の性質を使わずに波長を変化させれば可能ですが、魔力に慣れていない今のリューヤ様には厳しいですね」

「出来ないものはしょうがないか、それでこれからは何の練習をすればいんだ?」

「今の魔力の同調を片手で行えるようになっていただきます」


 何だそんな事かと思い、俺は早速実践してみようとする。


「そんなの簡単だろ、右手に水の魔力を集めて右手から魔力を……」


 そういって魔力を右手から出そうとした瞬間に水の魔力が拡散していく。


「あれ?」

「今やっていただいてわかっていただけたかと思いますが、魔力を片手に集めながら放出するという全く逆の概念を持った行動をするのでどちらかが疎かになると失敗してしまいます」


 なるほど、じゃあ右手に魔力を出してから水の魔力を集めれば……あれ、水の魔力が集まってこない


「その方法では魔力を集めようとしても魔力が反発しあい集めることができません」

「集めてから魔力を出しても反発するんじゃないのか?」


「反発はしますが集めるのと違い、すでに手中にあるので片手に二つの魔力を保持することが可能です」


 つまり、それしか方法はないってことか。


「では、練習を始めましょう」

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