第11話 本格的に剣と魔法っぽくなってきた
むかしむかし、この世界ができるよりも前の話です。
この世界ができるよりも前の世界では多くの人々が幸せに暮らしていました。しかし、ある日突然現れた悪魔によって人々の幸せは壊されてしまいました。
悪魔は人々の幸せを壊してもまだ満足はせずついに世界を壊してしまいました。
それに怒った神様は悪魔を倒し、新しい世界を作り上げました、それが私たちの住むこの世界です。
「と、まあこんな感じの話なんだが」
「うん、よくありそうな話だな、で今のどこに俺の髪と目の色が嫌われる理由があるんだ?」
今の話は単なる勧善懲悪のストーリーとしか思えない。
「この話に出てくる悪魔なんだが、それが黒い髪と瞳であったっていうのが伝わっていてな、そこから黒い髪や瞳は嫌われる理由になったわけだ」
「それって、本当かもわからないのにみんな信じてるの?」
「信じてる信じて無いは関係なく、ほとんどの人が心の隅で黒い髪と瞳は不幸を持ってくると思ってるな」
なるほど、俺はこの国じゃあ嫌われ者ってわけか……
「今まで、その風潮をただそうとした人はいなかったのか?」
「もともと、黒髪か黒い目の人間なんてめったに生まれない上に、大抵は生まれたらすぐに捨てられたり問題になる前に揉み消されちまうのが多いからな」
被害が少なくてその被害もほとんど表に出てこないのならば、確かに問題となることは少ない。それじゃあ、確かにただそうとする人がいても対処の使用がない。
「なあ、グレイ」
「なんだ?」
「俺って、迷惑じゃないのか?」
一瞬グレイはあっけに取れれた顔をしたが、次の瞬間には大爆笑をし始めた。
「なんだよ、俺はまじめにいってんだぞ!?」
「ああ、悪い悪い、あまりにも馬鹿なこと聞くもんだからつい」
黒い髪や瞳が嫌われているのなら、それを預かったレインさんたちにも迷惑がかかる。そう思ったのが馬鹿な考えなのだろうか?
「迷惑だなんて思ってるわけないだろ、親父はそうゆうの気にしないって。それにそこの、えーっと名前なんて言ったけ?」
「ミリィ・ディアスです」
ミリィのフルネームなんて初めて聞いたな。
「そう、そこのミリィに聞いてみな、たぶん気にしてないと思うぜ」
そういわれて、俺はミリィの方を向き、恐る恐る尋ねてみた。
「気にしてないの?」
「特に気にしたことはありませんし、気にする理由もありません」
その回答を聞いて、俺はなんだか少しうれしくなった。
「まったく、お前が気にしてちゃいみねぇだろ」
「ああそうだな、気にしないことにするよ」
そう言って俺たちは食事を続け、次にどこに行くかという話になった。正直な話、俺はこの街のことなど何も知らないので任せるしかないのだが。
「とりあえず、リューヤもそろそろ戦闘訓練だろ?」
そういえば、以前そんなことをミリィが言っていた気がする。
「はい、魔法学の勉強が終わり次第、戦闘訓練に入るつもりです」
「じゃあ、武器だな、いい店知ってるから次はそこ行こうと思うがいいか?」
今まで平和な国で生きてきただけに、武器という響きに多少の違和感を覚えるが、それよりも気になる事があった。
「でも、俺金ないぞ?」
「いいんだよ、俺が買ってやるんだから」
さすがにそれは悪いだろと思い、断ろうとして口を開く。
「いや、そうゆうわけには…」
「大体、お前ここの支払いもできねぇだろ?」
ああ、確かに何も気にせず食べてたけど、俺って金持ってないんだよな。
「じゃあ……頼む……」
その後、グレイがミリィの分も払うといいだし、ミリィは断ったが結局グレイが支払いをした。
店を出て、俺はグレイについていくと次第に人通りの少ないほうに進んでいく。そして、気が付くと、周りには誰もいなくなり、路地裏に入っていた。
道を間違ってないかと聞いても、グレイは大丈夫というばかりで、全く気にしている様子はない。
「なあ、やっぱりまちがってないか? 周りに店らしい場所なんてないぞ」
「だいじょうぶだって、ほらついたぞ」
そう言って立ち止まったグレイの目の前にあるのは、ぼろい一軒家でとても武器屋には見えない。そんなことはお構いなしに、グレイが店に入っていき、俺もそれに続く。
「おう、店長久しぶり」
「おお、グレイの坊ちゃん久しぶりだねー」
店長と呼ばれた人物は見た目は完全な老人で、髪はすべて白髪になっており眼鏡をかけていた。
その後も、グレイは店長と世間話を続け俺とミリィは完全に蚊帳の外であった。
「ところで、そこの二人は誰だい?」
そういって店長は眼鏡を片手で支えて俺たちを見る。
「ああ、こいつらはおれんとこの居候とその世話係で、リューヤとミリィだ」
それに続くように俺とミリィが挨拶をする。
「ところで今日は何の用だい? まさか友達紹介して、世間話しに来たわけじゃないだろう?」
「ああ、そうだった。こいつの武器を買いに来たんだが、何かいいのないか?」
グレイがそういうと、老人は俺のことをしばらく見定めるように見ていたが、待っておれとだけ言って、部屋の奥のほうに行ってしまった。
しばらくして老人が戻ってくると、その手には革製の鞘に入った全長80センチほどの剣を持っていた。
「ちょっとそこの、少しこれを持ってみなさい」
俺は、言われたとおりに剣を両手で受け取る。鞘から抜いてみると、それは幅広な片刃の曲刀で、思っていた以上にその剣は重かった。
「ちょっと、振ってみなさい」
俺は軽く剣を振ってみる。振った感じに違和感はなく、思ったよりも使いやすかった。
「うん、よさそうだな。店長、これいくらだ?」
「手入れ用の道具と合わせて、これくらいでどうだい?」
「いや、それはちょっと高くないか?」
その後も値段交渉を続けるグレイたちをよそに俺は、初めて持った武器に興奮して素振りをする。
「おし、買った」
「まいどあり」
俺が素振りに夢中になっている間に交渉は終わり、剣は後で送ってもらうという話になったらしく、俺たちは武器屋を後にした。
その後も俺たちは、グレイの案内で街を回った。
―――2日後
「リューヤ様、起きてください」
「ん、おはようミリィ」
俺はいつも道理の朝を迎えた、違うところは今日から戦闘訓練が始まるということくらいである。
朝食を終えて部屋に帰ってきて俺はミリィに尋ねる。
「それにしても、戦闘訓練てどんなことするんだ?」
「まずは自然の中にある魔力を感じれるようになっていただくことと、素振りといったところですね」
「魔力って言われても、釈然としないんだよなぁ」
俺はいまだに自分の中の魔力以外を感じたことがない。
「体内の魔力は感じられていますよね?」
「それは、なんとなくは分かるよ」
すでに違和感だとは感じないが、体の中にある魔力を感じることはできる。
「それと似たようなものを、空気中に見出すこと。これができなければ、基本的に魔法は使えませんから頑張ってください」
俺はそういわれて、周りに意識を集中するが魔力など感じられなかった。
「何も感じない……」
それから1時間ほどの時間をかけてみたが結局、魔力を感じることができなかった。
「見つけれないのなら仕方ありませんね。今日はこれくらいにしておきましょう、では、次は素振りをしましょう」
そのあと俺はミリィに姿勢が悪いとか怒られながら剣をふるう。
何時間も剣を振ったせいで、終わったときにはすでに腕が筋肉痛になっていた。