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エイメノカサスを手にしたもの

 ――エイメノカサス中央広場。

戦いはまだ終わっていなかった。

白マント達と魔族達がぶつかり合い、怒号と魔力が空を震わせている。

その中心に――。

小柄な白髪少女の姿。

俺はサナの姿で魔族と戦う。


「ふぅ…」


俺は軽く息を吐く。


「まだ残ってますね」


白マント達が数人、こちらへ向かってくる。


「――いたぞ!」


「――魔族の仲間だ!」


「――殺せ!」


俺は小さく肩をすくめる。


「うるさいですね」


俺は手を上げる。


「死になさい」


次の瞬間――。


――バキィン!!


空気が一瞬で冷えた。

地面が凍り、白マント達の足元から氷が広がる。


「なっ――」


「動け――」


その言葉が終わる前に。

白マント達の体が氷に閉じ込められた。

俺はその氷像を見上げる。


「はい、おしまい」


そして軽く指を鳴らす。


――パリン。


氷像は粉々に砕け散った。

戦場のあちこちでも、魔族達が白マントを押し込んでいる。

数は圧倒的だった。

白マント達は次々と倒れていく。

やがて――。

戦場は静まり返った。


「終わり…ですかね」


俺は小さく息を吐く。

その時。


「えっと…」


横から声がした。

振り向く。

そこに居たのは――ミナノ。

まだ少しボロボロだが、歩ける状態には戻っている。

ミナノは周囲を確認してから、小声で言った。


「ミロク様…ですよね?」


俺は軽く頷く。


「あぁ…」


ミナノは少し安心したように息を吐く。


「よかった…」


「サラムさんの所に行きましょう」


「あぁ」


俺が歩き出そうとした、その時だった。

足元、倒れている白マントの一人が、小さく声を漏らした。


「ミナノ……」


ミナノが足を止める。


「え?」


白マントの男は、血を吐きながらこちらを見ていた。

もうほとんど息はない。


「てめぇ……」


男は掠れた声で言う。


「姉が……どう……なる……か……」


ミナノの目が見開いた。


「なに…?」


ミナノはしゃがみ込み、男の肩を掴む。


「今なんて言ったんですか!?」


ミナノは激しく揺さぶる。


「姉って…どういう意味ですか!?」


――だが。

男の体は動かない。

目は虚ろで、既に光を失っていた。


「……」


ミナノはしばらくその顔を見ていた。

やがて顔を置いてゆっくり立ち上がる。


「……行きましょう」


サラムは何も言わず頷いた。


広場の中央。

サラムが剣を肩に乗せて立っていた。

周囲には魔族達。

ロッドの姿はもう無い。

サラムはこちらを見ると軽く手を振った。


「助かりました!」


俺はミナノと共にサラムへ近づく。


「白マントは?」


俺は聞く。

サラムは周囲を見る。


「この辺はほぼ片付いたな」


そして軽く言った。


「じゃあ、次行きましょう」


「うおおお!」


魔族達は白マントの恨みを返すように叫ぶ。

サラムは叫ぶ。


「他の場所にも白マントが潜んでるかもしれん!」


周囲の魔族達へ向かって言う。


「各自、探索を続けろ!」


魔族達が一斉に散っていく。

そしてサラムは、小さく声を落とした。


「……さて」


俺とミナノを見る。


「帰りましょうか…」


「カオス・エデンへ」


俺はミロクの姿へ戻り頷く。


「そうだな」



――カオス・エデン。

周りは既に夜だ。

エイメノカサスの街は静かになっていた。街を壊しながら戦闘していたのもあるだろう。

俺は建物の屋上へ立ち街を見下ろす。

荒れた建物。

崩れた道。

だが――。

もう白マントはいない。


「そろそろやるか…」


俺は手を上げる。

魔力が集まる。

そして。

街の上空へ広がっていく。


「魔法放送…」


エイメノカサス全域へ届く魔法通信。

俺はそれを――。

強制的にジャックする。

街中の魔法通信装置が一斉に光る。

人々が顔を上げる。

そして。

俺の声が街へ響いた。


『聞け』


静かな声。

だが魔力が乗った声は、街全体へ広がる。


『エイメノカサスの民よ』


夜空の上で、魔力が広がる。

黒い魔力。

それはまるで――街を覆う影のようだった。


『この街は今』


『我が支配下に入った』


ざわめきが街に広がる。


『白マント共は排除した』


『これよりこの街は――』


俺は静かに告げる。


『我らカオス・エデンの領域となる!』


『もちろん、ただで…とは言わない。カオス・エデンは依頼を解決する…言わば何でも屋…そしてカオス・エデンの宣伝を他の国にもしろ!我らは領域を広げ…やがて全てを支配する…逆らう者は殺す…』


黒い魔力が街全体を覆う。

威圧のような魔力。

人々はそれを感じ取っていた。

これは脅しではない、宣言だ。

俺は魔法放送を切る。

俺は小さく笑う。

これはただの支配ではない。

俺という存在を世界に刻むため。

荒廃したエイメノカサス…この街を変えたのが誰なのか。

それを――知らしめるためだ。


俺は夜空を見上げる。


「これでいい…」


そして小さく呟く。


「世界よ」


その目は静かに光る。


「俺を知れ…」


――エイメノカサスは、今、カオス・エデンの支配下へと入った。

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