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剣を振るいし者達

 ――道場の空気が張り詰める。

剣士達の足元から、ゆっくりと魔力が立ち昇る。

それは静かな怒りのようでもあり、覚悟のようでもあった。


「全員…!」


大男の剣士が低く言う。


「構えろぉぉ!」


その一言で、二十人の剣士が同時に剣を構えた。

ミナノが横で小さく呟く。


「うわぁ……本当に全員で来ますね」


「当然だろう」


俺は腕を軽く回す。


「――剣士というのはそういう生き物だ」


次の瞬間――。


「行けぇっ!!」


二十の剣が同時に振るわれた。

魔力を纏った斬撃が空気を裂き、一直線に俺へと襲いかかる。

風が唸る。斬撃の嵐。

だが俺は一歩も動かない。


「その程度か……」


そして。


――ボンッ。


俺はただ、足を軽く踏み込んだ。

その瞬間、地面が震えた。

衝撃波が道場を走り抜け、迫っていた斬撃をまとめて吹き散らす。


「なっ――!?」


床が割れ、木片が宙を舞う。

さらにその衝撃だけで、前に出ていた剣士達の体が浮いた。


「ぐうおわっ!?」


「ぐっ……!」


「うあああっ!」


風圧に押され、何人もの剣士が壁に叩きつけられる。


だが――。


「まだだ!!」


誰かが叫ぶ。

剣士達は倒れながらも立ち上がり、再び剣を握る。


「ほう」


俺は小さく笑った。


「簡単には折れないか」


「当たり前だ!」


大男が前に出る。

筋肉の塊のような体。

握る剣は他の者より一回り大きい。


「俺達は剣士なのだ!!」


そして。


――ブンッ!!


大男はただ剣を振るう。

それだけで空気が爆発した。

凄まじい風圧が生まれ、道場の玄関ごと吹き飛ばす。


「きゃあっ!?」


ミナノが声を上げる。

俺とミナノの体がそのまま外へと吹き飛ばされた。

空へと舞い上がる。


「へぇ……」


俺は空中で軽く体勢を整える。


「なかなかの腕じゃないか」


俺が空中に舞っているのを見て、大男が地面を蹴り上げる。


「逃がすかぁ!!」


巨体とは思えない速度で空へ飛び上がる。

大男は空中で剣を振り上げ、俺を叩き落とそうとする。


「ふんっ遅いな」


俺は大男をふっと笑って見る。


「なんだと!?」


俺は指を軽く動かした。

その瞬間、周囲に張り巡らせていた俺の魔力が弾ける。


「んなぁ…!いつの間に…!全員防御――」


――ドンッ!!


見えない衝撃が広がり、大男も、他の剣士達もまとめて吹き飛んだ。


「がっ……!」


「ぐぅっ……!」


剣士達が地面に転がる。

しかしそれでも――。


「……まだだ」


剣士達はゾロゾロと立ち上がる。

そして大男が叫ぶ。


「全員……魔力を合わせろ!!」


剣士達は一斉に剣を掲げる。

魔力が集まり始める。

空気が震える。

二十人分の魔力が、一つの斬撃へと収束していく。

巨大な光の刃。

それはまるで、空を裂く剣だった。

ミナノが呟く。


「……あれ、ちょっと危なくないですか?」


「いや」


俺は静かに前に出る。


「――面白い!」


剣士達が同時に叫ぶ。


「いけぇぇぇぇぇぇ!!」


巨大斬撃が放たれる。

空間を引き裂きながら、一直線に俺へと迫る。

だが俺は――。

人差し指を、軽く横に振った。

それだけだった。

次の瞬間。

巨大斬撃が、まるで押し返されるように逸れた。


「なっ……!?」


そのまま斬撃は軌道を変え、地面へ叩きつけられる。


――ドォォォン!!


大地が爆発する。

衝撃波が広がり、残っていた道場もまとめて吹き飛んだ。

木材が宙を舞い、土煙が空を覆う。

しばらくして、煙が晴れる。

そこには――。

ボロボロになった剣士達が転がっていた。

それでも。

全員、まだ意識はある。


「全く化け物だな…」


大男が苦笑する。

俺はその前に歩いていく。


「終わりか?」


大男はしばらく黙っていた。

そして。

ゆっくりと剣を地面に突き立てる。


「……あぁ」


そのまま膝をついた。


「俺達の負けだ」


周りの剣士達も次々に剣を下ろす。


「認める」


「強さも……覚悟もな」


大男が顔を上げる。


「名乗り遅れたな。俺の名はカリン・メムス」


カリンは深く頭を下げる。


「今日から……あなたさまの下で剣を振るおう」


俺はニヤリと笑う。


「いいだろう」


剣士達を見渡す。


「お前達の忠誠、受け取ってやる。今日からお前らは俺の剣だ。俺の下で俺に死ぬまで尽くせ!」


風が吹き抜ける。

崩れた道場の跡地で。

カリンを中心に二十人の剣士が、俺に対して静かに頭を下げていた。


「もちろんでございます…」


「す…凄い圧巻ですね」


ミナノは俺の後ろからひょこっと顔を出して目を輝かせる。


「だな。まぁお前ほど強い奴は居ないがな」


「だって私は幹部ですもん!」


ミナノは胸を手でポンッと叩く。


「カリンの活躍次第ではお前が幹部から堕ちるかもしれんがな」


俺はにっと笑う。


「が…がんばりま〜す…」


ミナノは肩を落としながら敬礼をする。


「はははっ…あっそうだ。カリン」


「どうしましたでしょうか?」


「他の剣士達の世話はお前に任せる。俺は言っておくが稽古とか出来ないからな!」


「がははっ!分かりました。ミロク様の手を煩わせるわけにも、いかないですからね」


こうして――。

カオス・エデンは、二十人という規模の新たな剣士の勢力を手に入れた。

最も、これは始まりに過ぎない――。

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