表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/30

本当に守るべきもの

 エルは圧倒的魔力を放つ俺を見て気を取り戻すように笑う。


「ふふ…!そうだ…!そうだ!ミロク・プリンス!それこそお前の真骨頂!仲間を犠牲に我々を殺し!目的のためだけに動く!そうだろう!」


エルは剣を深くミナノに突き刺す。


「うぐっ…はぁ…はぁ…ミロク…様」


「実に不愉快だな…」


俺は魔力圧だけでエルと白マント達を拘束する。


「あっがっ…」


エル達は重力に叩き潰されるように地面へと伏せる。


「どうした。それがお前らの本気か」


剣をエルへと向ける。


「殺す隙など、〇.一秒も与えない」


エルは屈辱的な顔を浮かべる。


「だからどうした!!私は創造魔法の使い手と言っておろうが!」


エルは魔力を使い、俺の下の地面を隆起させる。


「お前達!魔力を貸せ!」


白マント達はエルに魔力を送る。

エルの魔力量は周りを吹き飛ばさんとする程にオーラを放っている。


「この魔力量があればあなたを宇宙空間まで飛ばすことができる!さようなら世界の破壊者!!」


地面はものすごい勢いで俺を宇宙空間へと突き動かしていく。

地面はまたたく間に離れて行き、ついには雲すらも俺の下へと来ていた。


「さて、ミナノ・カーシャの回収を――」


エルがミナノを抱えたところで。


――ドガァァァァァッ!!


周りの地形は抉れ、隕石が降ったかのような衝撃の波動がエイメノカサスを包む。


「うぐぅおああああああっ!!」


エルと白マントは辛うじて魔力で防御するが、既に全身はボロボロだった。


「宇宙旅行楽しかったぞ。それと、俺は破壊者じゃない。支配者だ」


俺はなんともなく宇宙から帰還し、エルの元へ高速にも近しい速度で帰還した。

こんな状況ではあるが、地球とか月は美しかった。

今度行けたら行こう。


「お前達が今何をしようとしているのか…さぁ答えろ」


「答えるものかぁ!ミナノ・カーシャは依然!我々の手元にある!」


ボロボロになり、剣が刺さったミナノを見せつけるようにして俺の前に突き出す。


「はぁ…だからどうしたと言う?」


「見てみろ!お前の大切な仲間は!あと少し剣をズラせば一瞬で死に――」


――グシャッ。


何かが落ちる音がその場に響く。


「はあっ!?んな…なぜだ!」


エルの両手首は気付かぬ間に地面へへばりつく。


「ぐぅおおおお…!はぁ…はぁ…」


悶え苦しむようにエルはその場へとのたうち回る。


「分かったか。お前らなどその気になれば、瞬殺出来る」


俺は剣を白マント達に見せつける。


「貴様は…貴様は!一体なんなんだ!ミロク・プリンス!」


「なに…かって?俺は世界を支配し、全てを俺のものにするために…裏で活動する者だ…」


「まぁ、だがお前らを不用意に殺しはせん」


エルは屈辱的な表情を浮かべる。


「本気を出せば地球なんて簡単に壊せる…だがそれはしない。なぜか?」


――それは


「世界を支配するためには、"世界"。つまり土台が必要なわけだ。強者が頂点に立つための、弱者共の土台…それが無くなってしまえば、真に最強とは言えない。頂点には土台が必要。それが俺のモットーだ」


「なにを言っている…ディアマテ解放教に全て任せておけばいいものを!世界の支配などつまらんことを!」


白マント達は俺に怯えてもはや動くことは出来ない。 


「お前らの目的の方がよほどつまらんがな…そもそも世界を破壊してなにをする?なにが残る?」


「ディアマテという全ての王が…我々に死の救済を与えてくれる!それが最終目標!!」


うわっ…本当に居たんだ。死が救済と思ってる奴。

アニメとか漫画だけだと思ってたよ。


「ふうぅ!」


エルは魔力を自身の体内へと過剰集中させる。


「おい、体が吹き飛ぶぞ」


俺は無関心に忠告する。


「だまれ!お前にディアマテのことを語るくらいなら…!」


それもそうか。だが、死さえ俺の前では自由に出来ない。


――ゴゴゴゴゴ。


エルの上に巨大岩石が生み出される。


「そんなに死にたいなら殺してやる」


エルが自死する前に巨大岩石はエルの頭上へと落ちる。


――ゴシャリ。


無残な音が響く。岩の下からは血が流れる。


「約束の剣士達は貰っていくぞ」


俺はミナノを抱え、(しかばね)となったエルを横目にその場を去る。


「あぁ、そうだ」


俺は振り向き、指に魔力を集中させ、白マント達に向ける。


「じゃな」


俺が言うと指先の魔力は弾け、白マント達は吹き飛ぶ。


「……」


俺は再び歩み、カオス・エデンへと戻る――。



しばらく時間が経ち、夜。

ミナノはリビングのベッドの上で目覚める。


「ここ…は…あれ…?」


ミナノはゆっくりと起き上がり、そばの椅子に座る俺を目をパチパチさせ見る。


「ミロク様…どうなったんですか…?剣に刺されてからの記憶が…あまりなくて…」


「あいつらは俺が殺した。もう跡形も無いぞ!」


俺はニッコリ笑顔でミナノに言う。


「いやそんなに笑顔で言うことじゃないです…」


ミナノは真顔で突っ込むが、すぐに安堵の表情を浮かべる。


「でも…よかったです」


俺は目を瞑って考え事をする。

なぜあいつらは死を救済にしようとするのか、ディアマテの復活はどうすれば行われるのか。


「はぁ〜…分からん…ミナ――」


「ってあれ?」


ミナノはリビングから姿を消していた。


「ミナノ?」


部屋へ戻ったのだろうか。まぁ今日だけで色んなことがあったしな。疲れたのだろう。

夜の光がリビングの窓から差し込む。その静かな空気は嵐が過ぎ去ったあとの静寂を表すようだった。


「風呂に入るか…」


俺は風呂場へと行き、扉を開ける。


「えっ?」


「あ…」


扉の先にはまぁ…その…全てを解放したミナノが俺の前に居た。


「こんの…変態がぁぁぁぁっ!!」


ミナノは水魔法をビームのように圧縮して俺の顔面に放つ。


「ぶうっふふぉっぁぁぁぁぁぁぁ!」


俺は後ろの壁へと激突する。


「支配者だからってなんでもかんでもしていいと思ったら…大間違いですよ!!!」


ミナノは顔を赤くして風呂場の扉を勢いよく閉める。


「風呂行くなら先に…言え…よ…」


うん、これはミナノが悪いよな。

ちょっとラッキーと思いつつ、俺はここで意識が途絶えた――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ