父の遺した断層を超えて
最新エピソード掲載日:2025/11/29
十八歳の青年・天野 悠斗(あまの ゆうと)は、
多階層宇宙〈フラクタル・マルチレイヤ〉の片隅にある一宇宙で生まれた。
彼が幼い頃、粒子階層研究の第一人者だった父・天野蒼一は、
自らの研究室を“渦”のように歪ませながら姿を消した。
残されたのは一つの手紙と、理解を拒むような膨大な計算紙束だけだった。
> 「――もし私が消えることがあれば、それは“宇宙が折り畳まれた”兆候だ。
悠斗、お前は必ずこの構造を知ることになる。
我々の世界は『素粒子の内部にある層界』だ。」
だが蒼一の「階層世界論」は学会では嘲笑された。
“天皇渦”“再帰層界”“観測者依存型重層宇宙”など、
既存の理論を逸脱した概念は一切受け入れられず、
父は異端研究者として孤立していった。
そして十年後――
悠斗が十八歳になった春、父が消えた夜に見たものと同じ“層の歪み”が再発する。
やがて彼は気づく。
父が消失したのではなく、階層宇宙そのものが「反転」した。
父はより深い層――素粒子の奥の奥、
“天皇渦”と呼ばれる最深部へ落ちていったのだ。
父の残した研究資料を読み解くにつれ、
各宇宙層が互いの内部に再帰的に存在するという、
“フラクタル階層宇宙”の恐るべき実相が浮き彫りとなる。
世界の境界は存在しない。
観測者こそが層を選択し、宇宙の形を決める。
――そして父が探求した「真の目的」も。
彼はなぜ“天皇渦”を目指したのか?
あの手紙に残した言葉の意味は?
嘲笑された彼の理論の裏に隠された“本当の危機”とは?
悠斗は父の消息を追う旅へと出る。
それは、階層世界そのものの仕組みを暴き、
存在論そのものを揺さぶる“十章の旅”の始まりだった。
プロローグ
2025/11/29 20:36
微細の揺りかご(0/10章)
2025/11/29 21:14
(改)