世間一般における日本人について
==日本一般ジー。ボッチ開始から大体24時間後==
どうも皆さん主人公です。
俺のところにも春の季節を知らせる存在が来ましたよ。
そう
「メニュー。」
===
MENU!!
ITEMS
EQUIP
STATUS
===
「くぅ~↑↑↑↑
これだよこれ!」
もうすでに物語は始まってたんだよな。
どんくらい経ったかはわからんけどまぁ100億年くらい待った気分だ。
気分はさながら小さいころにもらうサプライズのプレゼント。
正直何をもらったのかは忘れたが確かにもらった時の快感、喜びは忘れられないだろう。
そりゃ思いがけないタイミングで一番欲しかったものがもらえるとなればその喜びもすごいものだもんな。
「神様、くそ馬鹿あほ間抜けって言ってごめんな。俺、ほんと悪気ないから、ホンマ=ユルシテーノ3世」
…それにしてもこのメニュー画面。すごい。
どういう原理か全くわからないがどこの方向を向いても、目を閉じても必ず視界の左下を陣取って主張してくる。
左下に犬のふんが落ちてたら不可避じゃないか?
…まぁそんなものはさておき。
ここで俺の異世界転生知識が光る。
大体こういうものは経験値をゲットして新しいスキルを手に入れ、レベルを上げて無双する。
鉄板であり、世間でありふれてはいるものの、それでもなお皆に愛され続けている最高の流れだ………と思ったんですけどね。
思ったより項目がない。
…特にスキル君なくね?
ま、まぁ一旦全体を見ていくか!!!
「とりあえず、上から見ていくか!この…ITEMSっと!」
===
ITEMS
back
===
「あーーーーーーーーーーうん。」
見た感じなんもなかった。
「まぁそりゃ…ない………のか?
せめてどうのつるぎとかさ。そういうの…ないわけ?
もともとここに至るまでで神様の印象マイナスなんですけど。こちらとしては挽回の方をお勧めしたいんですけどね!?」
もちろん帰ってくるのは静寂のみ。
「このEQUIP!装備なら、もしかしたら!?」
===
EQUIP
・
・
・
・
・
back
===
「そりゃないよねー!!!だって俺裸だもん!!!!うんちぶり!!」
汚くて申し訳ない。
でも、そうなのだ。ここからずっと裸族だったのだ。装備がないことについてあらぬ希望を抱いたがこちらは想像できた分まだショックは少ない。
というか、一旦その場で裸で排便するのに慣れてしまった分、脳みそがここをトイレだと錯覚してケツのストッパーが壊れているのだ。たすけて
人間としての尊厳からはいつの間にかはるか遠くへ来てしまったのかもしれない。
頼むから誰でもいいからこの部屋で暮らしてみ?ほんっとうに静かで一生真っ白。飛ぶぞ?ここではないどこかに。
「まぁ正直ここまでは前座よ。ここからが本番。」
そうSTATUS。どうみてもステータス。
正直あまりに暇で何かが記されているだけでもうれしい。
「頼む!!来い!STATUS!」
===
STATUS
NOTHING
BACK
===
「どうぇええええええ!!??」
NOTHING!!??
「なっしんぐ!!?ないの!?俺ステータスオール0とかじゃなくてないの!?どゆこと?」
意味が分からない。
「ないってことはないんだよな?は?何言ってんんだ?おれしぬぞ?金なし彼女なし知力、体力、力なしまじ?もともとないのやばいよ!」
このままだと冒険を始まった瞬間死んでしまう。
「なんかないの!?特典みたいなさぁ!頼む!お願いします!!!!」
ーーー
(唯の日本人)が(偽物の空虚な勇者)に変更を求めます。
変更が受理されました。
隠された情報を繧ケ繝f?g?繧ソ繧ケd繝。e繝九Η繝シに表示します。
ーーー
「うがっ!?」
突然頭の中で鳴り響く不快な音に驚く。
「え…?これってあの時のだよな…?」
甘いようで全然甘くなかった記憶。
その時に何度も感じた耳鳴り。
それを今、また感じた。ということは。
「あのときの何かが残ってるのか?俺の中に。」
これはいわゆるアレじゃないだろうか
何度も召喚を繰り返して、チート特典をたくさんもらえる!!みたいな。
「も、もしかして、ヘルプ!とかさ、アシスタント!みたいなそういう、お助けみたいな存在がおるんちゃうんか!?」
先ほどの音はそれの通知音みたいな。
そんなものではないだろうか。
いや、そうであって欲しい。
まぁ、音が頭の中でキンキンうるさいので音は下げたいものであるが。
「どうやって今のをもっかい再現できるんだ?なんか条件でもあるのかな?もしかして、何か呪文みたいなのを唱えればそれに対応したことが出てくる的な?」
そうと決まれば。
「ヘルプ!アシスタントプリーズ!へい!しり!」
思いつく限りのそれっぽい言葉を羅列する。
「ひらけごま!なむあみだぶつ!べぎらま!」
なにもでない。
「じゃあなんで逆にメニューはでるんだよ!!!!」
===
STATUS
(偽繧ソ繧の空カョ?56な勇者)
(唯の日本人)
BACK
===
メニューって叫んだらメニューが出てくる。
最近できた常識だが常識は常識だ。
メニューが出てくる。それまではまだいい。
問題は。
「なんか増えてる?」
なんか増えてる。
「おいおいおい!?なんか増えてんだけどぉ!?」
ステータスと、言われると頷いていいか分かりづらい2行の文字列が追加されていた。
「これってそういうことだよな。俺があまりの仕様に叫んで文句言ってから、あの音が頭に鳴り響いて、そこからこの項目が追加されたってことは…」
あの音は何か俺にレベルアップみたいななにかしらが起きたことを報告している?
これはすごいことだ。
なぜなら、
「すでに今の俺を誰かが見てくれてるってことだよな…?」
孤独ではない。
誰かの痕跡があるだけで天にも昇るような気持ちになった。
「神様仏様ぁ〜!やっぱり見ていてくれたんっすね!!ありがとう!ただただ感謝!!」
じゃあ。
「ここから出してくれぇ!!!」
当然、
返ってくるのは静寂。
「どぉぉおうしてだぁよぉおお!」
まだ出してくれないないらしい。
何が足りないのか。
「ま、一旦これを読めってことかね、」
謎の二行。
片方は…あまりにも常識的なことが書かれていて「そりゃそうだろ!」って言いたくもなるがもう片方は話が変わってくる。
ところどころ文字化けしているが最後に勇者と書かれているのだ。
勇者と言えば不穏な感じの記憶しか残っていない。
前世?では勇者だのなんだの意味が分からないことばかりつぶやくメカメカコマンドーオカルト集団にリンチされたのだ。
俺の中ではもう呪いの言葉である。
「怖いな。バグって閉じれなくなるとかやめてくれよ…」
===
(偽繧ソ繧の空カョ?56な勇者)
心象理解が足りません。
情報開示不可です、
===
あー、なるほどね?(わからん)
まぁ、つまるところ読めないってわけ?
じゃあ表示すなや。
出せって言ったのは俺なんだけどさ。
「…もしかして、勇者が俺なんだとしたら、俺はあのゲームの主人公になったからこそ、
メニューが開けるようになってんのかな?」
天才か?俺は。
それしかなさそう。
なんのゲームなんだっけ?
具体的には覚えてない。でもRPGだったのは覚えてる。そのゲームの主人公。
………ま、いっか。
まだわからないが、すでに一つのチートをもらっているらしい。
ゲームの主人公チートってやつだ。
将来性◎
これは期待大だ。
そしてもう一つの方は?
===
(唯の日本人)
唯の日本人。それ以上でもそれ以下でもない。
君はそれ以上に望まなくていい。
心象理解が足りていません。
これ以降の情報開示不可です。
===
なんだよこれ。
そんなん教えられなくても知ってるわ。
正直ガッカリだ。
名前でネタバレかと思いきや本当にネタバレだった。
チートも望めなさそうだし、なんなら望むなって言われたし。
ハズレもハズレ。
「なんだよまじ。バカにしてんのかよ。」
欲しい情報は一切手に入らなかった。
「読みましたけど……これで出してもらえるんですかねぇ!?」
何もなし。
「はぁ〜いつまで待ちゃええねん。あれか?修行しろってか?筋トレを一定数こなさないと出られないってか?おいおい、結果にコミットでもここまで過程を吹っ飛ばさないぞ。」
マジでここまで扱いが雑だとどうにかなってしまいそうだ。
「チェンジだチェンジ!あなたじゃねぇ!俺の結果をコミットなんてできませんよ!俺を誰だと思ってるんですか!俺様はなぁ!誇り高き日本男児の……………あれ?」
…………………………あれ?
「…………………………あれ?」
俺って…
「誰だっけ?」
誰もが語学勉強中に学んで鼻で笑う。
who am I?
私は誰ですか?
自分に言うとは思わなかった。
「あれれ?おれは日本人で大学は卒業してる!で?どこに住んでたんだっけ。どこで生まれたんだっけ?そもそもどこの大学出身?高校は?俺の名前は?家族の名前は?………………思い出せない。なんで!?」
それは俺の中で大事な情報のはず。
「競馬の買い方とかワザップに何が書いてあったのかとかそういうのは覚えてるのに大事なことが思い出せない。変にネットで調べたら出てきそうなことばかりは覚えてるのに!RPGの定石とか、FPSがどういうゲームなのかはわかるのにそのプレイしてたゲームの名前が思い出せない!」
どうでもいいことばかり残っていて、
「俺は、ここに来るまで何してた………?」
俺が日本にいた証明ができる情報のみが抜け落ちていた。
それは、これからの生活に関係ないように見えて、確実に俺を構成する要素の根幹に位置するものであった。
とても重要で、大事なもので。
過去に置き忘れてしまったものをただ失くしたものだと笑い飛ばせるほど、状況はよくなかった。
==唯の日本人。孤独開始から大体48時間後==
「ありおりはべりいまそかり。すいへいりーべぼくのふねななまがりしっぷすくらーくかっかすこっちばくろまん、てつこにどうあえんがげるまんあっせんぶろーかー。」
それは呪文なのか?
いや、知識だった。
喉は渇き、声という声が出せなくなってもなお、何か忘れた記憶と関連したものを必死にかき集め、何か、かけがえのない何かを手繰り寄せる作業。
「Y=aX^2+bの解の公式。これは、誰が教えてくれたんだ?いつ?解の公式を英語で言うと?solution formula。これを教えてくれた人は?思い出せない。」
なんで知ってる?
結果だけ覚えていて、過程が一切思い出せない。
「ソクラテスが唱えた。無知の知。「自分が無知であるということを自覚すること」を意味する哲学的な概念。ソクラテスは覚えてるんだ。人名が全部思い出せないわけではない。」
床になぞる。
インクやら何かあればよかったのだが。
「俺は何をまだ抱えられてるんだ?何が残ってるんだ?これから何をすればいいんだ?」
そして、
「なんのためにここにいるんだ?」
それは思ってはいけないもの。
「なんでここにいる?…………俺には……まぶしいよ。ここは。」
…。
「暗いところに…行かせてくれよ…。」
誰も聞いてないその嘆きは真っ白な空間に溶けていった。
==唯の日本人。孤独開始から大体72時間後==
「キリスト…ブッダ…天上天下…唯我独尊…イスラム…メッカ…」
残されているものは俺の中ではありふれたもので。
「ここに来て…最初に書いた…ものはなんだ…っけ?」
記憶というものはありふれたものほど薄れていくもので。
「覚えてないぃ…!俺は…!大事なものも…!覚えてないぃのにぃ!!」
地面をなぞる。何も残らない。
手ももう、動かせなかった。
「水なし…で…生きられる…のは…3日…。」
タイムリミット。
死ぬ?俺が?ここは、天国のはずなのに…?
死ぬのか。死んでもいいな。地獄がいい。
白はもう。充分だから。
「あ…かはっ…死にたく…ないなぁ。」
解放されたい。
「ここから…出して……もらえないかなぁ。」
静寂。
そして。
俺は白に溶けていった。
目が覚める。
飢餓感、体の軋み。体の不調が全てなくなっていた。
しかしそこは、
未だ真っ白な空間が広がっていた。
「ここは…?」
まだ、まだ続くのか。
「……………出してくれぇ!!!!
ここから出してくれええええ!!!!
頼む!頼むから!なんでもする!だから…たのむってぇ……………!お願いしますっ………!!!」
体が動く。まだ生きてる。
これは良いことなのか?
天国は本当に幸せなところなのか?
苦しいことが何度も続くここは
地獄とどこが違うのだ?
「メニューは?何か…ないのかよ!」
メニューの中身をくまなく見直す。
ほとんどの部分は変わらなかった。
だが、
===
(唯の日本人)
唯の日本人。それ以上でもそれ以下でもない。
君はそれ以上に望まなくていい。
君は誰かでもないのだから。
心象理解が足りていません。
これ以降の情報開示不可です。
===
「あああああああああああ!!!」
そこが始まりだった。
「どうして!どうして!どうして!どうして!」
頭を床に叩きつける。
「何も!何も!何も!何も!ないんだ!何も残ってないんだ!これ以上何もないのに!何をしろって言うんだ!」
頭をそれでも叩きつけ続ける。
「誰でもないなら俺じゃなくていいじゃないか!!!代わりがいるだろぉ!!?殺してくれぇ!楽にしてくれ!」
すると気づく。
真っ白な世界に赤が混じっていることに。
赤。
なぜ残っているのか。ほかのものはことごとく何かの力で消えるというのに。
それでも存在し続ける、この無慈悲な世界の紅一点。
白が大嫌いな俺には。
とても目が離せなかった。
〜〜〜
「神様。仏様。イエス・キリスト。アッラー。天照大神。ゼウス。オーディン。仏陀。」
書いていく。
「キリスト教。それは、イエス・キリストを神の子・救世主と信じる宗教で、神の愛、隣人愛、罪の赦し、信仰による救いを中心教義とする。聖書を聖典とし、三位一体(父なる神、子なるキリスト、聖霊)を信じる。大元はユダヤ教であり、現在は世界最大の宗教である。」
書いていく。
「イスラム教は、唯一神アッラーを信じ、預言者ムハンマドを最後の預言者とする宗教である。聖典はクルアーンで、信仰告白・礼拝・喜捨・断食・巡礼の「五行」を重視している。ユダヤ教・キリスト教と同じ一神教であり、偶像崇拝を禁止している。」
ただ、書いていく。
覚えていることを。
ただただひたすらに。
「俺じゃなくていいなら俺である理由を。」
真っ白な中身を埋めるように。
「俺がここにいた軌跡を。俺がこれからを進む理由を。」
真っ赤な。俺だけが出せる色で。
「何も思い出せないなら。」
全てを書き出せば。俺の中にあるものをひっくり返してみれば。
「大事なものの残り香が…」
まだみつからない。どこにも。
そうして頭をたたきつける。足りない。赤が。
かすれ字でもいい。ただ遺されているという形さえ残っていれば。
そこにはもう中身のない知識ばかりが床に記され続けていた。
やがて頭に血が回らなくなって、手が止まり、すべてをあきらめたくなった。
苦しい。なにもかも。
もう、いいじゃないか。
自分の首を絞めたい。でも力が入らない。
あろうことか俺は。
自分の手をのどに突っ込み続けた。
胃の逆流にもがきながらも、手をのどに。
苦しい中で意識が遠のいていく。
だが、世界はそれでも。
俺を離してくれない。
ちっぽけな。今自分が横になっている状態で手が届く範囲しか赤が存在しないその場所で。
足りない。なにもかも。
諦めることを許してくれない白は。
俺のしていることを無駄な努力だと嘲るようにそこにあり続けた。
今回は明るいですが、暗所で全くの無音だった場合15分でやばくなるらしいです。




